手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

聞き取り通訳/官僚言葉

2015-12-19 02:38:24 | 手話
ろう者が役所に陳情に行く。
手話通訳者のみなさん、こういう場面で通訳した経験はおありだろうか。
地元ろう協会長のTさんに同行して通訳した時のこと。
Tさんは、
「手話通訳者研修の内容について決める際、当事者である私たちろう者の意見も取り入れてください」
と要望した。
いつも、手話通訳者派遣制度運用上の様々なことを派遣者サイドだけで決めており、地元のろう者はそのことが不満なのだ。
役所の担当者は言った。

「手話通訳者の数が少ない現状をなんとかしなければならない、と考えています。また、数だけでなく、技術の向上も目指していく必要があります。みなさんのご意見を伺いながら、手話通訳者派遣制度をよりよいものにしていくよう、努力していきます」

役所の人間とか、政治家とろう者が話す場合、彼らはろう者からの要望や質問に対してストレートに答えず、意図的に論点をずらして逃げようとするケースが少なくない。
上記もそうである。
議論がちっとも進まない。なにしろ、相手は最初から逃げる気であり、話し合う気などないからだ。

こういう通訳も、非常にしんどい。






手話通訳者に向いていない人

2015-12-17 02:14:17 | 手話
「あんたはどうなんや?」という声が聞こえてきそうなので、最初に書いておく。
俺は手話通訳者に向いていない(笑)
具体的に言えば、目立つことが嫌い。だから、正直言って、舞台に立ってやる通訳は行きたくない。

さて、俺のことはおいといて。

自分を過剰に攻める人。こういう人は、よくない。
そういう性格がいい方向に向けば、常に反省し、常に技術を向上させていく素晴らしい通訳者になるが、悪い方向に向いてしまうと、やめてしまう。
「私には無理」と。
こういうタイプの手話通訳者が極ろう派ろう者の通訳に行って、ぼろくそにけなされてしまうと、もうあかん。

ほんまに、極ろう派たち、よく考えてくれや。
「手話通訳者が足りない」と嘆いているが、それなら、「どうやって育てるか」ということを真剣に考えてもらいたい。




ワケあり手話通訳

2015-12-15 06:59:04 | 手話
派遣者から連絡が来て、
「すみません、急で申し訳ないのですが、明日、通訳お願いできますか?」
という時がある。
こういう時は、十中八九、ワケありである。
派遣者は申請者に対して、「手話通訳者派遣申込は早めにお願いします。できれば2週間前、遅くても1週間前には申込書を提出してください」と繰り返し呼びかけている。
だから、前日に連絡が来るということは、「ワケあり」と思ってほぼ間違いない。
「ワケあり」の内容は下記の3パターンに分類できる。

(1) 申請者がワケあり
   嫌われている申請者がいる。手話通訳者の間違いを厳しく指摘し、けなす。単に間違いを指摘するだけなら通訳者も反省するだろうが、申請者の勝手な思い込みでやたらとけなしてくるし、他の通訳者の名を挙げ、「あの人は手話うまいが、あんたは下手」など、礼を失した言い方でけなしてくる。手話通訳者の多くは、派遣者から連絡を受けた段階で、「あの人の通訳はお断りします」と断ってしまう。


(2) 通訳者がワケあり
   嫌われている通訳者がいる。上記の申請者とよく似ている。他の通訳者の欠点をあげつらう。これも、上記と同じく、本当に相手のことを考えて助言するなら問題ないが、ほとんどは言いがかりに近い。通訳内容によっては手話通訳者を複数派遣するが、同行通訳者がこの「ワケあり通訳者」である場合、「あの人と組んで通訳はできません。お断りします」と断ってしまう通訳者が少なからず、いる。

(3) 派遣場所がワケあり
   「手話学習者の巣窟」と呼ばれている場所がある。複数の手話サークルが活動している公的施設で、ここで参加フリーの講演会等が行われる時、「手話の勉強のため」と称して、手話学習者や手話通訳者が大勢見に来る。参加者が全員健聴者であることも珍しくない。この現場で通訳に立つと、ほとんど「見世物」状態。
「今の表現は明らかにミス」とか、「服装がよくない。通訳者は黒を基調とした服でなければならない」とか、通訳者の目の前でいろいろとダメだしをする。
この場所で講習会等が行われる時、手話通訳者の親戚がたくさん他界する。つまり、断るための言い訳で身内に不幸があったことにするのである。