『クーリエ・ジャポン』3月号が
「言葉」こそがあなたの武器である。
という特集を組んでいます。
どの記事も、とっても面白くて、
ご紹介したいものばかり。
今日は、その中から一つ、
「センス・オブ・オーナーシップ」というものについて
書きたいと思います。
これは、「交渉」について
島田久仁彦さんという方が書いていた記事に
登場していた言葉です。
島田さんは、国連紛争調停官、日本政府交渉官を経て、
現在は内外の政府や企業の交渉アドバイザーをされているという方。
文字通り「交渉」のプロフェッショナル。
海外では、ネゴシエーターという職業が当たり前に存在し、
大学では交渉の理論や具体的テクニック、
心構えなどを教える実践的な学問として
「交渉学」という科目もあると言います。
島田さんのような人の仕事は、もちろん、
自分の依頼人の希望が通るように交渉を成立させること。
で、その仕事において大切なのが
「センス・オブ・オーナーシップ」なのだと言います。
「オーナーシップ」(ownership)とは、
所有権、といった意味のほか、
当事者意識、責任感、という意味を持ちます。
Sence of ownershipは、つまり
「物事の意思決定を行う立場にあるという感覚」
ということになります。
たとえば、友達と外食をする時に、何を食べるか
決めるとします。
その時、そこにいる誰もが、店選びに自分も参加した、
自分の意見も最終決定に生かされている、
そんな感覚になれることが重要だ、というのです。
要するに、交渉の時には、
相談して自分も一緒に決めた、という感覚を持てることが大切
なんですね。
その時に大事なこととしては、
「アンカー(船の碇)」を打つことだそうです。
たとえば、外食の例で言うと、
自分は焼き肉を食べたい、
でもほかの人は何が食べたいかわからない、としたら、
「なんか、肉を食べたいね」
というように、やんわりと相手に知らせておく
というような行動が「アンカーを打つ」ことになります。
すると、最終的には「焼き肉」にならなくても、
しゃぶしゃぶやステーキに落ち着く可能性は高まるわけです。
波が来て船が流されそうになっても、
アンカーが基点となって一定の範囲に収まるようになる
というわけです。
また、当然ながら、
事前の情報収集とそれに基づいた根回し
をしておくことも大切。
予め、他の人の好きなものや嫌いなものを把握しておく、
最近お祝い事があった人はいないかチェックしておく、
などでしょうか。
そしてもし、誕生日が近い人が外食メンバーにいるのだったら、
寄せ書き用のカードを用意しておくとか、
ちょっとしたプレゼントを用意しておく、
といったことができればいいということになりますね。
また、交渉の中で書類などをまとめたりする必要がある場合は、
それをはじめから自分1人で完璧に仕上げようとしないことも
大事だと言います。
6割くらいの出来のものをたたき台として出して、
他のメンバーに突っ込みを入れてもらう。
そうやって仕上げていく。
そうすると、参加者みんなが、
「自分で作った」感覚を持てる、というわけです。
「交渉」は、自分の優秀さをアピールする場でもなければ、
勝ち負けを決める場でもありません。
相手も自分もハッピーになれる、
Win-Winの関係をいかにして築くか、ということ。
そのためには、7~8割は相手に話をさせる、というのも
大事なポイントだと言います。
そして、問題点(What)がわかったからと言って
すぐに解決法(How)を考えようとせず、
なぜ、相手はそう主張するのかの理由(Why)を
突き止めることが大事なのだそうです。
なぜなら、本当によい解決策のヒントは、そこにあるから。
さて、「交渉」というと、
なんだか、対外的なもの、というイメージを持ちますが、
人と人とが何かをうまくやっていこうという場合、
そこには大なり小なり、「交渉」が存在するのだと、
この記事を読んでいて改めて思いました。
仕事でも家庭でも、
すべてが決まってから自分のところに話が来た、
というケースでは、
やる気が起きなかったり、
時には怒りが湧いてきたり、
という経験をお持ちの方も少なくないと思います。
それは、
自分には意思決定権がなかった=自分の存在価値を認められていない、
という感じになるからなのでしょう。
Sence of ownership
心に刻みたいと思います。
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こうして冷静に、話し合いができれば素晴らしいなぁと思いました。
Sence of ownership、素敵な言葉をありがとうございました。