大阪市立美術館「天平礼賛ー高遠なる理想の美展」を見てきました。
神亀6年(729)の8月5日、聖武天皇は元号を改め天平元年と定めた。きっかけは大阪で見つかった1匹の亀。左京職は河内国古市郡(羽曳野市周辺)で見かった亀を献上。甲羅に<天王貴、平知百年>の七文字が浮かんでいたという。これを瑞祥として二字をとって「天平」とした。・・・・図録の総論から。
まず奈良女子大蔵の吉田包春(1878-1949)の正倉院の模造が並ぶ。以前奈良女で拝見したことがあります。今年は正倉院の復元作品を見る機会が多いです。
白鶴美術館の「狩猟門六花形杯」の文様は小さいけどきれいです。隋から唐の鏡が7面。奈良博の白鳳の金銅仏2体が並びます。
京博の奈良三彩の骨臓器、玄昉願経。兵庫の金蔵寺の阿弥陀と神奈川の龍華寺像の頭部が同一作者ないし工房で製作されていたそうです。金蔵寺はざんねんながら体部は江戸のものですが、耳の表現がそっくりなんだそう。
興福寺の八部衆の五部浄の右腕(東京国立博物館蔵)と十大弟子の頭部(大阪市立美術館)がともに並んでいるのが痛々しい。興福寺でも里帰りの機会があればいいが・・。 森川杜園の蘭奢待模刻(東大寺)と正倉院御物写(東大)も並ぶ。快慶の執金剛神(金剛院),明治に平城神宮を建てるための募金のシンボル本多修平作の元明天皇坐像はめずらしい。12月13日まで。
プロローグ 天平探求 ─ 正倉院宝物の輝きを求めて
第1章 天平前夜 ─ 天平美術の源泉
第2章 天平精華 ─ 祈りの造形
第3章 天平回帰 ─ 復古・追慕・憧憬
第4章 天平幻想 ─ 古典化される天平美術
エピローグ 天平礼賛 ─ 歴史の中の天平美術 ここは杉本博司氏装丁の華厳経(二月堂焼経) のみ。