2008-03-01
3.嫉妬とワル知恵
「なんでタケルが帰って来るのよ! あたしにはもう地球に帰らないって、言ってたじゃない。どんな顔して帰って来るンだか、見てやりたいわ! 」
スクールの食堂で、軽い昼食を取りながら、マギィは周りの子がビビルくらい激しい口調で、タケルのことをなじっていた。
「タケルが生意気な口利くようだったら、容赦はしないわよ。あんなえらそうなこと言って、耳も聞こえないようじゃ、話にならないじゃない。
同じクラスに戻るなんて、冗談じゃないわ。タケルなんか、他のスクールへ行くべきだわ。ここで、これ以上キラシャとイチャイチャされちゃ、たまンないわよ!」
ジョディも、ダンの態度が気に入らない。
「ホント、うちのクラスの男ときたら、自分のやってること棚に上げて、勝手なことばかり言うわよ。ダンのこと、もっととっちめてやればよかった。
プレゼントはくれるなよだって? 威張るなって言うのよ。さっきだって、下級生の子からこそっとプレゼント渡されそうになって、ナンにも言わずにMフォンに注意されてたくせに…」
「アンナのホッとけば? あたし達だって、もうプレゼント買っちゃったンだから、渡さなきゃなンないでしょ? 」
「そうね。でも、隣のクラスのかっこいいダニー、受け取ってくれるかな?
まだ、パートナー決めてないといいけど…。
もう、あんなにたくさん買い込ンだのに、受け取らないなンて言われたらダンのせいよ。
ダンが言ったことって、周りの男子に影響あるから、プレゼント渡せなかったら、どうすればいいっていうのよ! 」
しばらく悪態をついていたジョディは、何かひらめいたように、声をひそめてマギィと話し込んだ。
「ねぇねぇ、マギィ。違うクラスに、頭悪いけど、腕力があるディノっていたじゃない」
「ディノ? ああ、ゴリラみたいな顔したでっかい子? 」
「アノ子に、あまったチョコでも渡して、タケルが帰って来たら、ボコボコにしてもらったら? 」
「そうね。でも、あたしたちが仕掛けたことがバレたら、まずいわよ。それに、もしタケルが帰って来るとしても、次の学年になってからだわ」
「いいじゃない。今のうちにディノにエサを与えといて、いざというときに使えばいいのよ。ダンへの仕返しもしたいし。あたしはやるわよ」
「どうぞ、ご勝手に。あたしはタケルが気に入らないから、追放してやりたいだけよ。キラシャだって、次の学年に進めるかシラナイケド、同じクラスになったらシメないとね…」
「パールもね。フフ。楽しみだわ…」
昼食を食べ終わって、話に夢中になっているジョディとマギィの近くのテーブルで、偶然その話が耳に入ったケンとマイクは、目配せして席を立った。