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零式艦上戦闘機(91) 九七艦攻の雷撃
軍艦は海面から上の装甲が厚く、砲撃等の攻撃で簡単に撃破できない構造だ。
第二次世界戦闘当時、アメリカ軍の戦艦の舷側鋼板は水線(海面から上部)が100~150ミリあるのに対して、水線下の装甲は40ミリ程度で極端に薄い。
日本海軍は、この装甲の薄い舷側に魚雷を命中させることで、確実に敵艦艇を沈められると考えた。
だが、雷撃は低空で敵艦に接近して魚雷を放つので、敵艦からの攻撃にさらされやすく非常に危険な戦術だ。
しかし、厚い水平鋼板をぶち抜かなければならない、800キロ徹甲爆弾による水平爆撃はさほど命中率は高くなく、それに比べるとずっと効果的な戦術と考えられていた。
魚雷の速度は42ノット(約78キロ)。
目標の艦艇の速度は14ノット(約26キロ)で進むと想定し、九七艦攻は自機からその角度を測定し、高度50~250メートルで、目標のおよそ1000メートル手前で魚雷を放つ。
敵艦艇は魚雷を発見すると転舵運動を繰り返すが、左右どちらに回避運動をとっても命中弾を得られるように、隊長の指示で目標を挟撃することで、真珠湾攻撃までに命中率約70パーセントにまで精度を上げた。
しかし想定された真珠湾での雷撃は、深刻な問題があった。
真珠湾のアメリカ海軍は艦艇を2列にして係留しているので、雷撃目標は外側の艦艇なのだが、真珠湾の深度は12メートルと浅い。
普通、雷撃すると放たれた魚雷は最大60メートルにまで沈みこみ、その後4~6メートルの調停深度で目標に向かうのだが、このままでは魚雷が海底に突き刺さってしまう。
そこで昭和16年(1941)7月、航空技術廠は急遽、浅深度魚雷の開発に着手した。
真珠湾攻撃の2ヶ月前、空母赤城の雷撃隊の指揮官 村田重治大尉(すぐに少佐に昇進)に、完成したばかりの浅深度魚雷『九一式改二魚雷』を使いこなすために特命が下った。
昭和16年(1941)10月、一航戦と二航戦の九七艦攻雷撃隊40機は、九州の出水基地に集められ、練習用の浅深度魚雷も充分でない中、熾烈な訓練が始まった。
出水基地を飛び立った九七艦攻40機は、鹿児島湾を真珠湾に見立て、高度2000メートルで桜島東端から突撃を開始。
山肌をかすめながら甲突川の峡谷に入り、高度を50メートルまでに落として谷間を飛ぶ。
さらに鹿児島市内を墜落するかと思わんばかりの、高度40メートでかすめ飛び、速度およそ300キロ(160ノット)で海岸に出ると高度を20メートルにまで下げ、すぐに機首角0度で500メートル先の目標に向かって魚雷を発射する。
このアクロバット飛行のような訓練で、魚雷の沈度を20メール程度にまでに浅くすることができるようになった。
真珠湾奇襲攻撃の1ヶ月前(昭和16年11月)
待ちに待った浅深度魚雷が届き、さっそく水深12メートルの海面で試射してみると、3本中2本が見事に走った。
司令部は来る真珠湾攻撃では、最大で26本程度が命中。命中率を67パーセント程度と予想した。
昭和16年(1941)12月8日 真珠湾奇襲攻撃で、村田少佐率いる九七艦攻の雷撃隊40機は、第一波で出撃。
当初は雷撃隊が最初に攻撃を開始するはずだったが、艦爆隊が最初に投弾したために、爆煙が視界を妨げる中、雷撃隊は40本の魚雷を発射し、36本が命中!
なんと命中率は90パーセントに至ったのであります!
<九七艦攻関連>
零式艦上戦闘機(89) 九七式艦上攻撃機 2015-04-25
零式艦上戦闘機(90) 九七艦攻の水平爆撃 2015-05-02
零式艦上戦闘機(91) 九七艦攻の雷撃 2015-05-09
零式艦上戦闘機(92) 九一式改二魚雷(航空魚雷) 2015-05-16
零式艦上戦闘機(93) 九七式艦上攻撃機(UCC模型) 2015-05-23
零式艦上戦闘機(92) 九一式改二魚雷(航空魚雷) 2015-05-16 につづく~
前の記事 零式艦上戦闘機(90) 九七艦攻の水平爆撃 2015-05-02
<ほぼ一年前の記事>
零式艦上戦闘機(40) 長官機護衛の6機(3)日高上飛曹、岡崎二飛曹の戦死 2014-05-10
=山本五十六長官機が撃墜されたときに護衛の任についていた若い搭乗員達の苦悩=
<関連記事>
零式艦上戦闘機リンク集 2013-09-14
零式艦上戦闘機のお話や、「所沢航空公園」、「零戦来日」の記事はリンク集を見てね♪
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零式艦上戦闘機リンク集・・・・・・・・・・・・・熈代勝覧(きだいしょうらん)リンク集
【乃木希典大将】シリーズリンク集・・・・・・・JRで行く南紀・伊勢の旅2013リンク集
国立東京博物館リンク集 2013-11-01・・・・・京都どすえ~!リンク集
早春の箱根総集編 2014-06-25
零式艦上戦闘機(91) 九七艦攻の雷撃
軍艦は海面から上の装甲が厚く、砲撃等の攻撃で簡単に撃破できない構造だ。
第二次世界戦闘当時、アメリカ軍の戦艦の舷側鋼板は水線(海面から上部)が100~150ミリあるのに対して、水線下の装甲は40ミリ程度で極端に薄い。
日本海軍は、この装甲の薄い舷側に魚雷を命中させることで、確実に敵艦艇を沈められると考えた。
だが、雷撃は低空で敵艦に接近して魚雷を放つので、敵艦からの攻撃にさらされやすく非常に危険な戦術だ。
しかし、厚い水平鋼板をぶち抜かなければならない、800キロ徹甲爆弾による水平爆撃はさほど命中率は高くなく、それに比べるとずっと効果的な戦術と考えられていた。
魚雷の速度は42ノット(約78キロ)。
目標の艦艇の速度は14ノット(約26キロ)で進むと想定し、九七艦攻は自機からその角度を測定し、高度50~250メートルで、目標のおよそ1000メートル手前で魚雷を放つ。
敵艦艇は魚雷を発見すると転舵運動を繰り返すが、左右どちらに回避運動をとっても命中弾を得られるように、隊長の指示で目標を挟撃することで、真珠湾攻撃までに命中率約70パーセントにまで精度を上げた。
しかし想定された真珠湾での雷撃は、深刻な問題があった。
真珠湾のアメリカ海軍は艦艇を2列にして係留しているので、雷撃目標は外側の艦艇なのだが、真珠湾の深度は12メートルと浅い。
普通、雷撃すると放たれた魚雷は最大60メートルにまで沈みこみ、その後4~6メートルの調停深度で目標に向かうのだが、このままでは魚雷が海底に突き刺さってしまう。
そこで昭和16年(1941)7月、航空技術廠は急遽、浅深度魚雷の開発に着手した。
真珠湾攻撃の2ヶ月前、空母赤城の雷撃隊の指揮官 村田重治大尉(すぐに少佐に昇進)に、完成したばかりの浅深度魚雷『九一式改二魚雷』を使いこなすために特命が下った。
昭和16年(1941)10月、一航戦と二航戦の九七艦攻雷撃隊40機は、九州の出水基地に集められ、練習用の浅深度魚雷も充分でない中、熾烈な訓練が始まった。
出水基地を飛び立った九七艦攻40機は、鹿児島湾を真珠湾に見立て、高度2000メートルで桜島東端から突撃を開始。
山肌をかすめながら甲突川の峡谷に入り、高度を50メートルまでに落として谷間を飛ぶ。
さらに鹿児島市内を墜落するかと思わんばかりの、高度40メートでかすめ飛び、速度およそ300キロ(160ノット)で海岸に出ると高度を20メートルにまで下げ、すぐに機首角0度で500メートル先の目標に向かって魚雷を発射する。
このアクロバット飛行のような訓練で、魚雷の沈度を20メール程度にまでに浅くすることができるようになった。
真珠湾奇襲攻撃の1ヶ月前(昭和16年11月)
待ちに待った浅深度魚雷が届き、さっそく水深12メートルの海面で試射してみると、3本中2本が見事に走った。
司令部は来る真珠湾攻撃では、最大で26本程度が命中。命中率を67パーセント程度と予想した。
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なんと命中率は90パーセントに至ったのであります!
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=山本五十六長官機が撃墜されたときに護衛の任についていた若い搭乗員達の苦悩=
零戦52型の雄姿フォトアルバムをご覧あれ!!
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