月乃和熊(ツキノワグマ)のささやき

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零式艦上戦闘機(69) 一式戦闘機『隼』(キ43)

2014-11-29 12:00:00 | 航空機・船舶(軍艦・機)
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零式艦上戦闘機(69) 一式戦闘機『隼』(キ43)   

第二次世界大戦時、海軍の零戦と双璧をなしたのが、昭和16年(1941)に制式化された陸軍の一式戦闘機『隼』だ。
アメリカ側からの呼称は『オスカー』。

海軍は国民に零戦を秘密にしていたが、陸軍は加藤隼戦闘隊などを積極的にプロパガンダとして利用していたので、むしろ戦中は『隼』の方が国民に人気があった。

<隼(キ43‐2型)のカタログスペック>
エンジン:ハ115 複列空冷14気筒 1130馬力 (栄21型)
全福:10.837m
全長:8.60m
機体自重:1910kg
全備重量:2590kg
最高速度:515km/h
航続距離:1760km(増槽時3000km)
兵装:12.7mm機関砲×2(1砲あたり270弾)
   20mm機関砲×1
*1型~3型まで、5700機以上生産された。

機体は中島が設計・生産。
設計には戦後、国産ロケット開発で有名な糸川英夫技師も協力した。

零戦と同じエンジンを搭載し、真上から見ると機体は零戦よりほっそりして、自重、全備重量はともに零戦よりも1000kgほど軽い。

当初は、射撃照準器は望遠鏡型で、武装も7.7mm機銃が2挺装備されているだけであったが、陸軍機としては航続距離に余裕があり、蝶型フラップを採用し空戦能力を向上させた。

攻撃機を援護できる、長大な航続力を持つ零戦が中国大陸から引き上げたあと、大陸での作戦を一手に担い、連合軍が蒋介石率いる中国軍を援護するための物資輸送ルートであった援蒋ルートの遮断、ビルマ攻略作戦などで活躍。

2型が昭和17年(1942)の夏に制式化されると、マレー、シンガポール、パレンバン、ジャワ、ビルマといった南方戦線の他に、ラバウル、ニューギニア方面にも展開し連合軍に対抗した。

2型からは射撃照準器もOPL照準器を採用し、武装は12.7mm機関砲にかわり、破壊力のあるマ弾と呼ばれる炸裂弾を使用した。
250kg爆弾も搭載可能で、陸上機として襲撃機の役割も果たす。

防弾装備は零戦と違い、当初から防漏燃料タンクを採用。
2型からはゴム張りの防弾タンクと操縦席の背面に厚さ13mm厚の防弾鋼板を装備して、防弾装備を充実させた。

ちなみに加藤隼戦闘隊とは、加藤建夫陸軍中佐(戦死後、陸軍少将)が率いる陸軍の飛行第64戦隊の通称だ。

昭和16年(1941)1月から一式戦闘機『隼』の量産が始まると、のちに「ニューギニアは南郷で保つ」といわれた南郷茂男中佐が率いる飛行第59戦隊と、飛行第64戦隊に新鋭戦闘機『隼(キ43-1型)』が配備された。

加藤中佐は昭和17年5月に戦死するものの、飛行第64戦隊は黒江保彦大尉が引き継ぎ、終戦までに撃墜撃破400機以上の戦果を挙げたが、戦死者は122名に上る。

一式戦闘機『隼』は、大戦末期には旧式化したといわれながらも、安定して稼働した機体であったために終戦まで生産が続けられた。
まぎれもない陸軍の主力戦闘機で、零戦に並ぶ日本の名機なのでありました。


零式艦上戦闘機(70) 防弾タンク 2014-12-06   につづく~
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