サービスとは・・・思い出すのは冷房も効かない暑さの中での夜行列車で目的地に着いたときのこと。まだ今のように電力が安定していなくて時間によっては冷房を使えない。 そういえば乗ってきた列車でも暑くてたまらない。 車両には私たち二人だけ。 車掌さんが冷房を切ってしまった。 乗客のことは考えない。
暑さを我慢して終点まで堪えた。 夜の八時が過ぎていた。 予約していたホテルに急いで駆けつけた。
お腹も空いていたのですぐにレストランに入った。 時間が過ぎていた上にチーフが忙しく調理場を片付けている。今からでも何か作っていただけないかと頼んだ。
「今から作りましょう。何を作りましょうか?」 申し訳ないので簡単そうな上海焼きそばと麺類を頼んだ。こんなとき言葉の大切さを実感した。 一緒にいた中国語が分かる相手が話してくれたおかげで食事にあり付けた。
待たせて申し訳ないので急いで食べることにした。 終わりそうになったところでウエートレスがスイカを運んできた。 頼んでいなかったのでそのように告げるとチーフの方を見ながら「今日は暑いから食べてください。」と言ってテーブルに置いた。
もう焼きそばでお腹がいっぱいになってしまったので、苦しかったが全部食べきれない。 半分残してしまった。
ウエートレスが片付けに来て残っているスイカをチーフに持っていった。 そこでチーフが飛んできて「今のスイカは甘くなかったのか、すぐに甘いスイカを用意するから食べて行ってください。」
「美味しかったからもうお腹がいっぱいで食べられないだけ。」 と言っても信じてもらえない。
すぐにウエートレスが甘いスイカを持ってきてくれた。 こんなに親切にされたら食べないわけにはいかない。 二人でフーフー言いながら平らげた。
縁もないレストランで最上のサービスを受けた場面でした。 何年も前のことでも折に触れ思い出します。