団塊のしっぽが綴る ありのままの田舎暮らし

躊躇いながら近づいてくる未来と、静かに佇む過去のはざまで。

母が人生で一番嬉しかったこと。

2023-04-26 | 日々のこと。



実家の母は、私の弟と二人で暮らしている。
父が亡くなってから5年の間に、要支援1から要介護2へと、
確実に老化が進んでいる。
食事も排泄も入浴も一人ででき、会話も普通にできているが、直近の
ことはほとんど忘れてしまう。
でも、明るくて元気だ。

コロナによる行動規制が緩和された過日、3年ぶりに母に会うために
帰省した。思い出話に花が咲いた。
昔のことはよく覚えているので、次から次へと話題は尽きない。
初めて聞く話もあって、驚かされた。

その日、母の頭が一段と冴えていたので、私は、聞きたいことは今の
うちに聞いておこうと思い、母に尋ねた。
「これまでの人生で、一番嬉しかったことは何?」
母は、2、3秒後にこう答えた。
「女の子が生まれたこと」と。

私はそれが、すぐに自分のことだとは分からなかった。
「それって、私のこと?」
炬燵に寝ころんでいた私は、起き上がって間抜けな質問をした。

他に誰がいるというのか。母の子供は弟と私の二人しかいない。
「初めての子供は女の子がいいなと思っていたから、女の子が生まれ
てすごく嬉しかった。毎日、顔ばっかり眺めていた」
母は、こともなげに言った。

意外だった。もちろん仲が悪い訳ではない。
でも、もっと違う答えが返ってくると思っていた。
私は母の期待をずっと裏切ってきたと、自分では思っていた。
思いもよらなかった母の言葉に、胸が温かくなるのが実感として分かった。
(胸って本当に温かくなるのだ!)
母はお世辞を言うような人ではないので、私はその言葉をそのまま受け取った。

本当に嬉しかった。
72歳にもなって、こんなに嬉しいものかと、自分でも呆れるほどに。
そして、どんなことがあっても、母を守りたいと思った。


さて、後日気が付いたことだが、私はもう一つの大事な質問を忘れていた。
「人生で一番悲しかったことは何?」

私の予想は父との別れだが、もしかしたら違う答えが返ってくるのかもしれない。




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読書の愉しみ。「街とその不確かな壁」

2023-04-17 | 日々のこと。


趣味は何?と聞かれたら、迷わず読書と答える。
ジャンルは主に文学で、小説を読むのが好き。
初めて本を読む楽しさを知ったのは、小学二年生のとき。

子供のころ体の弱かった私は、よく学校を休んだ。
そんなある日、担任の先生がお見舞いに来てくれて、お土産に
「キュリー夫人」の伝記をくださった。
それまでは漫画や絵本くらいしか読んでいなかった私だが、
その伝記に夢中になって、何度も読み返した。
活字の本がこんなに面白いなんて!

その後、我が家には赤い立派な表紙の「少年少女世界文学全集」
が毎月届くようになった。
母が家計をやり繰りして、私のために買ってくれたのだ。
どんなに待ち遠しかったことか。
以来、読書は私の生活の一部となり、お小遣いはほとんど本に費
やされ、制服のポケットには文庫本がいつも捻じ込まれていた。

今は読みたい本はほとんど図書館を利用するけれど、どうして
も手元に置いておきたい本は購入する。
自宅の書斎の本棚に一番多く並ぶのは、村上春樹。
デビュー以来、ずっとファン。一番好きな作家。
先日、六年ぶりの長編小説「街とその不確かな壁」が発売された。
amazonに予約して、ワクワクしながら待っていた。
毎日、一時間と時間を決めてページをめくっている。




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ペットは本当に幸せなのかな?

2023-04-07 | 日々のこと。



つねづね疑問に思っていることがある。
ペットとして飼われている動物は、本当に幸せなのだろうか?と。
例えば、猫。
避妊手術をされ、健康のためにと与えられるのはペットフードだけ。
さらに1日中家の中に閉じ込められて、飼い主の気分次第で可愛がられたり
遠ざけられたり。
恋のトキメキも食べる楽しみも行動の自由も、猫の意志はすべて奪われている。
これって、人間の都合に合わせているだけではないのか?

春になって野良猫の繁殖時期を迎えると、「野良猫に餌をやるな」「飼い猫には
避妊手術を」という行政放送が頻繁に流れる。
野良猫が増えすぎると、猫にとっても人間にとってもさまざまな弊害が生まれる
という論理。
動物愛護の名のもとに、いかにも正義であるかのように行われるさまざまな動物虐待。
人間て、そんなに偉かったっけ?
地球上の生き物は人間も動物も植物も、みんな平等のはず。

だからと言って、不衛生な環境で動物を多頭飼いするような人を擁護する気は全く
ないし、毒を持っていたりやたらに嚙みついたりする動物を放し飼いにしていいと
は思いません。
ただ、ペットという存在になんとなく違和感を覚えるのですよ。





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ド・根性ワラビ

2023-04-03 | 日々のこと。






アスファルトの裂け目から、芽を出したワラビ。
この逞しさ!!
すごいなあ。

寒暖差が体に堪える・・・などと、体調を崩している場合ではない。
頑張れ、わたし。



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