ウィーンで学ぶ

---ウィーン医科大学心臓胸部外科
留学日記とその後...---

異文化: 日本のお辞儀

2007年12月09日 | 病院
日本の学会に招聘されていたZ教授が今週、戻ってきた。
彼に会ったら、溜まっていた物が吹き出したかのように日本のことを話してくれた。

まずは成田に着き、新幹線で仙台へ。他の教授陣も「シンカンセン」を知っていて、意外にも有名だった。「超特急だがほとんど揺れない」と。日本人には当たり前だが、フランスのTGVと比べると新幹線の車内は静かで震動が少ないことを思い出した。面白いのが、「車内販売の女性が車両に入る度にお辞儀をするが、意味が分からない。何のためにしているのか」と。

仙台の学会では自分の指導医にも会い挨拶をしてくれたと。さらに「学会の夕食事会でタヌキの写真を撮りたいと言ったら、皆に爆笑された」と。これは面白いと思う。

次は大阪で講演。”Japanese pancake”を食べたと。お好み焼きのことだ。気に入ったようでウィーンでも材料を集めて自分で作ると。京都の神社を観光し非常に素晴らしいと。さらに「神戸ビーフは最高だ」と。

そして東京でも講演。「東京と京都では寿司の種類が違い驚いた、ウィーンでは何処でお同じだが」と。日本通の彼は毎朝みそ汁を食べ、繊細な日本の味を楽しんでくれたことを嬉しく思う。ウィーンの食事から想像すると、日本の味を理解してもらえないのではと思うからだ。

その彼が最も日本で驚いたことは、「日本人は敬虔な仏教徒かと思っていたが、至る所にクリスマスツリーがあった」ことだと。「ヨーロッパでは宗教が政治に強く影響するが、日本は政治と宗教は分離し、かつ人々も宗教的に自由で革新的な進んだ国だ」と。

なるほど、ヨーロッパ人から日本を見るとそう思うのか。自分には「無宗教」と「“クリスマス”を利用した商業的なイルミネーション」にしか見えないが。

その後、彼とたまたま廊下ですれ違った。普通はハローと言いながらすれ違うのだ、彼は僕を見つけると頭を下げた。それを見て初めて気づくことがあった。日本的な会釈がどこか奇妙だということを。

日本人同士のお辞儀を見ても特別な感想はないが、ゲルマン人が廊下ですれ違いざまに頭を下げると異様に見える。”ハロー”の方がしっくりいく。彼も新幹線の中で同様の思いをしたのだろうか。
コメント (2)
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