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古武道からの発想

2012-12-11 | レビュー
古武道からの発想   甲野善紀 1998年

動画などで見ると、まるでミラクルな身のこなしの甲野先生。
その秘密は・・・

いわゆる「道」のつく日本独自の武道、柔道・剣道・相撲のどれもが、力任せの西洋式スポーツになり下がり、「術」の伝統が途切れつつあるという。柔道はもはや柔道ではなく、judoである、といわれる所以である。
 
 甲野氏によれば、現代人と古人は体の動きの質が違う、ということである。

「井桁術理」「丹田の自覚」というのがポイントだ。

 関節を支点としたワイパー運動は体に負担をかける「うねり」を使った運動。逆に、体を割って、割ったそれぞれが丹田を中心に総和的に働くことで、負担と無駄のない動きができる。例えば左右交互に手を振る歩き方は、実は体を捻ることで、バランスを崩している。江戸の人間はむしろ、右手と右足が同時に前に出る「ナンバ歩き」であった。この重心をとらえた立ち方こそが素早く次の動作に移ることを可能にする。

 「遊び」から出た西欧のスポーツと、日本古来の武道とは、成り立ちからして根本的に異なる。攻めて、拓いていくためには、強靭な筋肉や圧倒的な力が必要だが、護りまたは継続するには、疲労しない効率的な動きの術が有効なのである。