「ここは退屈迎えに来て」「アズミハルコは、行方不明」の山内マリコさんの新作。
今回は、東京の貴族的な育ちの華子と、田舎から東京に大学から上京した雑草女子美紀が登場します。
美紀は山内さんの十八番だけど、貴族華子は新しいタイプですね。
1話目は華子のお話。彼女を取り巻く家族や環境、そしてお見合いのこと。華子がお見合いを重ねるも、ろくな相手が来ないこと(整形外科の医師の冴えない男)、大阪出身の人と居酒屋で会った時の相手のリアクションとか、華子、ちょっと可哀想だった。
2話目は美紀の生い立ちから今に至るまでの話。
そして、この2人は、慶應幼稚舎出身の弁護士青木幸一郎と、それぞれ交際していたことが中盤解ります。
普通の小説なら、ここで3角関係のバトル・・とかになりがちですが、山内さんはそうじゃありません。過去作品からも感じていますが、山内さんは女子の友情?を信じている人なんです。(と、言い切っていいのか解らないけれど)
なので、華子と美紀は対立しないんです。ここら辺が好きでした!
私は、お嬢さん育ちで世間知らずな華子も、仕送り激減の為に大学を1年で中退せざろうえず、その後水商売で生計を立てたソルジャー美紀も、両方嫌いじゃなかったので、読みやすかったです。
そして、華子の友人でバイオリンを弾くドイツ帰りの相楽逸子。
この人が、華子と美紀を合わせる様にしたんですが、最初そこを読んだときは、とんでもない事をする友達やなぁ!と、驚いたのですが、意外と大丈夫で、結果的には、いい方向に行ってほっとしました。
"女の義理"という重要なキーワードが、この小説でも効いていました。
そして、今回目からうろこだったのは、田舎のヤンキーの人たち(生まれてからずっと同じ田舎の街で結婚してからも生き続け、つるむ仲間もずっと同じ面々)と、東京貴族の人たちが、両方とも「ずっと同じ狭い世界で生きている」という事で同じだということ。
東京貴族の人たちも、遊ぶ場所や町、慣れ親しんだレストラン、学校、友達、付き合う人たち、などが結構決まってるのね・・・。
貴族も幸一郎レベルのセレブともなると大変だ。
産まれた時から責任とか家族の期待を背負って・・・。
美紀は、自分は自由だ、って言うシーンがあるのですが、私もそういうのが好きですね。
ただ、美紀は幸一郎と付き合った理由、そして、なかなか別れずに、ずるずる長いこと付き合って来た理由が、自分が田舎から出て来た大学一年生の時に、輝いて見えたあの幸一郎と、、、という事でした。
こういうのって、あるのかもなー。今や大スターだったり、超スーパースター選手が、まだ自分が何者でもなかった頃に憧れていた人と結婚、ってパターン、結構ありますもんね。過去の自分が憧れていた人、っていうのは、輝きが消えない(自分の中で)ものなのかもしれません。
山内さんはリサーチに2年かけた、ってどこかで読みましたが、東京貴族の処でしょうね、細かい描写(家の中の家具やらインテリア)はじめ、こういった階級の人たちの事、面白く興味深く読ませてもらいました。
ちなみに、慶應内の話が結構多いのですが、以前桐野夏生さんの「グロテスク」で、慶應女子高の内部・外部の事が書かれていて、それを読んだ時にびっくり、衝撃を受けたんですが、そちらは、1980年頃だったかな? この小説よりも15年ー20年前になるわけです。
この小説では、平成13年(2001年)に大学入学という設定です。
ちなみに、わりと最近、日吉キャンパスに通っていた知人がいますが、こんな風な幼稚舎出身者が固まってブイブイ言わせてる、羨望の的とかっていうのは無いっぽいんですけれども・・・。学部によるのかな・・・。
でも、帰国子女が多く、ネイティブに英語を話せる人が多くて愕然とする・・っていうのは本当みたいです。
あと、今回初めて知った事なのですが、貴族側の人たちの会話の中に「東横線とか田園都市線って、ミーハーな人が住んでそう」
「最近になって外部からやって来ては、踏み荒らす様に西へ西へと住む場所を押し広げて行った人たち」という表現があって、びっくりしました。田舎に住む私から見たら、あの辺に住むなんて凄いなーいいなーって思っていたので・・・。
★以下ネタバレ★
無事華子と幸一郎は結婚する。結婚式に美紀を呼び、幸一郎がちょっと驚くシーンがある。
結婚当初からすれ違いが続き、幸一郎の祖父が亡くなったり、これから選挙に出る事に。
結果、華子は半年で離婚届をつきつけてします。
その1年後、華子は相楽さんのマネージャー的な仕事をしている。美紀は東京と故郷を行き来しながら、同級生の平田さんと仕事をしている。以上
あのこは貴族 2016/11/25 山内マリコ
東京生まれの華子は、箱入り娘として何不自由なく育てられたが、20代後半で恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされてしまう。名門女子校の同級生が次々に結婚するなか、焦ってお見合いを重ねた末に、ハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。
一方、東京で働く美紀は地方生まれの上京組。猛勉強の末に慶應大学に入るも金欠で中退し、一時は夜の世界も経験した。32歳で恋人ナシ、腐れ縁の「幸一郎」とのダラダラした関係に悩み中。
境遇が全く違って出会うはずのなかったふたりの女。
同じ男をきっかけに彼女たちが巡り合うとき、それぞれ思いもよらない世界が拓けて――。
追記 +2021.3月 皿洗いするの、どっち?
こんな山内マリコさんのエッセイ本が出ているのを最近気がついて、さっそく読んでみました。同棲から結婚とこの本の中でも状況は変わっていますが、喧嘩しながらも旦那さんと仲が良さそうで何よりです。
もっと男女平等について、旦那さんが家の事をしてくれていたり、家庭内でのルール決めとかをやってるのかな?って思っていたのですが、結構世の中に多く溢れている共働きなのに結局女性が殆ど家事をしている的なご夫婦だったのは意外でした。
マリコさんが色々文句をぶちまけてるのですが、最後に旦那さんの言葉が書かれているのが他の本には無い構成になっていて面白いですね。
皿洗いするの、どっち? 目指せ、家庭内男女平等! 2017/2/27
山内マリコ
「アズミ・ハルコは行方不明 」
ネタバレ「ここは退屈迎えに来て」
今回は、東京の貴族的な育ちの華子と、田舎から東京に大学から上京した雑草女子美紀が登場します。
美紀は山内さんの十八番だけど、貴族華子は新しいタイプですね。
1話目は華子のお話。彼女を取り巻く家族や環境、そしてお見合いのこと。華子がお見合いを重ねるも、ろくな相手が来ないこと(整形外科の医師の冴えない男)、大阪出身の人と居酒屋で会った時の相手のリアクションとか、華子、ちょっと可哀想だった。
2話目は美紀の生い立ちから今に至るまでの話。
そして、この2人は、慶應幼稚舎出身の弁護士青木幸一郎と、それぞれ交際していたことが中盤解ります。
普通の小説なら、ここで3角関係のバトル・・とかになりがちですが、山内さんはそうじゃありません。過去作品からも感じていますが、山内さんは女子の友情?を信じている人なんです。(と、言い切っていいのか解らないけれど)
なので、華子と美紀は対立しないんです。ここら辺が好きでした!
私は、お嬢さん育ちで世間知らずな華子も、仕送り激減の為に大学を1年で中退せざろうえず、その後水商売で生計を立てたソルジャー美紀も、両方嫌いじゃなかったので、読みやすかったです。
そして、華子の友人でバイオリンを弾くドイツ帰りの相楽逸子。
この人が、華子と美紀を合わせる様にしたんですが、最初そこを読んだときは、とんでもない事をする友達やなぁ!と、驚いたのですが、意外と大丈夫で、結果的には、いい方向に行ってほっとしました。
"女の義理"という重要なキーワードが、この小説でも効いていました。
そして、今回目からうろこだったのは、田舎のヤンキーの人たち(生まれてからずっと同じ田舎の街で結婚してからも生き続け、つるむ仲間もずっと同じ面々)と、東京貴族の人たちが、両方とも「ずっと同じ狭い世界で生きている」という事で同じだということ。
東京貴族の人たちも、遊ぶ場所や町、慣れ親しんだレストラン、学校、友達、付き合う人たち、などが結構決まってるのね・・・。
貴族も幸一郎レベルのセレブともなると大変だ。
産まれた時から責任とか家族の期待を背負って・・・。
美紀は、自分は自由だ、って言うシーンがあるのですが、私もそういうのが好きですね。
ただ、美紀は幸一郎と付き合った理由、そして、なかなか別れずに、ずるずる長いこと付き合って来た理由が、自分が田舎から出て来た大学一年生の時に、輝いて見えたあの幸一郎と、、、という事でした。
こういうのって、あるのかもなー。今や大スターだったり、超スーパースター選手が、まだ自分が何者でもなかった頃に憧れていた人と結婚、ってパターン、結構ありますもんね。過去の自分が憧れていた人、っていうのは、輝きが消えない(自分の中で)ものなのかもしれません。
山内さんはリサーチに2年かけた、ってどこかで読みましたが、東京貴族の処でしょうね、細かい描写(家の中の家具やらインテリア)はじめ、こういった階級の人たちの事、面白く興味深く読ませてもらいました。
ちなみに、慶應内の話が結構多いのですが、以前桐野夏生さんの「グロテスク」で、慶應女子高の内部・外部の事が書かれていて、それを読んだ時にびっくり、衝撃を受けたんですが、そちらは、1980年頃だったかな? この小説よりも15年ー20年前になるわけです。
この小説では、平成13年(2001年)に大学入学という設定です。
ちなみに、わりと最近、日吉キャンパスに通っていた知人がいますが、こんな風な幼稚舎出身者が固まってブイブイ言わせてる、羨望の的とかっていうのは無いっぽいんですけれども・・・。学部によるのかな・・・。
でも、帰国子女が多く、ネイティブに英語を話せる人が多くて愕然とする・・っていうのは本当みたいです。
あと、今回初めて知った事なのですが、貴族側の人たちの会話の中に「東横線とか田園都市線って、ミーハーな人が住んでそう」
「最近になって外部からやって来ては、踏み荒らす様に西へ西へと住む場所を押し広げて行った人たち」という表現があって、びっくりしました。田舎に住む私から見たら、あの辺に住むなんて凄いなーいいなーって思っていたので・・・。
★以下ネタバレ★
無事華子と幸一郎は結婚する。結婚式に美紀を呼び、幸一郎がちょっと驚くシーンがある。
結婚当初からすれ違いが続き、幸一郎の祖父が亡くなったり、これから選挙に出る事に。
結果、華子は半年で離婚届をつきつけてします。
その1年後、華子は相楽さんのマネージャー的な仕事をしている。美紀は東京と故郷を行き来しながら、同級生の平田さんと仕事をしている。以上
あのこは貴族 2016/11/25 山内マリコ
東京生まれの華子は、箱入り娘として何不自由なく育てられたが、20代後半で恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされてしまう。名門女子校の同級生が次々に結婚するなか、焦ってお見合いを重ねた末に、ハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。
一方、東京で働く美紀は地方生まれの上京組。猛勉強の末に慶應大学に入るも金欠で中退し、一時は夜の世界も経験した。32歳で恋人ナシ、腐れ縁の「幸一郎」とのダラダラした関係に悩み中。
境遇が全く違って出会うはずのなかったふたりの女。
同じ男をきっかけに彼女たちが巡り合うとき、それぞれ思いもよらない世界が拓けて――。
追記 +2021.3月 皿洗いするの、どっち?
こんな山内マリコさんのエッセイ本が出ているのを最近気がついて、さっそく読んでみました。同棲から結婚とこの本の中でも状況は変わっていますが、喧嘩しながらも旦那さんと仲が良さそうで何よりです。
もっと男女平等について、旦那さんが家の事をしてくれていたり、家庭内でのルール決めとかをやってるのかな?って思っていたのですが、結構世の中に多く溢れている共働きなのに結局女性が殆ど家事をしている的なご夫婦だったのは意外でした。
マリコさんが色々文句をぶちまけてるのですが、最後に旦那さんの言葉が書かれているのが他の本には無い構成になっていて面白いですね。
皿洗いするの、どっち? 目指せ、家庭内男女平等! 2017/2/27
山内マリコ
「アズミ・ハルコは行方不明 」
ネタバレ「ここは退屈迎えに来て」
寒いですねー。
えーTVにも出てる有名な医者??
ひゃーー!そうなのねー。
優秀な生徒が集まる高校で同級生に医者がゴロゴロしていて、自分や家族が病気になった時に診てもらおうか?って時に、(今は有名な医師になっていても、昔のその人を知っているので)彼にはお任せ出来ないーってなることがあると聞いた事があります。
性格とか根本的な部分って、あまり変わらなかったりするしね・・。
24歳?(ボケてみた・笑)
ん、その医師。無事、医師になって今は、都内で開業医をしてます。
たま~に、テレビにも出る有名な人です。
確かにね、医師試験に合格したんだから、バカでは無いのかもね。
でも「なんで、コイツが医師なんだ?」って思うほど、の人ですよ^^
見た目も言ってることも、まともに見えるからやっかいなのです。
うし年かー私はウサギ年だから、ちょうど今年年女です。
ところで、その医者一家の人、今はお医者さんになってるのね?
でも、もしコネなどで大学に進めたとしても、最後必ず医師免許?の試験に受からないとダメだから、適当にしていても受かれるってことよね?地頭は良いのかもね。
確かに医者って言ってもピンキリだよね。とんでもない人もたまにいるから。
私の知り合いの慶應ボーイ。
めちゃくちゃバカですよ(笑)
幼稚舎に入る時だけ、頑張ってみたいで・・・それ以降、さほど努力をしなくても医師になれたようです。バカすぎて勤務医は無理だから、開業医になったようです。医師の中には、素晴らしい人もいるのだけど、私の周辺の医師はバカが多いから・・・あんまり尊敬の念がないです。
山内さん、そうは言っても、全部読んでないかも・・・ 小説は3つしか読んでないし・・。
おっ!わぐまさん、しし座なのね?
なんかわぐまさんの印象にピッタリ
>女性に心理描写が的確
そうそう。そうよねー。人間観察が上手な作家さんなのかもしれないなー。
>幼稚舎からの慶應ボーイが居ます。両親・兄弟姉妹・嫁、全員が医者
すごいね・・・。そういうお家に産まれてしまったら子供は大変そう(いや、遺伝的にも賢いだろうから、さほど苦労しないで進学決めそうだけど・・
まれなケースで凡人頭脳の異端な子が産まれてしまった場合)⇒滅多に無いか
うふ、投稿した日が私の誕生日~♪
この本さ、女性に心理描写が的確だなぁって思った。
華子の結婚に焦る気持ちも分かったし、
美紀の、大学の頃幼稚舎組のキラキラした幸一郎に憧れてて・・・それが、手の届く存在になって、都合の良い女で利用されてるだけなのに、あのキラキラに近付けたかと思うと嬉しかったんだろうな。でも、華子の存在を知り、目が覚めたんでしょうね(笑)
私の知り合いの男性に、幼稚舎からの慶應ボーイが居ます。両親・兄弟姉妹・嫁、全員が医者なの(笑) やっぱね、滲み出てくる「お坊ちゃま」がありますよ。あぁ住む世界が違うって思うもの。
その中に、入れもしないけど、入りたくもない(笑)