ある日の受講の帰り、京香に声をかけた。
「美味しいイタリアンレストラン見つけたのよ。行こう」
京香は困惑した表情で
「ごめんなさい。今日は用事があって帰ります」と言う。
京香と出会って初めて断られた。
京香は申し訳なさそうな表情で通り過ぎた。
京香に拒否されたことに私を打ちのめされた。
待って!どこへ行くの?誰と会うの?叫びたい衝動を堪えた。
その日を境に京香は私の誘いを断るようになった。
英語スクールの仲間が週末に谷トキオと京香が
手を繋いで表参道を歩いていたのを偶然見たという。
「絵になっていたよ、あの二人」
恐れていたことが起きてしまった。
自分の支配の中にいたと思っていた京香の存在が消えていく。
喪失感は想像以上だった。
京香を目で追う。もう彼女に私自身は写っていない。
ある日の夜、京香がトキオに抱かれる夢をみた。
きゃあ大声で叫ぶ横で寝ていた夫が飛び起きた。
「どうしたんだ!」
京香が他の男のものになってしまう。
「やめて、やめて」
夫が興ざめした表情で見つめていた。
谷トキオへのジェラシーは日を追うごとに増していった。
トキオさえいなければ京香との幸せな時間は続いていたのに。
トキオさえいなければ。トキオさえいなければ
再び幸福な時間が訪れるのに。
いつしかトキオの存在は私の中で、
憎悪と嫉妬の対象になっていた。
続く・・・
「美味しいイタリアンレストラン見つけたのよ。行こう」
京香は困惑した表情で
「ごめんなさい。今日は用事があって帰ります」と言う。
京香と出会って初めて断られた。
京香は申し訳なさそうな表情で通り過ぎた。
京香に拒否されたことに私を打ちのめされた。
待って!どこへ行くの?誰と会うの?叫びたい衝動を堪えた。
その日を境に京香は私の誘いを断るようになった。
英語スクールの仲間が週末に谷トキオと京香が
手を繋いで表参道を歩いていたのを偶然見たという。
「絵になっていたよ、あの二人」
恐れていたことが起きてしまった。
自分の支配の中にいたと思っていた京香の存在が消えていく。
喪失感は想像以上だった。
京香を目で追う。もう彼女に私自身は写っていない。
ある日の夜、京香がトキオに抱かれる夢をみた。
きゃあ大声で叫ぶ横で寝ていた夫が飛び起きた。
「どうしたんだ!」
京香が他の男のものになってしまう。
「やめて、やめて」
夫が興ざめした表情で見つめていた。
谷トキオへのジェラシーは日を追うごとに増していった。
トキオさえいなければ京香との幸せな時間は続いていたのに。
トキオさえいなければ。トキオさえいなければ
再び幸福な時間が訪れるのに。
いつしかトキオの存在は私の中で、
憎悪と嫉妬の対象になっていた。
続く・・・