次は高校!!

小中高生は、夏休みも終わりですね（って、今年は２日間執行猶予付きか）。

大学はもう暫く通常授業はありませんが、集中講義などで休み無く授業に参加している人も。


さて、前にもちょっと触れましたが、9月21日には静岡県立磐田南高等学校で出張授業をやります。これは、同校でずっと続けている「ミニ大学」企画の一環で、3日間で結構な数の大学の授業を体験しようという物（せっかくだから90分にして欲しいけど、もう休みじゃないしねぇ）。

実は、磐田南高校で「授業」をやるのは２度目です。
前の時は、出張授業も初めてだったし、連絡も不十分で、いろいろ問題を残しました。

今回は、私のゼミ生の教育実習の時にお話しした先生からの御指名で、メールでいろいろやりとりをしながらゆっくり準備しているので、きっと愉しい授業になると思っています。

題して、

高等学校の教科書を使って大学で授業をしたらこうなる・『去来抄』編

一応、専門に近い近世の文章と言うことで、送っていただいたコピーがこれだったわけで、授業でやったことはないのですが……。

「先師評」から、
行く春を近江の人とおしみけり　ばせを
下京や雪つむ上のよるの雨　凡兆
の部分、
「修行」から、
「先師曰く「ほ句は頭よりすら々と謂ひくだし來るを上品とす」……。
の部分の３カ所。

内容から判断して第一学習社　古典021 高等学校 古典（古文編）らしいです。
このリンク先、単元ごとの狙い、シラバス案まで詳しく書いてあって便利。
指導書はついてないけど。

例えば、この単元の「学習内容（ねらい）」は「俳論を読んで、作者の思想や感情を読み取る。」ということで、「評価の観点」としては

　関心・意欲・態度
　・重要語句の意味を古語辞典で調べている。
　・俳論に接し、積極的に内容を理解しようとしている。
　読む能力
　・本文を適切に口語訳している。
　・内容を構成や展開に即して理解している。
　・作者の思想や感情を読み取っている。
　・俳論の内容に即して俳諧を鑑賞している。
　・俳論の内容のおもしろさを理解している。
　知識・理解
　・本文を正しく音読している。
　・『去来抄』について、文学史上の基本的な知識を持っている。
　・「先師」芭蕉について、文学史上の基本的な知識を持っている。
とか。

いや、皮肉じゃなくて、大学の教師で良かった。
指導要領準拠、入試対応でこれを楽しくやるのは至難の業ですね。

大学の授業でも、勿論こうした基礎的なことはクリアしておかねばならないわけだけれど、その上で、もう少し普遍化することになるんじゃないかな。

高校生はあまり考えないことだと思うけれど、教科書の編集者たちが、『去来抄』全体の中で何故この３つの話を選んだのか、と言う視点をもってみたら、見え方が変わる気がしますよ。そのためには、『去来抄』を全部読まないといけないし、読んだらもっと面白い組み合わせ方も見えてくる。

あんまりここで語ってしまうのもつまらないけれど、この部分には、表現と編集に関わる本質的な問題が書かれていて、それは現代でも十分に通用する。

そのことが、まさに「古典」を学ぶことの意味なんだと思うわけです。

そして、そう言う問題意識を持って時代の最先端で仕事をしているのが彦星先生なワケです。
と言うことで、今回は彦星先生が「授業参観」にいらっしゃるかも!!

たのしみだ！


さて、この授業がうまくいったらいろんなところで話したくなりそうだ。
大学でも実際にやってみたいけど、やっぱり高校でね。

実は、出張授業というのは、公立の場合、教育委員会が窓口になっているらしいのだけれど、今回の場合のように、個人を指名してしまえば実現することもあるようです。私としても、漠然と文系一人、といわれて、ローテーションで行って喋って帰ってくるだけより、こうしたやりとりの中で組み立てていく方がずっと気分がよい。

そんなわけで、ここを見ている受験生や高校関係者って少ないと思いますが、興味があったらそう言う名指し依頼もしてみたら良いと思います。

高校のウチに、大学の先生の授業を体験できるのは、実は素晴らしいこと。
それで、大学に入ってからのイメージも作れるし、もしかしたら少しくらい個別の話も出来るかも知れない。

偏差値がどうとか、入試科目がどうとかばかり気になっていると思うけれど、どんな先生がどんな授業をするのか、というのはとても大事。
高校生は、大学のホームページや関心のある分野の本を読んだりして、この先生！　と思ったら、高校の先生に相談してみたらいいと思います。


と、正直のところ、基本的にはオープンキャンパスでやった方が不公平にならなくて良いと思ってもいるのですけれど。



受講予定者、迷ってる人からの質問、受講後の感想など、匿名で結構ですので、ここに書き込んで下さい。
是非！