2021-09-23 15:34:00 | 未来記
11.孤軍奮闘
MFiエリアのラボの1室で、Mフォンから流れる複数の3D動画を見比べながら、ヒロは孤軍奮闘していた。
アフカ・エリアのタケル達の様子を知らせる、3つのドローンからの動画と、ケンに送ったMフォンから映し出されていた動画。
しかし、ケンに送ったMフォンは、いかつい大男に見つかり、取り上げられた上、近くに爆弾が落ちてきたと同時に破壊されたのか、映像が消えた。
ドローンのうち、1機は空高くに待機させて、ヒロが見たい所をズームして使い、2機目はタケルを追っている途中で、銃弾に当たったのか、突然映像が途切れた。
3機目は、ケンとキラシャを捕まえた男が乗った車を追跡し、低い位置からの動画を送っていた。虫と間違えそうな、小さいドローンだ。
ヒロは、これほど危険な状況になっていても、キラシャとケン、タケルは無事でいてくれると信じて、冷静にドローンを操作した。
しかし、キラシャとケンが男達によって、乱暴に立たされ、大勢の男達に銃口を向けられたまま、歩くのを見ていると、さすがに緊張して手が震えた。
しかも、タケルの周りにいた少年達が消え、いきなり黒いカラスが飛び回り始めたではないか。
ヒロは、虫のようなドローンをキラシャとケンのいる場所に飛ばし、そこから銃を持った男達の様子を映し出した。
腹を立てた男の1人が、何やら手に手榴弾を握って、ドローンに向かって投げようとしているのが見えた。
ヒロは、自分のMフォンに向かって、大声で叫んだ。
「転送するなら、今しかない!
キララ、アンタの力を貸してくれ!!
2人のMフォンで元居た場所に転送させるから
アンタの魔法で手助けしてくれ!
タケルのことも、頼むぞ…! 」
タケルへ送ったMフォンを通じて、「わかった」という声が聞こえた。
ヒロは、2人を守るために、3機目のドローンを手榴弾に向かって、垂直に突撃させた。
手榴弾は、空中に舞い上がって、爆発した。