10月28日 13時より大阪で奥森先生の講演会が開かれます。料金はなんと無料!!
我々、欠損補綴に携わる者たちが材料の面で一番重要な金属の話です。
昨今、値段のことばかり取り上げられている金属ですが、各金属の特性を把握しつつ、どの金属を使用するか、我々に委ねられているのです。
もう一度、再考し、新しい使用方法を奥森先生が提示されると思います。是非参加してみて下さい。
気をつけてください!!!申し込み締め切りが10月12日です。受講票が届きますので早めに申し込みして下さい!!
奥森先生から講演の抄録を頂きました。内容を掲載します。
~超長寿国・日本を支えてきた補綴治療
その構造力学における金属の多様性を考える~
有限会社デンタル・プログレッシブ
奥森健史
ここ十数年の補綴臨床では、オールセラミックをはじめとする、審美修復が注目され、とりわけ“白い歯”が歯科界のトピックスとなりセラミックスあるいは高分子材料にて歯牙を見事に模倣された素晴らしい症例が歯科雑誌などに紹介されている。
それらの補綴装置はマテリアルの持つ特性をいかし、とりわけ各ケースに応じた審美性の改善と機能回復の向上を目指すことは、言うまでもない。
そういった先人達が積み重ねてきた歯科医療の概念が医療大国・日本を造り上げ、また長寿国へと導かれた根源には歯科補綴治療の進歩なくしては語れないのではないであろうか。
ここで、その補綴治療に使われてきた、マテリアルは、高分子材料{レジン系}・セラミック・金属であるそのマテリアル各種が単体で、あるいは組み合わされて補綴装置が構成されている。歴史を紐解くと高分子材料は、20世紀から登場するがセラミック・金属は紀元前から文明とともに歩んできたマテリアルである。
その考古学上、誰もが驚嘆し謎の解明に息をのむエジプトの“ツタンカーメン”の黄金のマスクがある。それは、およそ3000年前に応用された世界最古の“メタルボンド”と言える。青い頭巾の部分にガラス化された数種類の原料を調合させ焼き付けたものである。
当時の人たちが何を思いどのような手法で、あのような光り輝く貴金属にセラミックがボンディングする事を解明出来たのであろうと思うと、現在を生きる私たち技術者は今一度モチベーションをあげなければと、少しセンチメンタルになる部分である。
そのように、太古の昔から使用されてきた貴金属に今回フォーカスをあて、歯科医療のポジションにて本講演で検討したい。筆者自身の口腔内には上下顎とも臼歯部のほとんどが貴金属によるフルキャストクラウンにおおわれている。20代前半に治療ゴールしたのちこの年までの約25年間という四半世紀を“歯科用ゴールド”のおせわになり機能回復されていたことは、身を持って立証済みである。また欠損歯列のように失われた歯を回復すると同時に、そこへは、“機能的要件”と“構造力学的要件”を考慮しなくては、治療ゴールの後の永続性にもかかわってくる。金と同じと書いて銅と読むが、この銅を含有する事で、時効硬化が生まれ、生体親和性などの因子に加え鮮やかな金色のみならず、その貴金属が持つ特性から生まれる構造力学を考えてみたい。