新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

双葉町のはなし

2011年04月10日 | 反原発・脱原発・エネルギー
岩波書店が「世界」『科学』の原子力関連の記事の一部を無料公開。

http://www.iwanami.co.jp/company/index_i.html

葉上太郎氏の「原発頼みは一炊の夢か 福島県双葉町が陥った財政難」は秀逸なルポルタージュ。この事故が起きる前、『世界』の今年の1月号に発表されている。ぜひご一読をおすすめしたい。
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2011/01/pdf/skm1101-3.pdf

双葉町は原発を誘致しながら、よもやの全国ワースト6に転落していた。

朝日新聞の記事も参考までにリンク。
http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY201103280574.html

この葉上氏の記事によれば、双葉町の税収のピークは1983年度まで。電源交付金も一時的なものにすぎなかった。
しかし町は交付金を見込んで、事業費、建設費、施設の維持管理費を増大させる。たとえば「ポスト原発の人材育成」をうたい文句にした町立図書館」の建設。しかしそれは原発に財政に頼りきって、かえって財政危機を招いただけだった。

福島第一原発でも、正門やメイン道路は大熊町側にある。関係企業は大熊側に立地した。法人税は大熊町に偏ってしまった。
双葉町は90年度には財政力指数が1.0を切る。バブル経済で自治体の税収も軒並み増えていた時期にである。しかし交付金をたのみに、ハコモノを連発。早期健全化団体に転落してしまった……。
http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY201103280574.html

そして、よもやの全国ワースト6。「東京への出稼ぎ」が、「東京への電力の供給」に変わっただけでの地方の現実。

これは双葉町ばかりの問題ではないだろう。国の経済の軸足が少し変われば、地元経済は大きなダメージを受ける。91年には全会一致で原発2基増設を決議していたという。

原発に頼り切ってはいけない。新しい産業を興そうと、農家の女性たちによる産地直売所「よってみっせ」などの新事業も立ち上がっていた。直売所の代表の方のコメントを切ない気持ちで読んだ。

「忙しくてたまりません。それでも時給は500~600円なのだから、若い人がやりたいと思うはずがない」

課題はたくさんあった。しかし町をあげての逸品づくり事業は、まさにこれからだった。いつふるさとに帰れるのか、何ともやりきれない。



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