詩(冬)
2020年02月02日 | 詩
空ばかり明るいが
光は乱反射して
地表に届かない
氷よりも冷たい北風が
枯れ枝を鳴らし
何もない野面を吹きすさぶ
枯れ枝を鳴らし
何もない野面を吹きすさぶ
透明な山岳地帯から流れてくる
カミソリのように鋭い風
シベリアの永久凍土を渡り
日本海の荒波を越えて
苛烈な旅をしてきた風
咲き急いだバラと
俺の安手のコートを
さんざん嘲ったあげく
平野の果てをめがけて
走り去っていく
季節の重い足どり
うつむき歩く俺の上にも
いつか光のしずくが
こぼれ落ちるのか
そんなことを信じるより
俺は冬の酷薄を愛する
俺の安手のコートを
さんざん嘲ったあげく
平野の果てをめがけて
走り去っていく
季節の重い足どり
うつむき歩く俺の上にも
いつか光のしずくが
こぼれ落ちるのか
そんなことを信じるより
俺は冬の酷薄を愛する
宮澤賢治いいですね。小生もファンの一人です。昔、花巻の記念館で遺品の原稿やチェロや絵などを見たことを思い出します。