今日は強風吹き荒れる立夏。
中央図書館へ。
それから神奈川県立歴史博物館へ。
2023年度特別展「あこがれの祥啓-啓書記の幻影と実像-」開催中。
会期は、前期は4月29日~5月21日で、後期は5月23日~6月18日。
展示室内は撮影禁止。
第1章:前史ー祥啓登場前夜
第2章:清玩ー祥啓画を味わう
第3章:追慕ー祥啓をしたう
第4章:輪郭ー狩野派がみた啓書記
第5章:愛好ー近代数寄者が愛した啓書記
「あこがれの祥啓」というタイトルの特別展なのであるけど、祥啓と言ってわかる人は今現在どのくらいいるのだろうか。
賢江祥啓は巨匠・雪舟と双璧をなす室町時代の水墨画家。たぶん雪舟より少し年下だったと推測されている。
啓書記というのは祥啓が鎌倉の建長寺の書記だったから。
祥啓の作品が熱狂的なまでに憧れだったのは主に江戸時代。
室町時代のしかも建長寺の書記職だった祥啓の作品はそんなに多くはない。江戸時代の作品が大半。でも祥啓の印章が押された作品を人々は挙って所有したがったのであった。
岡倉天心によれば祥啓の作風は「その画風。正信と芸阿弥を混ぜしがごとし。大阪平瀬氏(船場梶木町の両替商千草屋当主・平瀬露香)蔵山水、最も傑作なり」ということだ。その岡倉天心絶賛の山水は今は根津美術館にある。
祥啓の歩んだ人生はよくわかってない。
生没年すら不詳である。
どういう経緯からか建長寺で働いていて、更にどういう経緯からか鎌倉から京へのぼり、室町幕府同朋衆として幕府所蔵絵画の管理を担当してた芸阿弥(1431年ー1485年。)に師事し3年に渡り絵を学んだ。
優れた弟子だったようで、鎌倉に戻る祥啓に芸阿弥は「観瀑図(根津美術館蔵)」を餞に持たせたのであった。
その後どう展開していったかも不明だけど、作品は後世にまで高く評価され、「祥啓派」というような流れができて、その後の水墨画に大きな影響を与えた。
ん・・・
いろんなことが浮かんでは消え消えては浮かぶ。
幻影と実像。
なるほどに幻影と実像。
この風はいつまで吹き荒れるのだろうか。