『車の調子がおかしいので すぐ見てほしいんです』
聞き覚えのある声の主は、都内の高級住宅街T家の家政婦Sさん。
この方は凄い方でまるで実の娘さんの様な対応で主と対峙するのです。
本当の愛情表現とは遠慮がないことなんですね。まるで猛獣使いの様です。
丁度その方面に業務があったので、直ぐに訪問しました。
原因はバッテリーが少し劣化しており、さっそく交換の手配を行い、各部の
整備点検とクリーンアップ。
その間ズ~ッと車の主(T様)が見ていました。
97才と高齢ながらすこぶる元気で3年前の納車時より若返っていて驚きです。
毎日毎日出かけるのが唯一の楽しみで、耳が遠い以外は健常そのもの。
まるで自転車に乗れるようになった少年のように、この車に乗ることが唯一の楽しみです。
お役に立つことができ、しみじみと喜びがこみ上げてきます。
件の家政婦Sさん、帰りがけにそっとポケットに紙に包んだ何かを忍ばせ『お茶でも飲んで帰ってください』
有難うございます。
ではバッテリーをもってまたお邪魔しますとT家を後にしました。
ポケットの中が気になり取り出したところ、何と!5000円札が・・・
太っ腹の家政婦さん。
恐れ入りました。
m(__)m