コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

注文の多い筆者

2010-10-19 23:02:57 | 
たまたま今日、私が取材された記事二件について知らせが入りましたのでお知らせです。
ふたつとも色々裏事情があります。


ひとつめ。
静岡の学生たちがやっている『静岡時代』、20号(2010秋)、「あしたの本棚」欄に掲載されました。
随分前に「せんせいの引き出し」に登場して以来二度目。
立ち上げメンバーはもう関わってないのかな。
ちゃんと引き継いでやっているのは取りあえず感心です。

「明日の本棚」というコーナーは、未読の本を紹介せよ、という注文で、1冊170字見当で3冊分。
私が何を選んだかをここで紹介してしまうような野暮なことはしません。
自分で手に取ってみて下さい。
それにしても、私の両脇の人たち、字数オーバーじゃないのかな。

この記事の依頼は、最初、未読の本の“レビュー”という形でした。
そこで私はレムの『完全な真空』みたいなことですね、と言う返事をしたら、そうではなく、実在する未読の本じゃなきゃイカンのだと(て言うか、そもそも識らなかったらしい……。世代なのかなぁ)。

このはなしはちょっと面白かったので、mixiで紹介したところ、何人かが“読んでないけれど読みたい本”として、“自分が未来に出す本”を挙げました。
なるほど!
私もそれは読みたい。
そして、もっと真面目な話をするなら、我々書物研究に関わる輩が、こういう問いをされたら、多くは、存在が確認されていないけれど、必ずある(あった)はずの本、を言うに決まっています。
例えば、紫式部自筆源氏物語であるとか、芭蕉自筆の旅日記であるとか。

今回の注文主は、そう言う学問の愉しさにはまだ気づいてないんだな、と、ちょっと寂しかったのでございます。




もうひとつ。
“夢ナビ”という、高校生向けの進路選択情報サイト(?)に、私の記事が二つ掲載されました。

大学名・教授名検索というのを使えばすぐ見つかってしまいますが、まぁ、キーワードで探してみて下さい。


これも面白いやりとりがあったので紹介しておきます。
この“講義”記事は、実際にはライターと編集者の方が大学まで来て、1時間ほど雑談のように専門分野について話をした物を、彼らが講義体で書いた物です。
従って、私が使わないような言葉遣いや用語が色々出てきます。
ちょっと面食らったのでお願いして、私の記事には
この講義は、取材に基づき夢ナビ編集部が文章をまとめています。
                                夢ナビ編集部

と言う断りを入れていただきました。
面倒なお願いを聞き入れて下さったことには感謝していますが、他の人たちは、それぞれの記事が自分の講義として掲載されることに抵抗がないのかなぁ、と、むしろ不思議でなりません。

字数制限もあるようで、2つの記事とも、何ともじれったい内容になっていますが、伝わりますかね。
そして、親切な挿絵も、私の考えと本質的なところが正反対になっています。
これは、“普通の人”たちの常識的な考え方の反映なのでしょうが、学問はそう言う物ではないのです。
既存の考えの枠組みを外して前進していかないと。
時間があったら、両方とも、私バージョンを作りたいところです。


と、まぁ、愚痴は言っても、こうやって声を掛けていただけるのはありがたいし、受験関係の皆さんに少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。
興味を持った若い人たちが、自分で調べて、ナントカここにたどり着いてくれたらありがたい。



【10/20 追記】
先ほど“夢ナビ”さんから連絡があり、ふたつの記事の内一つは取り下げたそうです。
これからまた相談、と言うことになりそう。

ここで反省しなければならないことはふたつ。
一つは、やっぱり根気よくやりとりしないと満足の出来る原稿にはならない、ということ。
その点では、私が期限ギリギリまで一人で抱え込んでしまった責任は重大です。

もう一つは、私自身の説明の拙さ。
論文を読んでください、で済む話ではない、と言うことなんですよね。
既存の考え方の枠組みをはずそうと思うなら、それなりの話し方があったはずだと。
大学の授業は時間もたっぷりあるから、誤解を解く為に色々可能なのに、それでも伝わらないこともいろいろ。
まして、[取材→記者の原稿]によって考え方を伝えるのは本当に難しい。

“夢ナビ”に掲載されている多くの研究者達に不満・不安がないのだとすれば、これもやっぱり私の問題なのだと言うことになる。

何とも情けない。

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