恵庭冤罪事件被害者支援会より。
▼犯人像
携帯電話の基地局がとらえた発着信記録などによると、犯人が被害者を殺害後、被害者の携帯電話から7回電話をした。2000年3月17日午後0時36分から同3時5分までの間に、(被害者勤務先の)配車センターの2階女子更衣室に入り、被害者のロッカー内に、電源を切った状態で戻すなどした。
更衣室は犯行20日前の2月25日に1階から移転したばかりで、部外者が知り得る状況ではなく、犯人は被告を含めた従業員と推認できる。
▼被告の犯人性を示す間接事実(状況証拠)
(1)4月14日の千歳署での検証で、被告車輌から被害者のロッカーキーが発見された。被告以外が車輌に入れた可能性は考え難い。
(2)殺害後の3月17日午前0時5分から午後3時5分までの間、被告は、発着信記録に基づく被害者の携帯電話の移動経路と同様の動きをしていると認められる。また、犯人は殺害後、被害者の携帯電話から被告の元交際相手で当時被害者と交際中の男性の携帯電話に電話している。男性の電話が偶然であったとは考えられず、男性と特別な関わりのある犯人像を示しており被告があてはまる。
(3)犯人は、灯油類で遺体を焼いた。他方、被告は事件直前の3月16日午前0時ごろと4月1日に灯油を購入したが、16日購入分は発見されておらず、被告車輌の床マットから灯油成分が検出されている。これに関する被告の弁解は不自然・不合理で、弁護人にも16日購入分をそのまま持っていたと虚偽の供述をしており、16日購入分で被害者を焼いた事を強くうかがわせる。
(4)被告車輌の左前輪タイヤの損傷は、250~290℃の高熱を帯びた物体に数分以上触れたと推定される。原因は、被害者を焼いた際、被告車輌が近くにあった以外に考えにくい。
(5)4月15日午後4時20分ごろ、胆振管内早来町の林道沿いで被害者の遺品が焼かれた状態で発見された。被告宅から約3.6km地点で容易に行き着けない場所だが、被告は付近に土地勘があった。
(6)被告は、元交際相手との結婚を意識していたが、男性にその気がないと告げられた。男性と被害者が会っているらしい場面を見た直後から、被害者に230回も電話をかけている。これに関する被告の弁解は不自然で、被告が被害者に悪感情あるいは憎悪の気持を抱いていたのは明らかで、十分、殺害の動機になりうる。
(7)犯人は被害者の勤務先従業員と推認されるが、犯行時間帯、従業員の内4人と被告には明確なアリバイが認められない。しかし、4人に殺害動機となるような事情はなく、被告以外に犯行に関わりをもつ可能性のあるものはいない。
(8)被告は事件直前の3月16日午後9時30分過ぎ、被害者と2人で職場を退社し、被害者と最後に接触したとみられる。その2時間後に被害者が殺害され焼かれている。
(1)―(7)の事実と総合すると、被告が犯人であると強く推認でき、アリバイが成立するなど、被告による犯行が不可能だと判断できる事実がない限り、被告が犯人だと断定できる。
▼被告の犯人性を覆す事実の有無
【被告のアリバイ】
被害者の遺体が焼かれ始めた時刻は、遅くても3月16日午後11時5分ごろで、その現場から、被告車輌が立ち寄った恵庭市内のガソリンスタンドまでは20分程度で着ける。監視カメラの映像記録から、被告が同日午後11時30分43秒にスタンドにいたことはアリバイにはならない。かえって事件当時、被告が焼損現場の近くにいたことは、被告の犯人性を示す状況証拠と言える。
【殺害の不可能性】
(1)被害者の死因は頸部(けいぶ)圧迫による窒息死だが、捜査官による実験結果や、法医学の専門家の証言によれば、(小柄な)被告が体格差のある被害者を殺害するのが不可能だとはいえない。
(2)被害者の遺体は相当部分が炭化状態だったのに対し、(一審判決の事実認定に基づき)弁護人が行なった豚の実験燃焼実験では炭化状態には至らなかった。しかし、人間と豚の皮膚の差や、体温、自然条件などの違いに照らすと、豚の燃焼実験結果から(一審判決が事実認定した方法で)被害者の遺体を炭化させるのは不可能だとはいえない。
【その他】
(1)被害者のロッカーは視界が遮られる場所にあり、他の女性従業員に気づかれずに、被告が被害者の携帯電話をロッカー内に戻す事は十分可能である。
(2)被告車輌から被害者の血痕や指紋などの痕跡が発見されていないが、法医学の専門家の証言などによれば、ただちに被告の犯人性が否定されるものではない。被告車輌の検証は事件の約1ヶ月後で、清掃する事は極めて容易。被告車輌からは被告の指紋さえ検出されておらず被害者の指紋が検出されていなくてもなんら不自然ではない。
(3)弁護人は、複数の男性による性犯罪の可能性が高いと主張するが、はなはだ根拠に乏しく、被告の犯人性を疑う合理的な推測とは言えない。
▼結 論
以上のような状況証拠を総合すれば、被告が被害者を殺害し、遺体を焼いた犯人であると優に認めることができる。この判決内容で、納得できるでしょうか???
裁く側は(判事、検事も、、、)自らの推測(状況判断)のみであるに関わらず、裁かれる側の反論については、(犯行の可能性について、他殆どの主張)極めて僅かな可能性が有ると言うことで、殆ど認めていません。
受刑者の心中を思うと、言葉も出ません。