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どうしょうもなく惹かれる~愛とセックス~3

2016-08-03 10:30:40 | オムニバス恋愛小説
 師走に入り、渋谷の街はイルミネーションでキラキラと輝いていた。
私は、学生時代の友人斎藤真央と久し振りにお酒を飲んだ。
高校、大学と友人は何人かつきあったが、唯一真央だけは今でも交流がある。
あの時代が一番自分でいられた時代だった。
正直に生きていた。我儘に生活していた。
あるがままの自分自身でいられる場所は心地良い。
私と真央はお酒を飲み饒舌になり、悪戯をした思い出話に単純に笑い、語り合った。
学校から帰る途中、コンビニで肉まんや唐揚げを買って食べながら、
その時に夢中になっていたアイドル歌手や、ゲーム、など語りながら帰るのが楽しかった。
真央は大学で知り合った同い年の男性と卒業と同時に結婚した。
友達夫婦のような関係は真央を自由人にしているようで、私は真央といる心が安らいだ。
真央は合理的に物事を処理するタイプの人間だ。
真央の人生論が終了した時には12時を回っていた。
真央と別れた後、タクシーに乗りA町へ向った。
あの小さなスナックはまだあるだろうか?
大学時代、ふらりと入った小さなスナック、駅の近くでタクシーを降り、二、三分歩いて路地に入る。
迷路のように交差する路地を歩く。今にも壊れそうな飲み屋が並ぶ中、赤いドアが右側に見えた。
スナック「酔いどれて」昭和の匂い漂うスナックは健在していた。
私はドアを開けた
「いらっしゃいませ」薄暗い店の中からハスキーな声がした。
席はカウンターが5つあり、テーブル席が3つ程の小さなスナックだ。
お客は私を含め3人しかいなかった。
髪を束ね疲れた表情の中年の女性が注文を聞く。
「ハイボール」カウンターの中にはその女性がひとりだけだった。
2杯目のハイボールを注文して飲んでいる時だった。
男がひとり入ってきた。
その男は私の横に座った。「ジンライム」ぶっきらぼうな声、汗の匂い。
男はジンライムを無造作に手にとり喉に流した。
私はその横顔と流れていく喉を見つめた。
薄明かりの中で見える男の横顔。
喉に流れるジンライムの音が聞こえたような気がする。
男から漂う独特の匂いが琴線を刺激した。
男は私の方を見て凝視した。視線が絡み合う。
そして、1杯だけ飲み男は店を出た。
夢遊病者のように、私は男の後をついていく。
やがて男は狭い路地を曲がった。
古びた建物の前で止まり、入口近い部屋へ入っていった。
男の部屋の前で足を止める。
その途端ドアが開いた。
鋭い視線を向けて男が立っていた。
男は乱暴に玄関先で私の体を抱きしめ壁に押しつけた。
ほとばしる情欲が理性の垣根を飛び越えた。

続く・・・