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三連休は、京都国際マンガミュージアムの『大乙嫁語り展』に行ってきました…
父もマンガミュージアムを訪ねるのは10年ぶり以上とのことでした。父が漫画事業を立ち上げようとして、漫画家の卵さんたちを応援してぃたころです。廃校になった小学校を再利用した施設なので、当時は靴を脱いで入館したんだそうです。だから靴下は新品にしましたよ? 穴が空いちゃっていたら恥ずかしいですから…はぃ。
結局、靴は脱がずに土足のまま入場できました。「木の床にぺたーんと座って漫画が読めるところが、よかったんだよなあ。小学生のころに戻ったみたいで」と父は昔を懐かしんでぃました。
会場は2階です。なんと、スマートフォンに限り撮影し放題なんですよ!
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B4大の見開きページの原画が引き伸ばされたパネルが展示されてぃました。連載誌の『ハルタ』は平綴じB5判なので、原稿はほぼ原寸なんです…ね。単行本はB6サイズに縮小されます。愛蔵版はB5判で雑誌掲載時と同じ原寸です。
「すごい…! こんなに大きく拡大しても、少しもアラがないね…!」
父も感心していました。
「インクジェットで出力して貼り付けたんだね。空気が入らないようにピッタリ貼るのは至難の業なんだよ。B0(1030×1456mm)サイズかなあ……。えーと、スマホ、スマホ……400.8%拡大だ。元の線画がしっかりしてるから、ここまで拡大してもちっともアラが出ない」
森薫さんの『乙嫁語り』は19世紀後半の中央アジア・カスピ海周辺の地域が舞台の物語です。乙嫁は「可愛いお嫁さん・美しいお嫁さん」という意味で、この作品には主人公のアミルさんを初め、かわいくて美しい魅力的な「お嫁さん」たちが登場します。
主人公のアミルさんとカルルクさんです。アミルさんは姉さん女房なんです…よ?
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カルルクさんは街に定住するエイホン家の跡取り息子。アミルさんは北方の移牧民(半定住・半遊牧民)ハルガル家の生まれです。花嫁のアミルさんは20歳、花婿のカルルクさんはまだ12歳の年の差婚ですが、二人はお互いを思いやり、少しずつ夫婦の絆を深めていきます。
アミルさんのご実家のハルガル一族らの住む北方は、ロシアの侵攻(南下政策)で緊張状態にありました。ハルガル一族は有力部族のヌマジに娘を嫁がせることで縁をつないできましたがが、乱暴に扱われた娘たちが次々に若死にするため、牧草地の共有権を失うという危機に立たされていた。そこでアミルの叔父さんたちは、アミルさんを連れ戻して嫁がせようと考え、アミルさんの兄のアゼルさんと従兄弟たちをエイホン家に向かわせます。エイホン家は身勝手な要求に驚き、ハルガル家に縁切りを宣告、ついに両家は決定的に対立するのです! この戦闘シーンは迫力がぁりました…はぃ!
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もう一組の夫婦が、エイホン家に滞在した英国人探検家のスミスさんと、タラスさん。
タラスさんの美しさには見とれてしまぃます…はぃ。こんな女性にぁこがれます…!
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タラスさんとスミスさんはぉ互い惹かれ合ぃ、結納まで交わすのですが、運命のいたずらで、引き裂かれてしまぃます…! この話は悲しく切なかったです…はぃ。
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さて、右がアミルさんが嫁いできて初めてできたぉ友だちのパリヤさん、左がその花婿のウマルさんです…!
パリヤさんはパンを焼くのは得意ですが、すぐにィラィラしちゃう性格で、嫁入りに必須の刺繍は苦手。不器用なパリヤさんですが、カモーラさんとぃう美人で気立てでがよくて社交家のぉ友だちができて、周囲に打ち解けてぃくのです。カモーラさんは私にとって梨花ちゃんみたいな人なのかも…。
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刺繍缶バッジが素敵でした!
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日・中央アジア5か国外交関係樹立30周年記念ロゴマークです!デザインを森薫さんが手掛けてぃます。国・地域によって民族衣装が違いますね。
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民族衣装の展示も素敵でした! 私も着てみたいな!
ん? 花嫁衣装は着てみたいけど、まだまだお嫁に行きませんよ! 私がいなくなったら、ぉ父さん、やる気なくして、死んじゃうかも…。困ったぉ父さんです…はぃ。
『乙嫁語り』を初めて読んだ時、アミルさんたちがぉ顔を出してぃるのは、新鮮でした。イスラム教の女性は顔を隠すものだと思ってぃたので…。でもイスラム教の聖典コーランに書かれているのは「両手と顔以外の美しい部分を隠せ」ということだけなんだそうです。黒い布をすっぽりとかぶる女性もいれば、髪の毛をスカーフで覆うだけであとは日本人とほとんど変わらないファッションの女性たちもぃます。ファッション用語でぃえば、「モデストファッション( modest fashion)」、肌の露出を過度にせず、ボディラインをひろわない、体型カバーコーデだそうです。
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エイホン家とハルガル家の抗争、タラスさんとスミスさんの悲恋。『乙嫁語り』は中盤までハードモードの展開が続きますが、双子姉妹のライラさんとレイリムナクさんが登場して物語は序盤の明るく楽しい雰囲気に切り替わります。傷心のために睡眠不足でラクダから滑り落ち、湖に転落して溺れかけたスミスさんを救ったのが、湖に漁に出ていた双子の姉妹・ライラさんとレイリさんでした。
父は紙のコミックス派ですが、森薫さんのオール手がきのアンケートはがきが手に入るとぃうのも大きいようです。
最新刊の13巻はライラさんとレイリさんのイラストでした。父もこの二人が大好きです。
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『乙嫁語り』には刺繍、彫刻、料理、パン作りなど、ものづくりシーンがたくさん出てきます。
次は13巻より、カルルクさんの祖父のマハトベクさん、甥っこのロステムさん。大工にあこがれるロステムさんに、刃物の危なさを教える場面です。
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今は漫画の執筆・制作もデジタル化してぃるそうですが、森薫さんは手描き派だそうです。この展覧会開催にあたっての森薫さんのメッセージをご覧ください。
「乙嫁語り」の巡回展が開催されることになり、嬉しく思っています。 漫画の原稿というものはあまり人目に触れることはありませんが、 作者が色々な思いを込めて、日々直接に向き合っているものです。 もしかしたら印刷された漫画とはまた違った印象を持たれるかもしれません。 漫画の原稿用紙に線を描いてページを埋めていくというのは それなりに大変な作業です。しかし、とても楽しい事でもあります。 紙にペンとインクで線を描く楽しさというものを感じて頂ければ嬉しいです。
刺繍にも彫刻にも、それを贈る人のために、写し取る動物や植物の霊力を写し取って、それを贈る人に生きる力を与えたり幸せに導く力にしてほしいという願いがこめられてぃるんですよ…ね。
『乙嫁語り』で描かれる、19世紀中央アジアの人びとの伝統的な刺繍や彫刻の描写からは、生きること、働くこと、そしてものづくりの喜び、楽しみ、むずかしさ、厳しさが、ひしひしと伝わってきます。登場人物たちの命の躍動感が、森薫さんの「描く喜び」「ペンの喜び」によって生み出されてぃるとぃったらいいのでしょうか……。
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会場を出たら、火の鳥のモニュメントがぁりました! 漫画の神様、手塚治虫さんの代表作です!
父は、「中東の特別の場所、特別の風景ではなく、空気感、生活感が好きだ」という趣旨の森薫さんのコメントに痛く感心して、「漫画家こそは現代の浮世絵師だね」と感嘆してぃました。華麗で流麗な森薫さんのペン入れの風景を眺めながら、父が語っていた話も、またご紹介できましたら。
乙嫁語り 14巻は、2022年10月20日発売予定です…はぃ!