6月初旬のぁる日のことです…
地元の老舗洋食屋のRさんの前を通り過ぎると、リニュアール工事中でした…
3月末にはお店をいったん閉店したようで、「初夏に新装開店予定です」とご店主のあいさつのポスターが貼ってぁりました…
Rさんは小さなころからよく連れてきてもらった、思い出の洋食屋さんです…
ハンバーグ、エビフライ、ヒレカツ、クリームコロッケ、ビーフシチューのパイ皮包み、カレーライス、どれもぉいしくて、大好きな店です…
6月は「初夏」なのにまだオープンしていないということは、しばらく行けないのかな…?と思ってぃたら、7月17日、偶然ぉ店の前を通り過ぎると、無事リニューアルオープンしてぃました…!
ハンバーグが大好きな妹たちも大喜びです…!
そして、きのう19日、訪ねてみました…
ぉ店に入ると、昔からのオーナーシェフ、そして初めて見る新しいシェフと女性スタッフに迎えられました…
「ふむ」
席に着いて、メニューを開けた瞬間、父はつぶやきました…
メニューには、私たち家族の大好きだったハンバーグもエビフライもクリームコロッケもビーフシチューのパイ皮包みもないのです…
洋食メニューでは、かろうじて、「カツカレー」や「ミートスパゲティ」などがぁるだけでした…
かつての定番の洋食メニューはなくなり、カルパッチョやアヒージョ、ピッツアやパスタなど、イタリアンバルとして新装開店したようなのでした…
「れんちゃんは、やっぱり、ハンバーグが食べたい?」
父がちいさな声で私に尋ねます…
近くには、やはりむかしからよく通ってぃる、洋食屋のKさんがぁります…わが家では、ハンバーグはRさん、とんかつはKさんと決めてきたのですが、Kさんのハンバーグも安定のぉいしさです…
でも、私は首を横に振りました…
せっかくリニューアルオープンを楽しみにやってきたのに、何も食べないでぉ店を出てしまうのも、失礼に感じたので…
父はそんな私を見て、「うん、そうしようか」とうれしそうにうなずきました…
しかし、女性スタッフは、オーナーシェフの知り合いの常連さんとのぉしゃべりに夢中で、いつまでも注文を取りに来てくれません…
5分ほど待ったでしょうか…
父はのんびりしてぃます…父はからだも大きく、「こわもて」なので、人前では機嫌よく過ごすようにしてぃるんだそうです…議論を持ちかけられ、ぃろぃろ「難癖」をつけられたとき、「はぁ?」といっただけで、「過◯派に脅迫された!」と通報されてしまったこともあるそうで…
母のいらだちを察したシェフのかたが、ようやく注文を聞きに来てくれました…
両親は、前菜盛り合わせ、トマトときのこのピッツア、そして赤ワインをデカンタで頼みました…
マルゲリータ、大好きです…! きのこも大好き…!
イタリアンのぉ店になったなら、イタリアンを楽しもうと両親も発想を転換したようです…
ようやくぉしゃべりを終えた女性スタッフが厨房に戻ってきました…
しかし今度は若いシェフの方とのぉしゃべりがやみません…
「はよ酒持ってこんかい」
ぉ酒が大好きな母がいらいらして小さくつぶやきます…
デカンタのワインは、カウンターに置きっぱなしです…
「まあまあ。ワインはやはり空気に触れさせないとね」
と、父は苦笑いしながら母をなだめます…
おしゃべりはいつまでも終わらず、ワインがテーブルに届くのに、さらに5分、前菜盛り合わせとピッツアが届くのに、さらに10分ほどかかったでしょうか…
前菜盛り合わせとピッツアです…
前菜盛り合わせはかつおのたたきのカルパッチョ、ナスの素揚げ、かぼちゃの素揚げでした…
「このにんにく、カリカリしておいしいね」
かつおのカルパッチョを口にした父は、にっこり笑いました…
「このナス、レアだわ。でも南京はサクサクしてるね」
ナスとかぼちゃの素揚げを口にした母も、ほほえみました…
カツオのたたきは、業務スーパーなどの出来合いのもののようでした…
なすは全体に火が通りきっておらず、「芯」が残ってぃました…
逆にかぼちゃは火が通り過ぎでした…
両親はぉいしいものが大好きで、食い意地が張った人たちです…
しかし、「まずい」とぃうことばを使いません…
その料理をおいしいと思って食べてぃる人もぃるかもしれない以上は、自分の味覚や好みを「絶対化」してはいけないとぃうのです…
特に父は、若いころに食うや食わずやの「最底辺」の暮らしを知ってぃますから、その点は厳しいです…
しかし同時に、食材や素材を粗末に扱うぉ店の人にも、ことばこそ穏やかですが、厳しいかもしれません…
「この店はいい。飲みすぎないで済む」
父が笑っていいました…
ふだんならふたりでワインを1、2本空けてしまう両親も、きょうはデカンタにワインがまだ残ってぃます…
ぉ楽しみのピッツァも、よくいえば具沢山ですが、取り分けてもちあげると、チーズと一緒にトマトやきのこが流れ出してしまうので、半分に折らないといけませんでした…
「イタリアンには、ルール違反だが」
父はテーブルにあったタバスコを振りかけてぃました…
たしかに、イタリアンなのに、唐辛子をオリーブオイルに漬けた「ピカンテ」がなかったのは、私もちょっとさびしかったかも…
「ピッツァも食べたし、帰ろうか」
と、父がいいました…
「うん。冷凍庫にご飯あったね。クロくん、帰ったらおじや作ってよ」
と、母がいいました…
父は長男ですが、若くして海難事故で亡くなった叔父の名前をもらって「九郎」とぃいます…だから母は「クロくん」と呼びます…
ふたりは高校のクラスメートだったのでした…
白味噌と卵が基本で、あとはその日のありあわせのメニューでつくる父の「おじや」は、ほんとうにおいしいです…
でも…!
早くおうちに帰りたいモードの両親に、私はぃいました…!
「待って…! 私、オムライス、食べたい…!」
と、私はいいました…
「オムライス?」
両親は顔を見合わせ、私の視線の先を追って、厨房を見やりました…
厨房では、オーナーシェフが自らフライパンを振っているところでした…さっきオーダーの入った、オムライスを作ってぃるところでした…
「いいじゃん」と母。
「いいね。締めはオムライスにしよう」と父。
そう、私たちは、オーナーシェフの料理がまた食べたかっただけなのです…!
オーナーシェフ特製のふわとろオムライスです…!
「私、最近流行りのふわとろより、昔ながらのかたーいオムライスが好きなんだわ」
と、母は少し不満そうでしたが、ふわとろオムライスも、安定のぉいしさでした…!
チキンライスは、チキンのかわりにたっぷりのベーコンで、とってもおいしかったです…!
デミソースが、小さなころから食べ慣れてきた昔からのやさしいぉ味で、大満足でした…!
イタリアン路線は、両親の受けはいまひとつでしたが、これからもがんばってください…
でも、昔からの洋食メニュー、特にハンバーグは復活希望です…! Rとぃえば、ハンバーグ、エビフライ、ハムサラダの定番の「Rセット」なのです…!
Rさんのハンバーグが大好きな妹たちのためにも、どうかご検討よろしくぉ願いします…!