占い刑事の推理 2
感情が高ぶっていた藤木は我に返った。
「すまない。せっかく君の勧めてくれた店にきていい気分だったのに」
「いえ・・・僕も言いすぎました」
「しかし、何故僕の後を追ったの?僕に疑惑でも感じたのか?」
「どうしてと問われても答えられません。只、僕の独断で行動しました」
「独断で?」
そこまでする理由が麻生にあるのだろうか?
明るく元気で、グルメ嗜好の麻生のことを弟のような愛すべき後輩と思ってつきあってきた。
麻生という人間を刑事としてではなく、ひとりの人間として
考えてみれば、趣味の占いは心理的、精神的なものだ。
彼の内面は深層心理、人の心の機微には人一倍鋭いのではないか。
その鋭利な精神構造を元気で明るい男として演じているのではないか。
藤木は麻生を今まで傍で共に動いていた部下としてではなく、
もっと意識の高い人物に思えてきた。
麻生はバツが悪そうに、頭を掻きながら、
「理由は勘弁してください。いつかお話します」と言った。
そして、二人はもやもやとした気分のまま別れた。
ひとりになると、麻生は暗い夜空を見上げた溜息をついた。
何故、藤木を追いかけて大分まで行ったのか。
心の中で燻り続けていた感情は、藤木と二人で、坂崎雪子と初めて会った時からだった。
二人は知り合いだ。それもかなり深い。第六感だった。
それは刑事としてのカンではなく、長年趣味として学んできた占いのカンだ。
二人の間には、他人がその領域入っていけない絶対的な空気が存在していた。
男女間に漂う匂いのようなもの。
不謹慎な言い方だが、興味の湧くドラマのように麻生には映った。
麻生もまた、独断で坂崎雪子について調査をしていた。
そして、坂崎雪子が高校2年で大分県W市に転校したことを知った。
何故、高校2年生の時に転校したのか。
そこには転校せざるえない何かが起きたのではないだろうか。
とりあえずは、そこから雪子のルーツを知ろう。
藤木が田代雄太のルーツを調べていた頃、
麻生もまた別の真相を求めて大分のW市へと向かっていたのだ。
雪子が高校時代に暮した祖母の家は田舎つくりの瓦屋根の静かな町にあった。
庭には、多様な花が咲いていて穏やかな風情をかもしだしている。
その横にプレハブて建てた古い倉庫のようなものがある。
玄関のインターホンを鳴らすと、しばらく間をおいてドアが開いた。
70代後半の老人が現れた。おそらく雪子の祖母だろう
「どちら様ですか?」
麻生は警察手帳を差し出す。老人はいぶかしげに
「なんで警察がうちにくるんだい?」と少し不機嫌な声で言う。
「坂崎雪子さんはお孫さんでしょうか?」
「雪子?雪子が東京で何かしたのかい?」
「いえ、雪子さんの当時のことを聞かせてもらえないかと思いまして、
雪子さんは高校2年の時にこちらに転校してきましたけどそれはどうしてですか?」
老人の顔が歪んだ。
「何を探りにきたんだ!雪子の何を知りたくてきたのか知らないが帰ってくれ!
それに突然に現れて、非常識じゃないか。これが警察のやることか?」大声で放った。
麻生は、おおごとになり地元の警察に連絡されるとやっかいになるとまずいと思い
非礼を詫びた。不機嫌な老人は乱暴にドアを閉め中に入っていった。
麻生は、ここまできて収穫なしかとがっかりした。
出口の方に歩いている時だった。何気に視線を倉庫の方に移した。
あちこち錆びて、腐っている。かなり古い建物だ。麻生は玄関の方を見た。
老人の姿は見えない。すばやく倉庫の中に入った。
そこは、さまざまな雑貨類や、農業に使用していたと思われる古い機械が
乱雑に置いてあった。麻生はそれぞれに目を通した。
その時、隅に固まって置いてあった薬剤のような瓶やスプレーに目が止まった。
そのひとつの液体瓶を手に取った。
農薬の名を見る。これは?
・・・坂崎孝雄の死因は農薬、そして現在発売中止・・・
麻生の目が光った。
何故、この場所に農薬があるのか。
かつて雪子が暮した家に坂崎孝雄の死因の劇薬がある。
これは一体どういうことか?
続く・・・
感情が高ぶっていた藤木は我に返った。
「すまない。せっかく君の勧めてくれた店にきていい気分だったのに」
「いえ・・・僕も言いすぎました」
「しかし、何故僕の後を追ったの?僕に疑惑でも感じたのか?」
「どうしてと問われても答えられません。只、僕の独断で行動しました」
「独断で?」
そこまでする理由が麻生にあるのだろうか?
明るく元気で、グルメ嗜好の麻生のことを弟のような愛すべき後輩と思ってつきあってきた。
麻生という人間を刑事としてではなく、ひとりの人間として
考えてみれば、趣味の占いは心理的、精神的なものだ。
彼の内面は深層心理、人の心の機微には人一倍鋭いのではないか。
その鋭利な精神構造を元気で明るい男として演じているのではないか。
藤木は麻生を今まで傍で共に動いていた部下としてではなく、
もっと意識の高い人物に思えてきた。
麻生はバツが悪そうに、頭を掻きながら、
「理由は勘弁してください。いつかお話します」と言った。
そして、二人はもやもやとした気分のまま別れた。
ひとりになると、麻生は暗い夜空を見上げた溜息をついた。
何故、藤木を追いかけて大分まで行ったのか。
心の中で燻り続けていた感情は、藤木と二人で、坂崎雪子と初めて会った時からだった。
二人は知り合いだ。それもかなり深い。第六感だった。
それは刑事としてのカンではなく、長年趣味として学んできた占いのカンだ。
二人の間には、他人がその領域入っていけない絶対的な空気が存在していた。
男女間に漂う匂いのようなもの。
不謹慎な言い方だが、興味の湧くドラマのように麻生には映った。
麻生もまた、独断で坂崎雪子について調査をしていた。
そして、坂崎雪子が高校2年で大分県W市に転校したことを知った。
何故、高校2年生の時に転校したのか。
そこには転校せざるえない何かが起きたのではないだろうか。
とりあえずは、そこから雪子のルーツを知ろう。
藤木が田代雄太のルーツを調べていた頃、
麻生もまた別の真相を求めて大分のW市へと向かっていたのだ。
雪子が高校時代に暮した祖母の家は田舎つくりの瓦屋根の静かな町にあった。
庭には、多様な花が咲いていて穏やかな風情をかもしだしている。
その横にプレハブて建てた古い倉庫のようなものがある。
玄関のインターホンを鳴らすと、しばらく間をおいてドアが開いた。
70代後半の老人が現れた。おそらく雪子の祖母だろう
「どちら様ですか?」
麻生は警察手帳を差し出す。老人はいぶかしげに
「なんで警察がうちにくるんだい?」と少し不機嫌な声で言う。
「坂崎雪子さんはお孫さんでしょうか?」
「雪子?雪子が東京で何かしたのかい?」
「いえ、雪子さんの当時のことを聞かせてもらえないかと思いまして、
雪子さんは高校2年の時にこちらに転校してきましたけどそれはどうしてですか?」
老人の顔が歪んだ。
「何を探りにきたんだ!雪子の何を知りたくてきたのか知らないが帰ってくれ!
それに突然に現れて、非常識じゃないか。これが警察のやることか?」大声で放った。
麻生は、おおごとになり地元の警察に連絡されるとやっかいになるとまずいと思い
非礼を詫びた。不機嫌な老人は乱暴にドアを閉め中に入っていった。
麻生は、ここまできて収穫なしかとがっかりした。
出口の方に歩いている時だった。何気に視線を倉庫の方に移した。
あちこち錆びて、腐っている。かなり古い建物だ。麻生は玄関の方を見た。
老人の姿は見えない。すばやく倉庫の中に入った。
そこは、さまざまな雑貨類や、農業に使用していたと思われる古い機械が
乱雑に置いてあった。麻生はそれぞれに目を通した。
その時、隅に固まって置いてあった薬剤のような瓶やスプレーに目が止まった。
そのひとつの液体瓶を手に取った。
農薬の名を見る。これは?
・・・坂崎孝雄の死因は農薬、そして現在発売中止・・・
麻生の目が光った。
何故、この場所に農薬があるのか。
かつて雪子が暮した家に坂崎孝雄の死因の劇薬がある。
これは一体どういうことか?
続く・・・