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郵便配達人が運ぶのは幸せだから! ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝

2019年10月31日 | ヴァイオレット・エヴァーガーデン
今日はハロウィン。6年前は、『魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』を観に行ったのだった。『叛逆』は31回通ったが、昨日が『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』の32回めで、ついに自己最高記録を更新した(全く、何をやっていることやら)。

 『叛逆』のときは特典狙いの部分が大きかったし、前半は面白かったが、後半はダレた。しかし『君の銀の庭』で、愛娘のほむほむが、大好きなまどかちゃんと一緒に、嬉し恥ずかしで踊る姿が最高に愛らしく、いつまでも見ていて飽きなかった。それは愛娘のお遊戯会を見守る親の心境だった。

 『外伝』は、一秒一コマ、一瞬たりとも無駄なシーン、つなぎのためだけの無意味なシーンがない。何度観ても飽きるということがない。ヴァイオレットと、エミリー、テイラーの三人が、今や娘のような存在になっている。もはや映画館が毎日帰るわが家のようなもので、そのまま映画館に泊まって、朝、映画を観てから出勤したいし、休日は一日中、三人の娘たちの顔を見ていたい。実際、ある日は一日中映画館で過ごし、朝から4回観た。翌朝、6時起きだから、早朝回と夕方回の2回だけにしようと思ったが(その間に『ジョーカー』と『エンテベ空港の7日間』を観た)、結局、夜回も観て、23時終わりのレイトショーも観てしまった。娘たちの顔を見ていられるなら、少しも辛くないし、疲れない。10月5日の土曜日から毎日通っている。

 先輩のお子さんが小さな頃、毎日飽きずに何度も『トトロ』のDVDを観ていたそうだ。今の私も、傍目にはそんな感じかもしれない。いいものは何度観てもいい。そして、自分の子どもの顔を見飽きることはないという気持ちが、ようやくわかった。

 さすがに、20回以上観ていると、新たな発見は少ないが、ヴァイオレットが手を組むとき、右手が上になっていることに、先週ごろに気づいた。マナーでは、手を組むときのマナーは、敵意がないことを示すために、左手が上、右手が下がマナーではなかったかと思う。右手が上なら、いつでも戦闘態勢に入れる。この点は、今も「軍人」なんだね。「勉強」を「訓練」といい、「新技術」のエレベーターを「新兵器」といってしまったり、ヴァイオレットのこういうところもポンコツかわいい。

 エイミーは、ヴァイオレットに妹のテイラーを重ね、テイラーは姉のエイミーを重ねている。特にテイラーが鏡に写ったヴァイオレットに、「エイミー。私も幸せを運ぶ人になりたい」と姉の名を呼びかけ夢を語るシーンは、何度観ても感動する。

 夜中に喘息の発作を起こしたエイミーを介抱し、朝まで寝ずの看病を続けたヴァイオレットは、まさに慈母のようだった。授業中、気になって、教室の後ろで待機するヴァイオレットを振り返ると、「メッ」とされるのもいい。それなのに、テイラーは妹を思い浮かべている。

 最初のうちは、家庭教師で保護監督者のヴァイオレットに、なぜエイミーが妹の面影を重ねるのかが、よくわからなかった。しかし、ヴァイオレットは、かつては少女兵として、今は自動手記人形として、マシーンのように有能な職業婦人だけれど、それ以外の部分は、子どものように無知で無垢で純真で、そこがテイラーを思い出させたのかもしれない。テイラーとも、技術や技能(スキル)を除いた精神年齢そのものは、そう変わらないようにも見える。原作で、両腕を失う重傷を負い退役するまで自分の名前しか書けなかったというエピソードを読み、胸を締め付けられた。

 テイラーとヴァイレットが郵便配達に出かける一日は、この映画の最高に楽しいシークエンスである。最初、テイラーはお歌を唄いながら、ピクニックに出かけるようだ。午前中は、ルクシアお姉さんに挨拶して、届けたプレゼントのキャンデーをもらって、ご機嫌だけれど、まだ遊びの延長である。しかし午後には荷車を押すヴァイオレットの背中を押し、最後は一緒に押している。だんだん仕事に対する自覚や責任が芽生えきて、たった一日で大きな成長を遂げているのがほほえましく、嬉しくなってくる。

 エンディングで、旅に出発するシーンで、「気を付けて行ってきてね」とエリカにいわれ、お姉さんたちには「うん!」と子どもらしい元気いっぱいな挨拶をする。しかし、「行くぞ」という師匠のベネディクトに答える「うん」は、少し畏まっていて、緊張し、頼もしさも感じさせる。こういうディテールに、テイラーの成長がたしかに感じられ、よりいっそう彼女が愛おしくなる。3歳、5歳、7歳、10歳まで、テイラーの成長を演じきった悠木碧さんの演技は、本当に素晴らしい。

 そして、「ヴァイオレット、ありがとう」と彼女の手を取る姿は、淑女をエスコートする小さな騎士姫だ(原作では、姉のエイミーが、デビュタントのワルツで「ヴァイオレット、お手をどうぞ」と言うシーンがある)。今までヴァイオレットは、エイミーやテイラーをエスコートする側だったけれど、そのとき初めてエスコートされる側に回っている。それが劇場版本編でのヴァイオレットにとっての「花道」を予感させる。

 

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