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夫の鼻の手術

2018年10月13日 | 闘病記
夫の手術が終わったと、外来の主治医が伝えにきた。
普通は看護師が伝えに来るけれど、いかにも新人という感じの若い女医さんが、興奮気味に私に説明する。
どこをどう切ったか、削ったか。
大きな手術ではない。
顔を切開するわけではなく、鼻の孔から内視鏡によって行う。
しかし、予定の2時間を超え、4時間以上もかかったのだ。
長い待ち時間に、読みかけの村上春樹『1Q84 BOOK1前編』と、病院内のボランティア図書にあった野口聡一『宇宙においでよ!』を読んでしまった。

「麻酔の準備に時間がかかっただけで、トラブルはなく手術は大成功です」
当初はそういう話だった。

ベッドの上に書いてある「オダ(仮名)」という主治医・執刀医の顔を、私も夫も知らなかった。
「麻酔が効いて患者が知らないうちに、大門未知子みたいに現れるんじゃない」
と、冗談まじりに話していたら、本当に「オダ」医師の顔を知らないまま手術時間を迎えた。
手術室でも、夫は挨拶も紹介もされなかったらしい。
(術前に一度も患者の顔を見に来ない医者がいるなんて!)
術後、私が荷物を取りに一時帰宅している間に、白衣集団をゾロゾロ引き連れてようやく現れたという。
「手術は大成功ですよ」
と。
「でも、ずいぶんと時間がかかったようですが」
夫は麻酔から目覚めきらぬ中で、質問を投げたという。
「それは鼻が小さかったのと、結構中で曲がっていたので……」
言い訳にしては子供じみている。
夫の印象では、
「いかにも偉そうだったよ。それに、手術中のトラブルを隠蔽しようとしてた」
白い巨頭か。

後で知ったこと。
懸念していた全身麻酔下でアレルギーが起こっていた。
ほんの少しのヨードチンキ(ヨウ素・イソジン)によって、危うく呼吸不全に陥るところだったのである。
造影剤(ヨウ素)がNGなのは、病院も把握しているはずだが。
夜、新人の女医さん(外来の主治医)、麻酔科の若手男性スタッフ、手術室の担当看護師の3人が、正直に謝りに来た。
そして、伝えられた。
今後、絶対にヨウ素を使ってはならないと。

長い一日だった。

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6 コメント

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Unknown (MI)
2018-10-14 08:34:33
手術と言うのは、たとえ簡単そうに思われているものでも、油断大敵ですね。医寮関係者の仕事は重責ですが、一つ一つ取り返しがきかない命を扱っていることを肝に銘じて誠実に全力で向かっていただきたいものです。
でも、ひとまず大変なことにはならずにすんでよかったです。早く回復されますように。
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Unknown (みっちゃん)
2018-10-14 08:38:35
なんか病院って怖いね。
libさんは知識あるから、なんかおかしい事わかったからすごいね。受ける側もある程度知識ないとダメな世の中だね
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みっちゃんさん (liberta)
2018-10-14 10:46:25
立場の弱い患者に対して、医療スタッフ全員で隠蔽に関わることがある。また、患者が裁判を起こすと罪のない医師やスタッフが責任を負わされてしまう。私も長くお世話になっている病院なので、そういう例をいくつも見てきました。
病院に任せきりはよくない、と知っているのに、私も油断していました。
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MIさん (liberta)
2018-10-14 10:53:31
私も夫の「大丈夫」という言葉を信用しすぎました。忙しそうな医療スタッフに遠慮してしまいました。もっと病院とコミュニケーションをとるべきだったと、反省しています。

ありがとうございます。少しずつ、回復に向かっています。
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Unknown (チロル)
2018-10-19 21:28:15
ご主人の具合はいかがですか?

何もいいことなくていいから
悪いことがないようにと
いつも思います。

お大事に
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チロルさんへ (liberta)
2018-10-20 09:06:01
優しいお言葉をいただきありがとうございます。
昨日退院し回復に向かっています。日常生活が戻り始め、安心しています。
チロルさんも風邪などひかれませんよう。秋を楽しんでくださいね。
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