コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

prize

2008-12-10 19:34:20 | 
日本時間の今夜だか明日の未明だか、ノーベル賞の授賞式があるらしい。
朝のニュースで驚いたのは、それに合わせて日本人観光客が増えてるんだとか。

ノーベル賞が話題になるたびに、ある卒業生のことを思い出す(心当たり、あるでしょ、キミだよ)。
ある時、彼のことを人に紹介しながら、つい「将来はノーベル賞モノ」と言ったら、真顔で「……学にはノーベル賞はないんです」と。
続けて、こういう賞が学問の世界をゆがめているのだと言うような発言が出てきて、虚をつかれた。
多分まだ学部生の頃だ。
若い彼には随分たくさんのことを教わった。


私は、幼稚園の頃、ぺんてるの全国絵画コンクール(正確な名称は失念)で入選したことがある。
しかし、それからあとは、「賞」とは無縁の生活。これから先も多分ないだろう。
あぁ、ついでに言えば「罰」なら「厳重注意処分」があるから、履歴書の「賞罰」欄はそれなりに個性が出せそうなんだけれど。



さて。
12/9、学長表彰の表彰式に出席した。

対象者は2組。
おめでとうございます。

ヨーヨーの世界チャンピオンは二年連続と言うことで、個人の二度受賞は初めてだとか。
すごいなぁ。
大学院に進学するらしいので、まだ2年チャンスあるし。

そして、我らが情報意匠論
こちらは、同じ授業で2度目。これも快挙でしょう。
実は、一昨年、グランプリとはいえ、ローカルな静岡新聞広告賞だったので、甘いんじゃないかと言う批判も出ていたらしいのを、当時の学部長が頑張って地域連携のモチベーション向上に、と言うことで通した経緯がある。
今回は、「優秀賞」とはいうものの、堂々全国区の新聞協会賞
さすがにどこからも文句は出なかったはず。

それにしても何で私がその場にいるのか、解ってる人の方が少ない完全アウェイ。

ともあれ、式は終始和やかな中30分で終了したわけですが……。


んで?
いろんな人が、○○のおかげで、と挨拶をする。


で、おしまい。

たとえば、情報意匠論という授業が存在できるのは、アッパレ会が大学に寄附してくれているからだ。
今の非常勤予算では毎年同じ科目を非常勤講師で開講すると言うのは無理。
しかし、そもそも、こういう場が存在できるのは、人文学部言語文化学科が存在し、この科目を学科共通科目として立ててくれているからだと言うことを忘れてはいけない。

言語文化学科は、教員が定年で辞めるとほぼ補充できない状態が続いている。
他の学科も同じ、と言えなくもないのだけれど、それでも、私から見たら静岡空港と同じくらい無駄な法科大学院には手厚い。

恨み辛みを数え上げたら切りがないし、暗くなるばっかりなのでやめておくけれど、そして、このブログの中で何度も書いていることなんだけれど、大学の方針(と言うか、文科省の方針)は、学問や学生のためになっていない。
少なくとも、文科系基礎学をちゃんと支えていくという点に関しては、それを目標の一つに掲げたはずのアッパレ会が始まってからも、何一つ改善されていない。

アッパレ会は、地域と大学を結ぶ事に関しては大きな成果を挙げたし、学生の目を社会に向ける功績もあった。
しかし、そういう「成功」が却って文系基礎学軽視の風潮と連動し、学生達の授業軽視、「大学で学べないこと」偏重に繋がってしまった。

表彰された学生達は素晴らしい。
指導に当たった彦星先生は、ほんとにすごい。
初年度から続けて3年賞を取らせるなんて、始まる前に予想してた人はいないと思う。

なんだけれど、言語学や文学の本当に基礎になる授業をこつこつ続けている人たちが大学には居て、その人達の授業は、ともすれば、面白くないから門前塾の準備のためにさぼってしまえ、と言う学生達を相手にし続けているのが、現実。

もちろん、休んだら損だと思わせる授業をしていない教員は猛省するべきだ。
私も、「感染力」なんて言いながら、実のところ道楽の話をお気楽にする授業しかやってないんだから、えらそうなことは言えないんだけれど。


それにしても。

それにしても、表彰するなら、成果を認めるなら、大学として、こういう地味な学問に対して、正当な評価と、手当てをして欲しい。

話は、こうして、ノーベル賞のない学問分野、と言うことに戻る。


情報意匠論を絶賛、にこやかに賞を与える、同じ連中が、言語文化学科をつぶそうとしているのを、私は許すことが出来ない。



大学、教室という場を再生(この言葉を使うためには、崩壊している事を前提にしなければならないんだよな)するために必要な事を、教員も、学生も、もっと考えなければならないし、そういう取り組み(お仕着せ、アリバイ作りのFD活動の事を言っているのではない)を大学が支える必要がある、と言う話はまたあとで。

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1 コメント

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あ、誤解の無いようにに補足 (コニタ)
2008-12-11 07:12:40
私の専門分野は、勿論ノーベル賞は関係ありませんが、「賞」と無縁なわけではありません。

有名なのは日本古典文学会賞
最近出来た日本近世文学会賞
http://wwwsoc.nii.ac.jp/nkb/doc/prize.html

企業のだと
角川源義賞
サントリー学芸賞
読売文学賞
……

結構あるなぁ……。
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