そこに足を踏み入れるとポツンと小さな校舎が見えた。
まだ現役の様に見えるその姿は何故か寂しそうに佇んでみえた。
辺りはもう春を向かえようとして少し暖かな風が吹く。
その風が雪を溶かし地面を濡らし、新しい生命を向えようとしているのにこの校舎にはもう新入生来ない。
寂しげな姿に残雪の白さが妙に目に沁みた‥‥。
「あっしにたいして失礼じゃござんせんか」
「次郎、反省は」「反省」
「太郎は」「ごみんちゃい」
「その態度ゆるせねぇ」「け、健さん、殿中でござる‥」
「太郎~、次郎~」
「俺、太郎」
「俺、猿の次郎」
「まいったな~、健さんに呼ばれちまったよ」
「死んでもらいます」
「ええ~っ」