風と光と大地の詩

気まぐれ日記と日々のつぶやき

見る人も聞く人もいない舞台

2023年11月05日 | 

見る人も聞く人もいない舞台

隔離された仮想空間の中で

世界と通信は途絶したまま

呼びかけや眼差しから遠く

演じるのはひとりきりの即興劇

気がつくと幕はもう開いている


映像はひと呼吸遅れてくる

だから後ろ向きに歩いている

遅れを取り戻すことばかり考える

誰かの背中を追っている

いつも対応を迫られている

時は過去の方向に流れている


ある日 行き止まりの道路の先で 不意に

海がのぞくように君と出会った

まぶしい光に僕は思わず立ちすくんだ

頼みもしないのに君の影が僕を覆った

君の不在と存在 身を焦がす苦しみとよろこび


君の鏡に映る僕はどこか見慣れた僕と違っている

時間は君をめぐって未来の方角に流れはじめた

つたない演技もやり直せない一方向の時間旅行

書きかけの頁の余白が未来の物語をはぐくむ