「無職」という冷たい響き

昨日のニュース記事。殺人や災害で亡くなられた高齢者（女性）についてのニュースだが、僕は記事の内容そのものよりも亡くなられた方のお名前の前に「無職」と書かれているのがとても気になった。この表記にご遺族の方はどのような思いを抱かれるだろうか。

僕はたまたま読売新聞の記事を引き合いにしたが、この点については朝日も毎日も同じだ。このような表記が慣例になっているのだろうが違和感を覚える。僕が学生の頃までは「無職」ではなく「主婦」とか「家事手伝い」とか「職業の表記なし」だったと思う。

「無職」にはどうしても「社会の役に立っていない人」というイメージがつきまとってしまう。特に今回は殺人事件の被害者だったり、災害でお亡くなりになった高齢者だから「無職」と表記することでよけいにその感を強め、亡くなられた方の尊厳を傷つけてしまう。第一、今回においては職の有無と亡くなられたことは全く関係ない。

そもそも誰についても「無職」とつける必要などないと僕は思うのだ。あえて使うなら犯罪者や容疑者について記述するとき、その文中で「～は無職だった。」のように説明するのならまだ納得できる。

昔は「ペンキ屋」と呼んでいた職業も今では「塗装業」と表記しなければならないそうだ。「ペンキ屋」というのは差別用語というのがその理由。僕はむしろこの「無職」という言葉のほうが「ペンキ屋」よりもはるかに差別用語のような気がしてならない。「無職」とつけてしまうことに社会の冷たさを感じる。

不幸にもお亡くなりになられた、けして無職ではない主婦の藤村美代子さんと杉本富美子さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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自宅まで５０ｍの路上、７３歳女性が首刺され死亡
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080831-OYT1T00384.htm

７３歳女性、路上で首刺され死亡　３０日午後１１時１０分ごろ、神奈川県相模原市相模大野の路上で、同所、無職藤村美代子さん（７３）が倒れて死んでいるのを、通りかかった男性会社員（３１）が見つけた。

首を刃物で刺されており、県警は殺人事件と断定し、相模原南署に特別捜査本部を設置した。

発表では、藤村さんは３０日夕から同日午後１１時ごろまで、自宅から約３００メートルのパチンコ店で遊んでいた。歩いて帰宅途中、自宅まで約５０メートルの所で襲われたとみられる。藤村さんは夫（７７）と長男（４３）の３人暮らし。
（2008年8月31日20時39分 読売新聞）

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東海豪雨で不明の女性遺体、４０キロ先の港で見つかる
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080831-OYT1T00384.htm

東海地方を襲った豪雨で２９日未明から行方が分からなくなっていた愛知県岡崎市城北町、無職杉本富美子さん（８０）が３１日午前８時ごろ、自宅から約４０キロ離れた同県南知多町日間賀(ひまか)島の久渕港で遺体で見つかった。

県警半田署の発表によると、付近を歩いていた男性（７０）が、消波ブロック上にあおむけに倒れている杉本さんを発見した。同署で遺体を解剖し、死因を調べる。

杉本さんの死亡が確認されたことで今回の豪雨による死者は２人となった。
（2008年8月31日18時33分 読売新聞）


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