チュンサンが父親を探した経緯はこちらから
https://blog.goo.ne.jp/kirakira0611/e/216e72b658e44655d856885243cc629d
https://blog.goo.ne.jp/kirakira0611/e/6c1ddab3c776482be786c9e8ea3f7d48
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/a6/fae56c4fcc7b58be4c579dee2f1d6282.jpg?1665874004)
誕生日の翌日、ユジンはミニョンの家に来ていた。電話をしたところ、「体調が悪い」とミニョンがつぶやいたからだった。ミニョンはユジンの作ったおかゆをおいしそうに口に入れた。
「たくさん食べて」
ユジンは病気の子供を見守る母親のようなまなざしでミニョンを見ていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/09/7fe3b429f1394fae908e6cf86e115834.jpg?1665874021)
「おいしいなぁ」ミニョンはしみじみと話し出した。
「僕が春川に転校しなかったら、みんなを苦しめなかったよな。でもそれじゃ駄目だな。だってユジンに会えなかったから。何で転校したのかよくわからないけど、とにかく君に会えてよかったよ。」
その表情はとても明るい。
「まだ転校した理由を思い出せないの?」
「うん」
するとユジンは少し躊躇してから、意を決して話し始めた。
「私、知ってるわ。」
「えっ?」
「あなた、お父さんを探しに春川に来たのよ。」
ミニョンはとても驚いていた。思ってもいない理由だったのだ。
「僕が、僕がそう言ったの?そうなんだ。父さんを探しに、、、?思い出せないな。」
「お母さんはあなたに教えてくれないの?」
「もう亡くなったっていうんだよ」
「そう、亡くなったのね」
ユジンは残念そうに言うと、また子供を叱る母親のような顔をしていった。
「もうっ、全部食べないと帰らないからね!」
そういうと、二人はまた顔を見合わせて微笑みあった。しかし、ミニョンを見守るユジンの目は不安そうに揺れた。高校時代にチュンサンが父親のことをよく話していたのを思い出していた。そしてなぜか不吉な予感がしていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/53/eb5021f02feedf0775c5c090168b984a.jpg?1665874423)
ユジンが帰った後、ミニョンもまた嫌な予感がして考え込んでいた。父親を捜しに行ったということは、誰が父親か目星がついていたのだろう。しかし、全く思い出せない。母親は「父親は死んでいる。かつて愛した人だったが捨てられた。そして死んでしまった。」と話していた。自分の父親はだれだろう?ミニョンはいつまでも考え込んでいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/cf/72cb016a6b24b8121b7cdb6a8cc8fc77.jpg?1665874066)
そのころ、サンヒョクの家では、母親のチヨンがサンヒョクにお見合い写真を見せていた。チヨンの選んでくるのは良家の子女ばかりで、今度の女性は『留学準備をしているお嬢様』だった。しかし、サンヒョクは「興味がない」の一点張りで、ろくに写真を見ようともしない。チヨンはイライラして「うんと素敵な女性と結婚して、ユジンを見返してやりましょう」などと言い続けたが、サンヒョクは無視して自室に消えていってしまった。そんなチヨンを、夫のジヌがたしなめていた。そして、サンヒョクを心配したジヌは、サンヒョクの部屋をそっとノックした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/30/27931312500965990812567beef8a00e.jpg?1665874088)
サンヒョクは暗がりの中、魂の抜けたような表情で、ベッドの上に座っている。ジヌも近くの椅子に腰を掛けて話始めた。
「サンヒョク、お前つらいだろう?愛する人を手放すなんて、簡単なことじゃないんだよ。」
「ねぇ、父さん。運命って本当にあるもんなんだね。イミニョンさんて、知ってるだろ?チュンサンと似てる、スキー場であった人。実は、あの人はチュンサンなんだって。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/71/1273c6938f8835103090f10d00c995fb.jpg?1665874108)
するとジヌの顔色が変わった。
「チュンサンは死んだんじゃなくて、記憶喪失だったんだ。」
「じゃあ、チュンサンが生きてたってことか?スキー場で会ったあの人が?」
「そう、、、チュンサンなんだよ。彼がチュンサンなんだ。ミニョンさんがカンミヒの息子だって知ってるよね?彼とも話したけど、本当に不思議な縁だよ、、、」
サンヒョクは独り語りをしていたので、暗闇の中、ジヌの顔色が変わっていくのになかなか気が付かなかったが、父親が衝撃を受けている様子を見て、
「父さん、大丈夫?」と気遣った。ジヌは雷にでも打たれたかのようによろめきながら、サンヒョクの部屋を出ていってしまった。そんな父の姿を、サンヒョクは心配そうに見送った。
次の朝一番でジヌはカンミヒの事務所を訪れた。しかし、ミヒは日本に演奏旅行に出かけていて、二日後まで戻らないという。しかし、ジヌは必死の表情でくいさがる。「急用なのでどうしても話したいんです。なんとか願いします。」そこで、事務所の職員はしかたなくミヒに電話で連絡を取った。韓国から連絡をもらったミヒは、打ち合わせを中断して、あわてて電話に出るのだった。しかし、電話の相手は思いもよらぬ人物だった。
「何?なぜあなたが連絡をくれるの?」
ジヌは必死の表情で言った。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/ad/58342c6b2482b44e12cddae7afb30549.jpg?1665874139)
「君の息子がチュンサンだってなぜ言わなかったんだ?」
「だってあなたに話す必要はないでしょう?」
「もしかしてチュンサンは私の息子だから黙っていたんじゃないのか?」
「あなた、何を言ってるの?!」
ミヒの声が苛立ち始めた。ジヌは思い切って聞いた。
「彼は僕の息子なのか?」
「ほんとうに何言ってるの⁉️あなたとは関係ないから」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/d4/fc94a15be493da4517cb0ea644e1a6a9.jpg?1665874156)
「じゃあ、彼はだれの子なんだ?」
「あなたとは関係ないから切るわね」
そういうと、ミヒはさっさと電話を切ってしまった。しかし顔色はみるみる悪くなり、その場に倒れこんでしまうのだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/7d/6eddd41db92d64a60894bbb6baa92bfc.jpg?1665874174)
ジヌは解せないままミヒの事務所を後にしようとしたが、階段の途中で下からミニョンが上ってくるのが見えた。ミニョンは屈託のない笑顔で挨拶をしてくる。そんなミニョンを、ジヌは複雑な表情で見つめるのだった。どんな声をかければよいかわからなかったのだ。