暑さ寒さも彼岸までというけど、今日は彼岸明けだけど、なかなかに暑い。
横浜市民ギャラリー。
横浜市民ギャラリーは、開館した1964年から40年にわたり「今日の作家展」を開催してきた。
「新・今日の作家展」は、「今日の作家展」を継承し、毎年テーマを設けて同時代の表現を多角的に紹介し、その表現を考察している。
8回目となる今回は、来田広大と古橋まどか。
新・今日の作家展2023「ここにいるーVoica of Place」。
会期は9月16日~10月9日。
古橋まどか。
古橋はこの作品をインドネシアのジャグジャカルタ州で制作したという。
州内の石の産地をたずねて石切り場の風景を目にしたことから始まるという。
そこで、石や資源は生物や塵が途方もなく長い時間堆積してできる石の切断面を前にして、私たちは本当に短い時間存在しているに過ぎないと感じたという。
古橋の母君が進行性の病を患っていたことと相まみえ、一群の作品へと昇華していった。
焼き物になった土は、土に還らない。
遺骨も、百年、二百年は残存しつづけると聞く。
と、古橋は結ぶのであった。
来田広大。
来田は、土地・場所と人との関係を主体的かつ俯瞰的に探るために、山をフィールドワークのひとつの拠点にしているという。
そこから臨む風景を地図として捉え、同時に「今ここにいる」という認識を作品制作の要素としているという。
メキシコで活動する人類学者のフィールドワークから着想を得て、自らの経験と照らし合わせながら制作した「歩荷」。
北アルプスの雪山に登り、その山頂で見た360°の風景をいくつかに分割し、展示空間の中で構成した「Bird's-eye view」。
高村光太郎の詩「あどけない話」をもとに制作した東京の空と「この場所」の空を対比させる「あどけない空」。
未曾有のパンデミックが収束へとむかい、今、ここにいる。