犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

ふたりの性格

2016年10月31日 | 健康・フード・病気・治療・腎不全

オレコとこんちゃんは性格が複雑です
雑種ならではのルーツの複雑さからくるオレコの複雑とは違う複雑がこんちゃんにはあります
簡単に言うとぜんぜん柴犬っぽくないのです
オレコはオレコで、昨日の『DNA犬種鑑定結果』を見てもらうとわかると思いますが、入り組んでます 矛盾しまくっています
そう、ふたりとも人間のようなんです


原因のひとつはDNAでしょうけれど、もうひとつには、2匹とも『虐待』とか『恐怖経験』の経験があげられるんじゃないかと思っています
オレコについては、友森さんから伺った話とか、ともに過ごした暮らしの中からいくつもの『心当たり』が浮かんで見えました
ただ、オレコは保護された時点で生後半年程度、うちに来たのは生後8か月のとき、虐待は長期にわたるものではなく、捨てられたのはお江戸歌舞伎町、大都会ですし子犬ですし、すぐに保護されました
でもたとえ半日であっても、子犬が歌舞伎町でうろうろしていたわけです
その時の経験がものを言ってるんじゃないかと思うのだけど、雑踏、電車の音、スケボー、大きな音、人ごみ、これらには、いまだに『パニック』になります
ミグノンでの譲渡会やお散歩でもそうだったとのことだけど(リードを食いちぎって逃亡を図る)、『パニック』発生中はなんとしてもそこから逃げようとします
秋田犬由来とわかれば不思議じゃないですが、中型犬とは思えない、ものすごい力で暴れるので、小柄なおんなひとりでは抱きしめて逃亡を防ぐのが精いっぱいです


あれはずっと以前、うちに来たばかりのころ、大きな道路も怖がってだめ(未だにだめ)なので、なれるために散歩の練習をしていた(練習すればなんとかなると思ってた)ところ、前から大型犬3頭が歩いて来て、そのときも『パニック』になりました
じたばたと抵抗がすごくて、ありえない動き(妖怪のよう)でハーネスから抜けると、ごむまりのように弾んで駆けていきました(まずあんな風に犬が走るのを見たことがない。猟犬ルーツと聞いて納得だけど)
困ったことに6車線もある大きな道路でわたしがパニックになりました 追いかけても間に合わない ああだめだ、もう、車に轢かれてしまう!!!

「オレコ!!!!!!おーちゃん!!!!!!!!!」

絶叫しましたよ もう全身の毛穴から声が出てました
そしたらオレコ、止まって、振り返って、わたしをじーっと見つめて、戻ってきたんです
もうね、ラッシーとエリザベス・テイラーの再会のような感じですよ 抱き合って、ぎゅー、ですよ
なでてなでて、ほめてほめて、抱きしめて、で、ハーネスをつけて、散歩を再開しました
振り向くと3匹の大型犬たち(どの子も子牛くらいあった)は、私たちの様子を見て、道を変えてくれたようでした
だから戻ってきてくれたんじゃないかと思うんですけどね




競馬でいうところの「競馬に出るまで結果はわからない」という言い草がありますが
生き物相手なので予想通りとか段取り通りとかそういうのはあの世界にはないんですね
どこでどんなことが起こるかわからない だから選手は最善を尽くすしどんなトラブルも起きないように厩務員さんは細心の注意を払う
犬の散歩(お出かけ)も同じなんですよね「散歩に出たなら無事に戻って来れるかわからない」とほんとに思います
だから飼い主は最善を尽くしトラブルに巻き込まれないよう(引き起こさないよう)細心の注意を払うべきだなとこのとき肝に銘じました

そんなオレコですが、正式譲渡のとき、書類に保護当日の写真が添付されていて、手続きしながら見ていたら、子犬子犬したオレコが、作業着姿の足(多分センターのスタッフさん)の隣で、ににこにこ笑って立っていました
今だからわかるけど、その笑顔は「あーよかった!しんせつなおじさんにたしけてもらった!」といってるような安心した顔でした
首もとに、真新しい、かわいらしい、赤いバンダナを巻いていました
そのバンダナを見て、胸をつねられるような、切ない気持ちになりました
まだ子犬の愛らしさもありましたし、少しは可愛がってもらっていたのかもしれません
バンダナを巻いてもらうくらいには



いつもいつも叱られてばかりいたわけじゃないのかもしれないと思うと、少しほっとしました
人に裏切られたという意識は、少し、軽かったかもしれない
なんだかよくわからないけど、叱られたり、叩かれたりして、でも可愛がられたり
そして気付けばひとりきり、町をさまよって、とてもとても怖い思いをした
それらがすべて生後6か月までの間に起こったことです

8月15日に保護されて、オレコにとっては環境は最悪でしたけど(自分より大きな他の犬たちとの暮らしがトラウマとなったもよう)、
保護センターの人たちにはとても可愛がってもらっていたし、みなさんによくなついて、『オレコ』という名前までつけてもらいました
多分片耳が折れてるから その名前をいまでも大事にしているというわけです
生後6か月から8か月の2か月をセンターで暮らし、ミグノンさんに引き出してもらい、1週間でミグノンをクビになり、うちへ来ました
健やかに、穏やかに暮らしていて、いつも何かに怯えていたのがずいぶんと落ち着き、性格も表情も明るくなり、自己主張も強くなりました
しかしいまでも、怖いものに出会うと、『パニック』になるので、外出のときは、細心の注意を払っています



家族以外の人にはとても気を使うので、無理に明るくふるまったりします
表向き、ちゃんと聞き分けよくできても、本当はストレスになっていて、足をカミカミしたり、かなしそうな、複雑な表情をします
こんちゃんのことは、家族だと思っていても、いまでもほんとうは好きじゃないし、私たちの前で無理に親切にしたり、仲良くふるまうこともあるけど、本当はひとりっこがいいのです
にんげんが忙しくしていると、今は甘えてはいけない時なんだ、と、必死で我慢します
自分から遊んでほしい、とか、かまってほしい、ということは、しません ものすごく遠慮しているのです
嫌われたくないのか、叱られるかもしれない、と思っているのか
甘えん坊のくせに、甘えないのです たまに怒ったり、すねたりもしますが、しょっちゅうじゃありません
オレコの気持ちのどこかに、自分をさらけ出すことによって、安心できなくなる、落ち着きのなさのようなもの、があるようです
人に捨てられた子は、そういう複雑さを持っているものなのかもしれません



こんちゃん
うちに来たばかりの頃は、すっかり衰弱していて「生きるだけで精いっぱい」という感じだったのだけど、日々少しずつ回復して行く中で、はっきり感じるものがありました
こんちゃんは、オレコよりも日常的に、中長期的に暴力を受けていたのではないかと
特に、鳴き声をあげないように厳しくしつけられた傾向があり、普段の生活で声をあげることが殆どありません
(もしかしたらそのために去勢されたのかもしれないです)
触れようとすると、飛び上がるほど驚くので、後ろからはなるべく触らないようにしています
頭や体の上に手がかざされると、目をきつく閉じて、叩かれる瞬間を迎える準備というか、それに耐えるというか、我慢するかたちをとります
ぎゅっとつぶった目、あごを引いて待つ諦めの表情 叩かれるのを待つ顔です
だから下から(顎とかのどもと)触れてみて、徐々に上がって、頭をなでたりしています



大きな声も苦手です
男の人が大きなくしゃみなんてしようもんなら、ぶるぶるぶるぶる、いつまでも震えています
うちにきて2年たった今でも、それをするんですよね
見るたび、なんとも切ない気持ちになります
誰かに、大きな声で、怒鳴られていたんでしょうか
それに加えて、叩かれていたのかもしれない
日常的に、ストレスのはけ口にされていたんじゃないか、という考えがよぎります



こんちゃんは歯が子犬のように小さいことに加え、何本か、足りません 抜けたんじゃなくて、もともとあるべきところにないのです
体はわりに大柄なのですが、歯がこんな感じなので、母親の栄養状態が極端に悪かったのかもしれない、と言われています
血統的には柴100%なんだけれど、『量産』された子なのかもしれないし、あんまりいい状態で生まれてきたわけじゃないのかな、と考えています
ほかの犬とのコミュニケーションがとれない(怖がる)ので、ごくごく小さいときに、親きょうだいと離されてしまったのかな、とも思っています
どっちにしても、この小さなせなかは、オレコよりもずいぶんと苦労してきたのじゃないかなあ、と、胸が痛くなります



お散歩(先住犬優先システム導入)に行こうとして部屋着を脱いで着替えていると、ひざの裏に冷たいにゅるっとしたものが当たります
振り向くとこんちゃんが、「おさんぽいくのか?」と、わたしを見上げています
朝やお休みの日は、お着替えをするとおさんぽに行く、というのを、覚えたのです(おじいちゃんじゃけど)
かがんで、「オレコのお散歩帰ってきたら行こうね」といって、脅かさないように、抱きしめます
頭を撫でて、「もうちょっとねんねして待っててね」といいます
わたしを見つめて「うん、わかった」と言って、ゲージに入り、くるくるまわって、丸くなって、寝ます
セコムして、オレコと出かけるときにこん部屋の前を通ると、さっき寝ていたはずなのに、半身を起こしてこちらを見ています
じっと黒い目で「オレコちゃん終わったらわしじゃよね」と言ってるように見えるわけです
「そうだよー」と言って出ていきます
そして、こうしていつも聞き分けよく、いい子で待っていてくれることに、ちょっと切なくなります

戻ってくると、たいていゲージで寝ています
起こさないようにそーっと行動し、オレコの足を洗い、御風呂場から出ると、足ふきマットの上にゆらゆらしながら立っています(こんちゃんが)
「こんちゃんどいてねオレコのあんよを拭くからね」というと、お風呂場へ入っていこうとするので「洗うのはお散歩してからじゃよ」といって戻ってもらいます



やっと順番が来てお散歩へ行くとき、先に行っても玄関で必ずこちらを向いて待っています
扉に鍵をかけてるときは、時どき、ひとりで中庭を見ています
散歩から帰ってくると、にこにこしながら飛びついて噛む(老化現象かもしれないし私たちとの暮らしでそういう風になったのかもしれない)のですが、わたしはそれを叱ったことはありません
おしり・うちもも・うらもも・ふくらはぎ、いたいところばっかりかむんですけど、そして実際かなり痛いんですけど、だれも、絶対に叱りません
「痛いよこんちゃん、痛いよ」と本人にクレームはつけますが、絶対に、怒りません



足を洗う(シャンプーのときも)お風呂場では、こんちゃんのもみじのあんよはたいてい、私の足を踏んでいます
全体重をかける感じで踏むし、爪が食い込んでわりと痛いです でも叱りません
「痛いんじゃけど」といってみても、どいてくれることはありません でも叱りません
お風呂場を出て、足を拭く間も、もみじのあんよはしっかりわたしの足を踏んでいます・・・なんで、なんでなの?
最初はわからなかったけど、最近「触れていたいのかなあ?」と思い至るようになりました(違うかもしれない88%じゃけど)

何か要求があるときは鼻をくっつけてきたり、頭をこすりつけてくるようになりました
嬉しくて興奮すると暴れん坊になったり、面白いことをするのだけど、好きにさせています
噛んでも大したことないので、叱りません(家族以外の人に自分から近づくことはありませんので他人をかむことはありません)



だって、彼はもう一生分、もしかしたらそれ以上、叱られたんじゃないかと思うんです
その上、なぜだかはっきりはわかりませんが、こんな高齢になって、捨てられたわけです
それも真冬の寒い時期に(12/22に保護したけれど1か月近くさまよっていた様子)です
なんだか、わかるんですけどね、彼はそのことに、とっても傷ついているんです
矛盾しているけれど、ちゃんと人に愛された経験(記憶)も、あると思うんです
だから、深く傷ついていますし、出会ったとき、すべてを諦めていました



初めて出会ったとき、彼は、首輪が抜けてしまうほどに痩せこけ、どろんこでした
朝もやの中、うろうろ、ふらふら、よろめいていたけれど、保護しようとする人間(私)から逃げるちからも残ってなくて、あっさりつかまりました
知らないおばさんに抱かれても、おとなしくしていました
オレコのように「よかったー」というのとは違って、「もはやこれまで」という気持ちが、ジンジン伝わってくるかんじです
たまらなくなって「違うよ、違うよ、そうじゃないよ」といって、抱きしめました
氷のようにつめたいからだを、掌でゴシゴシとさすりました
『この子をがっかりさせることは絶対してはいけない』抱き上げた時にそう決心しました

それから、きょうまで。



できるだけ、楽しく、機嫌よく、安心して暮らしてもらいたい、その一心でやってきました
犬プロではないので、知らないことだらけ、学びたいことがたくさんあります
ひとまずオレコのルーツについて、科学的に知ることができたのは、大きな収穫でした
やっぱりな!ということがたくさんあったし、ええそうなの?という驚きもありました
やってよかったです

こんちゃんはハスキー混ざってるかなー
もしかして柴似の雑種ってこともーと思ったりしたのですが、柴100%
柴犬の特徴がひとつもない性格なんですけども、柴なんですよね
個体差でこれだけ『一般的柴』から外れるケースもあるのかー、と、びっくりしました
性格はともかく、犬種として気を付けないといけないことについては、助かりました
やっぱり皮膚が弱いとことか、足がちょっと曲がってきてるとか、いろいろ
痴呆になりやすいというのも、100%柴ということで確率がより高くなりました



野球で言わせてもらうと、マー君を育てたノムさんなんかはデータ重視でしたけれども、やっぱり重要ですよねえ、データって
それのみに振り回されるつもりはないけど、犬種鑑定(きのうのブログへgo)でわかったことをヒントにしながら、日々の変化を注意しながら見守り、あの子たちに機嫌よく過ごしてもらえるようにしたい

なぜってそれが『私のしやわせ』だからです

いわゆる『趣味』ですね、ええ
好きでしていること(お金を稼ぐわけでなく)っていうのは、ほんと強い
苦労なんて思わないしむしろ楽しい、お金はかかるけど



時効警察の霧山君みたいなもんですかね