我々はよく「おかげさまで」と口にする。この言葉の意味は、神仏の助けや他人の助けが原因となって恩恵や利益を受けたというのが語源だ。
ときに昔の成功者は、成功の陰にこうした神仏の力があったからと考え、それをお賽銭などで成功の分け前をお返しするという気持ちがあったという。
当然のことながら、お賽銭は匿名であり、どこの誰がいくら寄進した・・・なんてものとは、いささか違う世界の話である。
また、その延長で昔の大企業の創始者は、成功のあかつきに、売れない画家などを屋敷に住まわせ、支援していたケースも多かったという。
これまた、その画家たちに対する無償の施しであり、成功の分け前を匿名で・・・という発想のひとつだったと、昔会社員だった頃、当時の社長が書いた記事があった。
と前振りしておき、それと全く正反対の情けない話を知人から聞いた。今回のコロナ禍で、とある超大企業の支店から都内某区に消毒液を寄付させていただきたいという申し出があったと。
さらに、その企業の担当者から、「区長名で弊社宛の感謝状をいただきたい」との申し出。実は、その区ではすでに某自動車メーカーからコロナ患者移送用に改装した車を寄付されていたものの、感謝状など要請されていなかったので、詳しく確認した由。
すると、こうした社会貢献活動をした証明としてぜひともとのこと。そして後日、消毒液を持参してきた幹部4名。その内容は、ペットボトルサイズの消毒液10本だったという・・・
結果的には区長でなく保健所長が対応したらしいのだが、その幹部曰く、隣接する区も所管していてそこからも感謝状をもらったとのこと。その支店の従業員は600名ほどだというが・・・
これを聞いて、なんとも情けない気分になった。実際のところ、「寄付はありがたいが、感謝状を要求するのってどうよ」と区の中でも話題になり、その企業のイメージダウンに大きく貢献した出来事だったらしい・・・
おそらく、企業全体で社会貢献とか地域支援などの活動をしていて、そのエビデンスとしてということだろうが、感謝状を要求するというのは美しくないと思うのは小生だけだろうか・・・
かつて恵まれない子供の施設に伊達直人名でランドセルを贈る出来事が全国各地で起こったことがあった。
その行為とまったく正反対の行為に見えた小生である。残念ながら、この企業が少なくともこの区の区役所職員たちに、ネガティブイメージを与えてしまったことは間違いない。
ただ、それを本人たちが気が付いているかどうか・・・小生も他山の石にしなければ。
なお、トップ写真はあくまでイメージであり、この話の企業とは関係ないことをお伝えしておく、念のため。
社長に報告するために「手ぶら」じゃ帰れない、とでも考えたのでしょうか。
入院拒否で懲役、って発想とけっこう近いのかもしれませんね。
「自分たちの正義」にみんな賛同する、という思い込みの恐ろしさ。
いつもありがとうございます。私にしては珍しく、真面目一本な記事でしたが、意のあるところをお汲みいただき、幸甚です。
冗談かと思われたとおっしゃるとおり、私もこの話を聞いたときにネタじゃないの?と思ったくらいです。しかも、この会社はおそらく日本人の誰もが知ってる企業です。
失礼ながらその会社の将来は明るくないのではと思ってしまいました。
ただ、おっしゃるとおり、いろんな出来事や事象が同じような思想になってるような気もします。心が貧しくなっているのでしょうか。
*「自分は反日他国ももちろん嫌いだが、正直日本が一番腐った」
何時から日本は日本人はこうまで腐りきったのか、、、恥ずかしいを通り超えて情けない。本来の本物の格好良さとは? 確かに見てくれも容姿外見も大切なのですが何よりもその行動にありますね。確かに「杉良」等は堂々と「売名行為だ」と言いますが、しかしその善意の額と規模が違い過ぎる。世間から何かとうるさく言われる立場の著名人としてはある意味「逆説的な自己防衛」とも言えますが。
何よりこれは「税制」にもよる様で、寄付金に対しての税額控除なんてぇ制度があり、やはり利益を目的とする企業にとっては「名を売る事と税制特典は魅力」なのでしょうね。しかしながらお師匠様のお話が「本物の事実との前提」では、正直この程度の「似非善意?」ではねぇ、、、、杉良のプラチナチケットの切れ端でも煎じて飲ませた方がよろしいのではないかと、、、、本来の「男 企業の格好良さ」ってぇのは、何か事が解った時「えっ、あいつがあの企業が陰でこんな善行をしていたんだ」と言う驚きと見直し感だと思うのです。正直今世間に叩かれている連中も実は陰で寄付や何かをしている人も当然ありますし、最後まで解らない事もあるでしょうね。しかしそれはあくまで「その個人なり企業の思考立ち位置思想」であります。それとですねぇそれほど「感謝状程度の紙切れ」が欲しいなら、やはりそれなりの、、、「価値と規模-物量作戦」で、少なくとも「相手先からぜひぜひ感謝状を差し上げたい」と思わせて欲しいなぁ、、、、こんな赤っ恥を通り超えた言わば愚行が、どっかの反日国家に届けば何を言われ笑われるのか、少しましもな頭なら解るはずなのですが、もしかして既に日本人は末期に来ているのか、、、情けなくて涙も出ませんわねぇ、、、今後もお師匠様にはこうした「笑えるが、実は深い病巣を持つ事象」をぜひご紹介下さい。心より期待いたします。 敬具
あえて、この記事の中では消毒液10本という部分には触れませんでしたが、大石様ご指摘の通り、ここまでするなら相手が感謝状を出させてくださいと思わせるとこまでやってほしいのも事実。
「ダンディズム」というのとはまた違うのかとも思いますが、「本物の粋」というやつを期待するのはもはやないものねだりなのかと・・・