「The Sound of Waves (英語): Yukio Mishima」(Kindle版)
内容紹介(Contents):
Set in a remote fishing village in Japan, The Sound of Waves is a timeless story of first love. It tells of Shinji, a young fisherman and Hatsue, the beautiful daughter of the wealthiest man in the village. Shinji is entranced at the sight of Hatsue in the twilight on the beach and they fall in love. When the villagers' gossip threatens to divide them, Shinki must risk his life to prove his worth. (Wikipedia、ウィキペディア)
日本語版版:1954年6月初版刊行。
著者について(Author):
Yukio Mishima (三島 由紀夫 Mishima Yukio) : Wikipedia ウィキペディア
is the pen name of Kimitake Hiraoka (平岡 公威 Hiraoka Kimitake, January 14, 1925 – November 25, 1970), a Japanese author, poet, playwright, actor, and film director. Mishima is considered one of the most important Japanese authors of the 20th century. He was considered for the Nobel Prize in Literature in 1968 but the award went to his fellow countryman Yasunari Kawabata. His works include the novels Confessions of a Mask and The Temple of the Golden Pavilion, and the autobiographical essay Sun and Steel. His avant-garde work displayed a blending of modern and traditional aesthetics that broke cultural boundaries, with a focus on sexuality, death, and political change. Mishima was active as a nationalist and founded his own right-wing militia. He is remembered for his ritual suicide by seppuku after a failed coup d'état attempt, known as the "Mishima Incident".
Mishima's books (Englsh): Paper Books Kindle Books
翻訳者について(Translator):
Oscar Meredith Weatherby (1915 - 1997): Wikipedia ウィキペディア
was an American publisher who was the founder of Weatherhill Publications. He spent a large part of his life in Japan and is known in particular for his English translations of the literary works by Yukio Mishima. He was also a long-term patron and romantic partner of the photographer Tamotsu Yato. He also appeared in an acting role in the 1970 war movie Tora! Tora! Tora! in which he played the part of US Ambassador to Japan Joseph Grew.
三島由紀夫の『潮騒』を英語で読んでみた。すでに日本語で読み、紹介記事を「潮騒(新潮文庫): 三島由紀夫」として書いてある。
ビジネス英語は、まったく問題ないし理系書籍であってもストレスなく読める。しかし文学書となると話は別だ。できれば英文慣れしたいし、語彙や表現も豊かにしたい。かといって英文学に挑戦するのは大変だ。しかし、日本語で読んでからであれば、情景はすぐ思い出せるし、知らない単語や表現であってもおよその見当がつく。
おまけにKindleで読めば、知らない単語がでてきても、指でなぞるだけで辞書引きしてくれる。これは大いに助かった。
もちろん英訳は三島の名文の良さを、可能な限り損ねないように配慮した文学的に書かれた英文なのだから申し分ない。英語ネイティブの人でも、なかなか到達できない文章なのだと思う。
実際に読んでみると、風景の描写、海での漁の様子や船の説明、家の中の家具や調度品の描写の記述は読解するのが難しい。しかし、登場人物の会話や行動の記述はわかりやすいし、ストーリーをしっているからすらすら読める。
最初の4分の1は、少々難儀したが、それ以降はどんどんペースがあがってきて「読み味わう」感じがつかめてきた。家で読むときは音読することをお勧めする。文庫で実質180ページほどだが、英語で読むとそれなりに時間がかかるから達成感がある。
日本語の作品を読んでから、英訳本を読むのはとても効率的な英語学習法だ。ぜひお試しいただきたい。
本書の英語がどれくらいの難易度なのかを紹介しておこう。以下に引用した部分は、主人公の若者(新治)が、お世話になっている岬の上の灯台守のご夫婦のところへ虎魚(おこぜ)を持っていく前のシーンである。本書の中では、比較的難しい英文なのだが、そのような箇所はたいてい物語の筋には影響を与えないから、理解できなくても読み進められる。
日本語原文、本書での英訳を載せておく。英語の難易度を知るための参考にしていただきたい。
原文: 文庫版の第6章、46ページ中ほど
若者は彼をとりまくこの豊饒な自然と、彼自身との無上の調和を感じた。彼の深く吸う息は、自然をつくりなす目に見えぬものの一部が、若者の体の深みにまで滲み入るように思われ、彼の聴く潮騒は、海の巨きな潮の流れが、彼の体内の若々しい血潮の流れと調べを合わせているように思われた。新治は日々の生活に、別に音楽を必要としなかったが、自然がそのまま音楽の必要を充たしていたからに相違ない。
新治は虎魚を目の高さに吊り上げて、その棘の生えた醜悪な顔にむかって、舌を出してみせた。魚は明らかに生きていたが、身動きもしなかった。そこで新治は魚の顎をつついて、一疋を空中に躍らせた。
こうして若者は、幸福な逢瀬があまりに早く来すぎることを惜しんで、愚図々々していた。
英訳: 本書から引用
The boy felt a consummate accord between himself and this opulence of nature that surrounded him. He inhaled deeply, and it was as though a part of the unseen something that constitutes nature had permeated the core of his being. He heard the sound of the waves striking the shore, and it was as though the surging of his young blood was keeping time with the movement of the sea's great tides. It was doubtless because nature itself satisfied his need that Shinji felt no particular lack of music in everyday life.
Shinji lifted the scorpion-fish to the level of his eyes and stuck out his tongue at their ugly, thorny faces. The fish were definitely alive, but they made not the slightest movement. So Shinji poked one in the jaw and watched it flop about in the air.
Thus the boy was loitering along the way, loath to have the happy meeting take place too quickly.
機械翻訳の実力
ところで、この英文を3つの機械翻訳サービスで日本語訳してみた。おおまかな意味はとれるものの、文学を翻訳できるようになるまでには、機械翻訳まだまだ時間がかかりそうだ。以下に訳出されたそのままの日本語を載せておく。
Google翻訳では、常体(だ/である)と敬体(です/ます)が混在している。また、主人公の名前 Shinji をGoogle翻訳は「シンジ」とカタカナで訳しているが、DeepL翻訳とみらい翻訳では「真司」、「真治」、「シンジ」、「真司」、「慎司」のように、勝手に漢字を当てるだけでなく、漢字表記の統一もされていない。
Google翻訳: https://translate.google.co.jp/?hl=ja
少年は、彼と彼を取り巻くこの豊かな自然との間の完全な一致を感じた。 彼は深く吸い込み、まるで自然を構成する目に見えない何かの一部が彼の存在の核心に浸透したかのようでした。 彼は波が岸を打つ音を聞いた、そしてそれはまるで彼の若い血の急増が海の大潮の動きに遅れをとっていなかったかのようだった。 自然そのものが彼の必要性を満たしたので、シンジが日常生活の中で特に音楽の不足を感じなかったのは疑いのないことでした。
シンジはカサゴを目の高さまで持ち上げ、醜い、とげのある顔で舌を突き出した。 魚は確かに生きていたが、少しも動きがなかった。 それでシンジは顎を一つ突いて、それが宙を舞うのを見ました。
したがって、少年は途中でうろつき、幸せな会議があまりにも早く行われるのを嫌がっていました。
DeepL翻訳: https://www.deepl.com/translator
少年は、自分と自分を取り囲むこの豊かな自然との間に完全な調和を感じた。彼は深く息を吸い込むと、自然を構成する目に見えない何かが彼の存在の核心に浸透しているかのようだった。海岸に打ち寄せる波の音が聞こえ、若い血の波動が海の大潮の動きに合わせているように思えた。自然が彼の欲求を満たしてくれているからか、日常生活の中で特に音楽が不足していると感じることはなかった。
真司はカサゴを目の高さまで持ち上げて、その醜くとげのある顔に舌を出した。魚は確かに生きていたが、微動だにしなかった。そこで真治は一匹のカサゴの顎を突いて、宙を舞うのを見ていた。
こうして少年は、幸せな出会いがすぐに訪れるのを嫌って、道中をうろうろしていた。
みらい翻訳: https://miraitranslate.com/trial
少年は、彼をとりまくこの豊かな自然との間に、完全な調和を感じた。彼は深く息を吸い込み、自然を構成する目に見えないものの一部が彼の存在の核心に浸透したかのようだった。彼は岸に打ち寄せる波の音を聞いたが、それはまるで自分の若い血のうねりが、海の大潮の動きに時間を合わせているかのようだった。シンジが日常生活で音楽不足を特に感じていなかったのは、自然がシンジの欲求を満たしていたからでしょう。
真司はカサゴを目の高さまで持ち上げ、その醜いトゲだらけの顔に舌を突き出した。その魚は確かに生きていたが、ほんの少しの動きもしなかった。そこで慎司はあごに1本突き刺し、宙にバタンと落ちるのを見た。
そんなわけで、男の子は道中ぶらぶらしていましたが、幸せな出会いがあまりにも早く起こるのがいやでした。
『潮騒』の日本語版、英語版、フランス語版
『潮騒』各国語に翻訳されている。英語版とフランス語版のリンクを載せておこう。英語版は電子書籍として読むことができる。新潮文庫の三島作品はご遺族の意向により電子書籍化はされていないそうだ。日本語版の電子書籍化は著作権が切れる2041年まで待たなければならない。(参考ページ)
「潮騒(新潮文庫): 三島由紀夫」(紹介記事)
「The Sound of Waves (英語): Yukio Mishima」(Kindle版)
「Tumulte Des Flots (仏語): Yukio Mishima」
映画化された『潮騒』
小説のほうを僕はお勧めするが、映画で観たいという方がおられることだろう。この作品は映画化しやすいストーリーで、これまで5回映画化されている。第1作は小説が刊行された年に公開されているのだ。
潮騒 (1954年) - 谷口千吉監督、久保明・青山京子主演。(ウィキペディア)
潮騒 (1964年) - 森永健次郎監督、浜田光夫・吉永小百合主演。(ウィキペディア)
潮騒 (1971年) - 森谷司郎監督、朝比奈逸人・小野里みどり主演。(ウィキペディア)
潮騒 (1975年) - 西河克己監督、三浦友和・山口百恵主演。(ウィキペディア)
潮騒 (1985年) - 小谷承靖監督、鶴見辰吾・堀ちえみ主演。(映画情報)
このうち3つはYouTubeで予告編、Prime Videoで本編をご覧いただける。
1964年版: YouTube予告編 Prime Video
1975年版: YouTube予告編 Prime Video
1985年版: YouTube予告編 Prime Video
以下の2作品は、YouTubeだけでなく、Prime Video、DVDでもご覧いただくことはできない。映画のポスターをようやく見つけることができた。ネットで画像検索すると、映画のシーンをいくつか見つけることができる。
1954年版: ポスター拡大 画像検索
1971年版: 文庫本拡大 画像検索
関連記事:
潮騒(新潮文庫): 三島由紀夫
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b669465d590800dce4558ba7fa1aeb04
三島由紀夫『豊饒の海』の初版本
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/42650d60a4009468fe9d63e89083edb4
昭和45年11月25日―三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃: 中川右介
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/aae6dd28574e06eb3c3c0c63791e80cc
記事一覧(洋書:英語書籍、フランス語書籍)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/060a4ee26951c001cbd1d46360b72172
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Set in a remote fishing village in Japan, The Sound of Waves is a timeless story of first love. It tells of Shinji, a young fisherman and Hatsue, the beautiful daughter of the wealthiest man in the village. Shinji is entranced at the sight of Hatsue in the twilight on the beach and they fall in love. When the villagers' gossip threatens to divide them, Shinki must risk his life to prove his worth. (Wikipedia、ウィキペディア)
日本語版版:1954年6月初版刊行。
著者について(Author):
Yukio Mishima (三島 由紀夫 Mishima Yukio) : Wikipedia ウィキペディア
is the pen name of Kimitake Hiraoka (平岡 公威 Hiraoka Kimitake, January 14, 1925 – November 25, 1970), a Japanese author, poet, playwright, actor, and film director. Mishima is considered one of the most important Japanese authors of the 20th century. He was considered for the Nobel Prize in Literature in 1968 but the award went to his fellow countryman Yasunari Kawabata. His works include the novels Confessions of a Mask and The Temple of the Golden Pavilion, and the autobiographical essay Sun and Steel. His avant-garde work displayed a blending of modern and traditional aesthetics that broke cultural boundaries, with a focus on sexuality, death, and political change. Mishima was active as a nationalist and founded his own right-wing militia. He is remembered for his ritual suicide by seppuku after a failed coup d'état attempt, known as the "Mishima Incident".
Mishima's books (Englsh): Paper Books Kindle Books
翻訳者について(Translator):
Oscar Meredith Weatherby (1915 - 1997): Wikipedia ウィキペディア
was an American publisher who was the founder of Weatherhill Publications. He spent a large part of his life in Japan and is known in particular for his English translations of the literary works by Yukio Mishima. He was also a long-term patron and romantic partner of the photographer Tamotsu Yato. He also appeared in an acting role in the 1970 war movie Tora! Tora! Tora! in which he played the part of US Ambassador to Japan Joseph Grew.
三島由紀夫の『潮騒』を英語で読んでみた。すでに日本語で読み、紹介記事を「潮騒(新潮文庫): 三島由紀夫」として書いてある。
ビジネス英語は、まったく問題ないし理系書籍であってもストレスなく読める。しかし文学書となると話は別だ。できれば英文慣れしたいし、語彙や表現も豊かにしたい。かといって英文学に挑戦するのは大変だ。しかし、日本語で読んでからであれば、情景はすぐ思い出せるし、知らない単語や表現であってもおよその見当がつく。
おまけにKindleで読めば、知らない単語がでてきても、指でなぞるだけで辞書引きしてくれる。これは大いに助かった。
もちろん英訳は三島の名文の良さを、可能な限り損ねないように配慮した文学的に書かれた英文なのだから申し分ない。英語ネイティブの人でも、なかなか到達できない文章なのだと思う。
実際に読んでみると、風景の描写、海での漁の様子や船の説明、家の中の家具や調度品の描写の記述は読解するのが難しい。しかし、登場人物の会話や行動の記述はわかりやすいし、ストーリーをしっているからすらすら読める。
最初の4分の1は、少々難儀したが、それ以降はどんどんペースがあがってきて「読み味わう」感じがつかめてきた。家で読むときは音読することをお勧めする。文庫で実質180ページほどだが、英語で読むとそれなりに時間がかかるから達成感がある。
日本語の作品を読んでから、英訳本を読むのはとても効率的な英語学習法だ。ぜひお試しいただきたい。
本書の英語がどれくらいの難易度なのかを紹介しておこう。以下に引用した部分は、主人公の若者(新治)が、お世話になっている岬の上の灯台守のご夫婦のところへ虎魚(おこぜ)を持っていく前のシーンである。本書の中では、比較的難しい英文なのだが、そのような箇所はたいてい物語の筋には影響を与えないから、理解できなくても読み進められる。
日本語原文、本書での英訳を載せておく。英語の難易度を知るための参考にしていただきたい。
原文: 文庫版の第6章、46ページ中ほど
若者は彼をとりまくこの豊饒な自然と、彼自身との無上の調和を感じた。彼の深く吸う息は、自然をつくりなす目に見えぬものの一部が、若者の体の深みにまで滲み入るように思われ、彼の聴く潮騒は、海の巨きな潮の流れが、彼の体内の若々しい血潮の流れと調べを合わせているように思われた。新治は日々の生活に、別に音楽を必要としなかったが、自然がそのまま音楽の必要を充たしていたからに相違ない。
新治は虎魚を目の高さに吊り上げて、その棘の生えた醜悪な顔にむかって、舌を出してみせた。魚は明らかに生きていたが、身動きもしなかった。そこで新治は魚の顎をつついて、一疋を空中に躍らせた。
こうして若者は、幸福な逢瀬があまりに早く来すぎることを惜しんで、愚図々々していた。
英訳: 本書から引用
The boy felt a consummate accord between himself and this opulence of nature that surrounded him. He inhaled deeply, and it was as though a part of the unseen something that constitutes nature had permeated the core of his being. He heard the sound of the waves striking the shore, and it was as though the surging of his young blood was keeping time with the movement of the sea's great tides. It was doubtless because nature itself satisfied his need that Shinji felt no particular lack of music in everyday life.
Shinji lifted the scorpion-fish to the level of his eyes and stuck out his tongue at their ugly, thorny faces. The fish were definitely alive, but they made not the slightest movement. So Shinji poked one in the jaw and watched it flop about in the air.
Thus the boy was loitering along the way, loath to have the happy meeting take place too quickly.
機械翻訳の実力
ところで、この英文を3つの機械翻訳サービスで日本語訳してみた。おおまかな意味はとれるものの、文学を翻訳できるようになるまでには、機械翻訳まだまだ時間がかかりそうだ。以下に訳出されたそのままの日本語を載せておく。
Google翻訳では、常体(だ/である)と敬体(です/ます)が混在している。また、主人公の名前 Shinji をGoogle翻訳は「シンジ」とカタカナで訳しているが、DeepL翻訳とみらい翻訳では「真司」、「真治」、「シンジ」、「真司」、「慎司」のように、勝手に漢字を当てるだけでなく、漢字表記の統一もされていない。
Google翻訳: https://translate.google.co.jp/?hl=ja
少年は、彼と彼を取り巻くこの豊かな自然との間の完全な一致を感じた。 彼は深く吸い込み、まるで自然を構成する目に見えない何かの一部が彼の存在の核心に浸透したかのようでした。 彼は波が岸を打つ音を聞いた、そしてそれはまるで彼の若い血の急増が海の大潮の動きに遅れをとっていなかったかのようだった。 自然そのものが彼の必要性を満たしたので、シンジが日常生活の中で特に音楽の不足を感じなかったのは疑いのないことでした。
シンジはカサゴを目の高さまで持ち上げ、醜い、とげのある顔で舌を突き出した。 魚は確かに生きていたが、少しも動きがなかった。 それでシンジは顎を一つ突いて、それが宙を舞うのを見ました。
したがって、少年は途中でうろつき、幸せな会議があまりにも早く行われるのを嫌がっていました。
DeepL翻訳: https://www.deepl.com/translator
少年は、自分と自分を取り囲むこの豊かな自然との間に完全な調和を感じた。彼は深く息を吸い込むと、自然を構成する目に見えない何かが彼の存在の核心に浸透しているかのようだった。海岸に打ち寄せる波の音が聞こえ、若い血の波動が海の大潮の動きに合わせているように思えた。自然が彼の欲求を満たしてくれているからか、日常生活の中で特に音楽が不足していると感じることはなかった。
真司はカサゴを目の高さまで持ち上げて、その醜くとげのある顔に舌を出した。魚は確かに生きていたが、微動だにしなかった。そこで真治は一匹のカサゴの顎を突いて、宙を舞うのを見ていた。
こうして少年は、幸せな出会いがすぐに訪れるのを嫌って、道中をうろうろしていた。
みらい翻訳: https://miraitranslate.com/trial
少年は、彼をとりまくこの豊かな自然との間に、完全な調和を感じた。彼は深く息を吸い込み、自然を構成する目に見えないものの一部が彼の存在の核心に浸透したかのようだった。彼は岸に打ち寄せる波の音を聞いたが、それはまるで自分の若い血のうねりが、海の大潮の動きに時間を合わせているかのようだった。シンジが日常生活で音楽不足を特に感じていなかったのは、自然がシンジの欲求を満たしていたからでしょう。
真司はカサゴを目の高さまで持ち上げ、その醜いトゲだらけの顔に舌を突き出した。その魚は確かに生きていたが、ほんの少しの動きもしなかった。そこで慎司はあごに1本突き刺し、宙にバタンと落ちるのを見た。
そんなわけで、男の子は道中ぶらぶらしていましたが、幸せな出会いがあまりにも早く起こるのがいやでした。
『潮騒』の日本語版、英語版、フランス語版
『潮騒』各国語に翻訳されている。英語版とフランス語版のリンクを載せておこう。英語版は電子書籍として読むことができる。新潮文庫の三島作品はご遺族の意向により電子書籍化はされていないそうだ。日本語版の電子書籍化は著作権が切れる2041年まで待たなければならない。(参考ページ)
「潮騒(新潮文庫): 三島由紀夫」(紹介記事)
「The Sound of Waves (英語): Yukio Mishima」(Kindle版)
「Tumulte Des Flots (仏語): Yukio Mishima」
映画化された『潮騒』
小説のほうを僕はお勧めするが、映画で観たいという方がおられることだろう。この作品は映画化しやすいストーリーで、これまで5回映画化されている。第1作は小説が刊行された年に公開されているのだ。
潮騒 (1954年) - 谷口千吉監督、久保明・青山京子主演。(ウィキペディア)
潮騒 (1964年) - 森永健次郎監督、浜田光夫・吉永小百合主演。(ウィキペディア)
潮騒 (1971年) - 森谷司郎監督、朝比奈逸人・小野里みどり主演。(ウィキペディア)
潮騒 (1975年) - 西河克己監督、三浦友和・山口百恵主演。(ウィキペディア)
潮騒 (1985年) - 小谷承靖監督、鶴見辰吾・堀ちえみ主演。(映画情報)
このうち3つはYouTubeで予告編、Prime Videoで本編をご覧いただける。
1964年版: YouTube予告編 Prime Video
1975年版: YouTube予告編 Prime Video
1985年版: YouTube予告編 Prime Video
以下の2作品は、YouTubeだけでなく、Prime Video、DVDでもご覧いただくことはできない。映画のポスターをようやく見つけることができた。ネットで画像検索すると、映画のシーンをいくつか見つけることができる。
1954年版: ポスター拡大 画像検索
1971年版: 文庫本拡大 画像検索
関連記事:
潮騒(新潮文庫): 三島由紀夫
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/b669465d590800dce4558ba7fa1aeb04
三島由紀夫『豊饒の海』の初版本
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/42650d60a4009468fe9d63e89083edb4
昭和45年11月25日―三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃: 中川右介
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/aae6dd28574e06eb3c3c0c63791e80cc
記事一覧(洋書:英語書籍、フランス語書籍)
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/060a4ee26951c001cbd1d46360b72172
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