例によって記事全文引用。
東京の小学生「勉強役に立たない」 国際比較調査 9月15日18時42分配信 産経新聞
「勉強は役に立つ」と考えている小学生の割合は、世界の6都市の中で東京が最も低かったー。ベネッセが14日発表した学習基本調査の国際比較で明らかになった。また、塾や宿題など学校外の学習時間でも、東京の子はソウルや北京の子より少ない半面、勉強する子としない子の二極化も判明。詰め込み教育は影を潜めたが、学習する上で目的意識を持てない現状が浮き彫りになった。
同社のシンクタンク、ベネッセ教育研究開発センターが平成18年6月~19年1月にかけ、東京▽ソウル▽北京▽ロンドン▽ワシントンDC▽ヘルシンキの小学5年生(10~11歳、公立校)を対象に、学習に関する意識や実態を調べた。
設問で、「出世する」「金持ちになる」「社会で役に立つ人になる」ために勉強が役立つかをたずねると、「役に立つ」と答えた割合は、東京の小学生が全項目で最低だった。希望の進学段階も、北京の小学生の65・2%が「大学院まで」を希望したが、東京の小学生は「高校まで」との回答が相対的に多かった。
塾など学校外で学習する時間の平均では東京が101・1分で、ソウル(145・8分)や北京(131・6分)より少なかった。東京は1時間以下が49・3%を占める一方、3時間半以上も18・1%と二極化していた。親が勉強するよう毎日いう割合は東京が37・7%で、ヘルシンキに次ぎ2番目に低かった。
調査責任者の耳塚寛明・お茶の水女子大教授は「(日本は)競争するものと競争しないものの分化が増している。学歴や学習に否定的なイメージが広がり、問題だと思う」と話している。
調査報告が記事になる時は、気になったら必ずネタ元をチェックした方が良い。
今回は、ベネッセ教育研究開発センターの「学習基本調査・国際6都市調査」速報版を見ることが出来る。
問題の「役に立つ」に関して、ベネッセは、8項目について訊いている。
そのまとめは
いずれの都市でも小学生は勉強がさまざまなことに役に立つと考えているようで、「役に立つ」(とても役に立つ+まあ役に立つ)が7~8割を超えている項目が多い。ただし、東京はほとんどの項目で数値がもっとも低く、勉強の役立ち感が相対的に低めであることがわかる。とくに、「一流の会社に入るために」(東京74.9%<他の5都市82.2~88.0%、以下同)、「会社や役所に入ってえらくなる(出世する)ために」(64.3%<75.8~91.9%)、「お金持ちになるために」(42.6%<65.7~78.6%)などで「役に立つ」という回答が少なく、勉強を出世や収入など社会的な成功の手段と考える傾向が他の都市の小学生よりも弱いようである。
その上で、価値観や社会観について問い、
最初の3項目で、幸せになれると思う条件についてたずねた。その結果、「いい友だちがいると幸せになれる」は、いずれの都市でも肯定率(とてもそう思う+まあそう思う)が高く、大きな差はみられない。しかし、「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」は、ロンドンとワシントンDCで9割を超え、ソウルと北京が7~8割台で続き、東京は6割弱と、都市による違いがみられた。また、「お金がたくさんあると幸せになれる」は東京が4割強、北京が3割弱と、他の都市よりも低い。相対的にみて、東京の小学生は「いい大学」や「お金」を幸せの条件とはあまり考えていないことがわかる。
自分の将来については、「将来、一流の会社に入ったり、一流の仕事につきたい」(東京57.2%<他の5都市72.1~95.3%)という願いも、東京は他の都市の小学生より肯定率が低い。さらに、自分の国や社会についての意識では、「努力すればむくわれる社会だ」(東京67.7%<他の5都市76.0~92.7%、以下同)、「競争がはげしい社会だ」(59.7%<69.2~87.2%)のいずれの項目も、東京の数値はもっとも低い。
と来て、高学歴不要の話になる。
で、最初の記事の耳塚教授のコメント。
「……学歴や学習に否定的なイメージが広がり、問題だと思う」
なんだけれど。そうなのかな。
私は漁村に育った。
大学に行く人は少なかったと思う。
漁師になるのに「勉強」は要らない。
と言うより、彼等にとっての勉強は海が学校なんだろう。
なにが幸せなのか、と言うことと、制度としての「学校」での、与えられる「勉強」に、明らかなギャップが存在する。
そのことはちゃんと見極めないといけない。
ならば、「学校」に何が出来るのか。
大学は?
実は、本気で「教育改革」を仕掛けるチャンスなのかも知れないとさえ。
さてさて学文といへる物は、斯様の事とはゆめゆめ存候はず。草紙など広く読み、文字など多く覚えたる人をこそ物知りとは存候ひつれ、左様にてもなく候はヾ、我等も学文こそ致し候はめ。此御物語を承り候も、はや学文にてこそおはしまし候へ、忝き事哉。 『清水物語』(新 日本古典文学大系)
東京の小学生「勉強役に立たない」 国際比較調査 9月15日18時42分配信 産経新聞
「勉強は役に立つ」と考えている小学生の割合は、世界の6都市の中で東京が最も低かったー。ベネッセが14日発表した学習基本調査の国際比較で明らかになった。また、塾や宿題など学校外の学習時間でも、東京の子はソウルや北京の子より少ない半面、勉強する子としない子の二極化も判明。詰め込み教育は影を潜めたが、学習する上で目的意識を持てない現状が浮き彫りになった。
同社のシンクタンク、ベネッセ教育研究開発センターが平成18年6月~19年1月にかけ、東京▽ソウル▽北京▽ロンドン▽ワシントンDC▽ヘルシンキの小学5年生(10~11歳、公立校)を対象に、学習に関する意識や実態を調べた。
設問で、「出世する」「金持ちになる」「社会で役に立つ人になる」ために勉強が役立つかをたずねると、「役に立つ」と答えた割合は、東京の小学生が全項目で最低だった。希望の進学段階も、北京の小学生の65・2%が「大学院まで」を希望したが、東京の小学生は「高校まで」との回答が相対的に多かった。
塾など学校外で学習する時間の平均では東京が101・1分で、ソウル(145・8分)や北京(131・6分)より少なかった。東京は1時間以下が49・3%を占める一方、3時間半以上も18・1%と二極化していた。親が勉強するよう毎日いう割合は東京が37・7%で、ヘルシンキに次ぎ2番目に低かった。
調査責任者の耳塚寛明・お茶の水女子大教授は「(日本は)競争するものと競争しないものの分化が増している。学歴や学習に否定的なイメージが広がり、問題だと思う」と話している。
調査報告が記事になる時は、気になったら必ずネタ元をチェックした方が良い。
今回は、ベネッセ教育研究開発センターの「学習基本調査・国際6都市調査」速報版を見ることが出来る。
問題の「役に立つ」に関して、ベネッセは、8項目について訊いている。
そのまとめは
いずれの都市でも小学生は勉強がさまざまなことに役に立つと考えているようで、「役に立つ」(とても役に立つ+まあ役に立つ)が7~8割を超えている項目が多い。ただし、東京はほとんどの項目で数値がもっとも低く、勉強の役立ち感が相対的に低めであることがわかる。とくに、「一流の会社に入るために」(東京74.9%<他の5都市82.2~88.0%、以下同)、「会社や役所に入ってえらくなる(出世する)ために」(64.3%<75.8~91.9%)、「お金持ちになるために」(42.6%<65.7~78.6%)などで「役に立つ」という回答が少なく、勉強を出世や収入など社会的な成功の手段と考える傾向が他の都市の小学生よりも弱いようである。
その上で、価値観や社会観について問い、
最初の3項目で、幸せになれると思う条件についてたずねた。その結果、「いい友だちがいると幸せになれる」は、いずれの都市でも肯定率(とてもそう思う+まあそう思う)が高く、大きな差はみられない。しかし、「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」は、ロンドンとワシントンDCで9割を超え、ソウルと北京が7~8割台で続き、東京は6割弱と、都市による違いがみられた。また、「お金がたくさんあると幸せになれる」は東京が4割強、北京が3割弱と、他の都市よりも低い。相対的にみて、東京の小学生は「いい大学」や「お金」を幸せの条件とはあまり考えていないことがわかる。
自分の将来については、「将来、一流の会社に入ったり、一流の仕事につきたい」(東京57.2%<他の5都市72.1~95.3%)という願いも、東京は他の都市の小学生より肯定率が低い。さらに、自分の国や社会についての意識では、「努力すればむくわれる社会だ」(東京67.7%<他の5都市76.0~92.7%、以下同)、「競争がはげしい社会だ」(59.7%<69.2~87.2%)のいずれの項目も、東京の数値はもっとも低い。
と来て、高学歴不要の話になる。
で、最初の記事の耳塚教授のコメント。
「……学歴や学習に否定的なイメージが広がり、問題だと思う」
なんだけれど。そうなのかな。
私は漁村に育った。
大学に行く人は少なかったと思う。
漁師になるのに「勉強」は要らない。
と言うより、彼等にとっての勉強は海が学校なんだろう。
なにが幸せなのか、と言うことと、制度としての「学校」での、与えられる「勉強」に、明らかなギャップが存在する。
そのことはちゃんと見極めないといけない。
ならば、「学校」に何が出来るのか。
大学は?
実は、本気で「教育改革」を仕掛けるチャンスなのかも知れないとさえ。
さてさて学文といへる物は、斯様の事とはゆめゆめ存候はず。草紙など広く読み、文字など多く覚えたる人をこそ物知りとは存候ひつれ、左様にてもなく候はヾ、我等も学文こそ致し候はめ。此御物語を承り候も、はや学文にてこそおはしまし候へ、忝き事哉。 『清水物語』(新 日本古典文学大系)
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