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「いつも彼らはどこかに」感想 小川 洋子

2013-07-21 | 小説・漫画他

「新潮」の2012年6月号から2013年1月号に掲載された、何かしらの生物が出て来る8篇の短編が収められています。
「帯同馬」「ビーバーの小枝」「ハモニカ兎」「目隠しされた小鷺(さぎ)」「愛犬ベネディクト」「チーター準備中」「断食蝸牛」「竜の子幼稚園」
小川さんらしいお話ばかりで、毎回本当に凄く楽しませて頂いて、やっぱり小川洋子さんの世界というか大好きです。
目立たない処にそっといる物や人にスポットをあてています。
変なこだわりに囚われている人や、エキセントリックだけど、他人に迷惑をかけない、ひそやかな変人さんというか。

小川さんの小説は、唯一無二ですね。毎回、期待を裏切られる様な事は無く、いや~ほんとに凄い人だ。
今まで読めるだけの小川作品は読んで来ているつもりだけれど、よくネタが尽きないなぁと感心してしまいます。
中でも、「帯同馬」と「チーター準備中」が特に面白かったです。4つ☆半~5つ☆

「帯同馬」
もう可笑しくて爆笑した部分が一杯ありました。真面目に書かれているのだけれど、ツボに来てしまって・・・。
スーパーでの試食のデモストレーションを仕事にもつ女性が主人公です。遠い処に行ってしまう恐怖から自由に乗り物に乗る事が出来ず、彼女なりの考えで、最も安全で安心出来るモノレール線の範囲内で生活をしています。そんな彼女が、スーパーでビーズのバックを持った、あつかましい?おばさんと知り合います。彼女は、いつも彼女の試食品を何枚も食べるんです。ある時、彼女がおばさんを助けた?事により、一緒におばさんの家で食事をする様になります。なんで、こんな変な人と仲良くなってしまうのか、お人好し過ぎる~と思ったりもしましたが(^^ゞ
競走馬が遠いレース場に移動する際に、ストレスを軽減させる為に同伴させられる馬というのがあるのを初めて知りました。

「チーター準備中」
動物園の売店で働く中年女性。仕事の帰りに、アイスクリーム屋さんで(多分、31とか、そういう沢山のフレーバーがある系の)一つ選んで食べる事を楽しみにしている、孤独だが、つつましく生きている人。彼女は、幼い頃に失ったhという少年がいる。
ある時、チーター(cheetarh)の綴りに、語尾にhが含まれている事に気がつき、チーターは彼女にとって特別な存在になる。チーターの飼育員の男性と仲良くなり、色々話すのが楽しみになる。チーターの目の下にある黒い線は、ティアーズラインっていうんですね。

「断食蝸牛(かたつむり)」
断食施療院から、毎日の様に、風車に通う女性。風車守の男性は蝸牛を飼っています。
カタツムリの描写等、生々しく、ちょっとグロテスクな印象のお話。カタツムリだけではなく、ストーリーも中年女性の片思いや、風車に来る様になった、下働きの女性への嫉妬心などを書いていて、ちょっとドロっとした感があります。

「竜の子幼稚園」
身代わりガラスという、ネックレスを首にかけて、あちこち旅をする中年女性。
この、身代わりの旅?なる職業が凄い。この発想からして、ユニークだ。
幼い頃、幼稚園の滑り台で突然亡くなってしまった幼い弟。弟は、自分の誕生日である3月3日の賞味期限の文字が書かれたパッケージに特別な思い入れがあり、コレクションしていた。弟亡き後、それを続けて来た彼女。
3の文字と、竜の落とし子が似てるというところとか、なんとなく「岸本佐知子」さんのことが頭に浮かびました。岸本さんも小川洋子さんのファンだとおっしゃっていましたが、2人には何か通ずるものがありますよね。

いつも彼らはどこかに (2013/5/31) 小川 洋子 (著)

「ことり」「とにかく散歩いたしましょう」 感想
「最果てアーケード」「余白の愛」小川洋子
刺繍をする少女
人質の朗読会
妄想気分
原稿零枚日記」
「ホテル・アイリス」「まぶた」「やさしい訴え」
「カラーひよことコーヒー豆」
小川洋子の偏愛短篇箱
猫を抱いて象と泳ぐ
「偶然の祝福」「博士の本棚」感想
妊娠カレンダー、貴婦人Aの蘇生、寡黙な死骸 みだらな弔い
薬指の標本 5つ☆ +ブラフマンの埋葬
「おとぎ話の忘れ物」と、「凍りついた香り」、「海」
「ミーナの行進」「完璧な病室・冷めない紅茶」感想

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4 コメント

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存在する音楽さん☆ (latifa)
2016-08-20 19:08:09
こんにちはー!存在する音楽さん
私もこのところ、オリンピック三昧です。
明日でお終いだそうで、なんだか気が抜けてしまいそうです。
時間帯、朝5時とか、深夜0時に対戦とか多くて、見るのが大変でしたよねー

あ!この本、読み終わったんですね。

私もまた読み返したいなー。結構忘れちゃってます・・・
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いつも彼らはどこかに (存在する音楽)
2016-08-20 18:50:42
latifaさん 暑いですがお元気ですか?
リオデジャネイロ・オリンピックを夜中に見てしまい、変な時間に睡眠をとったりしてペースが乱れています。
遂に、今頃(笑) 読み終わりました。期待通り、小川洋子ワールドに浸って読むことが出来ました。
どの作品も、よくもここまで拘って書くなーと、一つ一つの表現を読み返したりもしました。
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存在する音楽さん☆ (latifa)
2013-07-25 10:48:07
こんにちは、存在する音楽さん
毎日蒸し暑いですねー。
う~ん、単行本なので、ちょっと高いかなー。
全然関係ないけれど、「永遠の0」ってお話の方が、夏に読むにはお薦めかも・・・
あっ、小川洋子ファンなのに、こんなこと言っちゃイカンですね。。。
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出てたんですねー (存在する音楽)
2013-07-24 00:21:59
そのうち買いますー
きっとこの夏読みますー
レビュー読んで一気に読みたくなりました
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