東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

ナツの田んぼで

2022年11月05日 | トンボ
前回、田中さんをご案内した際は、残念ながら曇り空でナツアカネの活動は見られず、また、ちょうど稲刈りの最中にお邪魔させていただき、田主の方からお話しを伺ったところ、農薬を使用していないのに、以前よりアカトンボもカエル等の生き物が全体的に減ったとお話しを頂いていた。数年ぶりに訪れてみたけれど、自分の眼にはナラ枯れ以外に以前となんら環境の悪化は感じられなかったので、この日はナツアカネ等の活動に期待して再び訪れてみた。

アキアカネ ♂

Nikon D810+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
薄い雲に邪魔され、なかなか強い陽射しが出てくれない中、通水口の目印として立てられた竹にアキアカネのオスが、いつの間にか静止していたので、アキアカネと稲刈り後の田んぼの風景を楽しんだ。この後、気温が上昇すれば、以前の様にナツアカネは産卵に現れるのか?田主の方からアカトンボ減ったな〜と言われた声が、どうしても耳から離れずにいて、不安にさせられながらもナツアカネを待った。すると...

ナツアカネ ♂

Nikon D810+Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED
アキアカネとは異なり成熟したオスは全身が赤くなる。偶にアキアカネに混じり区部の自然公園池でも見かける事があるけれど、アキアカネの様に移動する習性はあまり無く、田んぼに棲むアカトンボのイメージが強い。ナツという名前がつけられているけれど最盛期は夏ではなく秋。夏池で見られるショウジョウトンボのオスをナツアカネと勘違いされている方が多いのも事実。

ナツアカネ ♂

Nikon D810+Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED
気温の上昇と共に何処からともなく次々とナツアカネのオスが田んぼに現れゴールデンタイムに突入。

ナツアカネ(交尾)

Nikon D810+Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED
交尾態は田んぼにべったり静止することが多い。

ナツアカネ(連結産卵)

Nikon D810+Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED
産卵はアキアカネと違い、稲刈り前後に問わず田んぼに、ばらまくスタイル。

ナツアカネ(連結産卵)

Nikon D810+Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED
この日のピーク時は20ペアほどの産卵が見られ、不安は一気に解消された。これだけ多数のナツアカネの産卵が見られるのであれば、もう一種、カトリヤンマが健在である可能性が高いと思い、出現時間まで畔に棲むバッタを撮影。

ショウリョウバッタモドキ ♂

Nikon D810+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D

コバネササキ ♂

Nikon D810+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
2種とも局所性だけれど以前から変わらず畔で見られている。過剰な草刈りと除草剤を使用していない自然に優しい田んぼの証。そろそろカトリの時間だと思い、再び田んぼに眼を向けると、そこには...


カトリヤンマ ♂

Nikon D810+Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED
羽化期には羽化殻の確認に訪れてていたものの発見できず、完全に絶えてしまったかと思っていたところ。ナツアカネに続いていカトリヤンマも健在であることが確認できた。

カトリヤンマ ♂

Nikon D810+Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED
田主の方が言っていた、アカトンボもカエルも減ったというのは事実だと思うけれど、今回、アキアカネ、ナツアカネ、カトリヤンマ、ショウリョウバッタモドキ、コバネササキ等、健在でいてくれて嬉しい限り。何よりも田主の方の多様性に配慮された管理体制に感謝しなくてはならない。ありがとうございます。またお邪魔させて頂きます。

撮影日:10月30日


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