変なおじさん！？

先日のこと、電車で変なおじさんに出くわした。

変と言っても身なりや、挙動ではない。

外見は身なりもきちんとしているし、白髪の髭をたくわえ、
いかにも紳士然とした中々の押し出しである。

小生は髭はないが贔屓目ではあるが、さほど引けはとらないと思う。

ことの発端は小生が最寄り駅から乗り込んだ時に始まった。

シートの真ん中よりが空いていた。
少々狭いとは思ったが…少し疲れていたこともあり、浅く腰をかけた。

７人がけのシートで小生で丁度満席だった。

腰が痛いので深くかけようと少し左横に詰めたが、何しろ２人とも大柄で
ほとんど動かない。
しょうがないので右の４人をみると小生の隣にかの御仁が座っていた。
後の３人は申し合わせたようにスリムな女性２人と男１人で、
明らかに座席に余裕があった。

小生、声を掛ければよかったのかも知れないが、少し揺さぶれば
詰めてくれるだろう、と思い肩を押し込んで少し押してみた。

ところが案に相違して、かの御仁に押し戻された。

小生：「一寸詰めていただけませんか？」
かの御仁：「そちらに詰めてください。」
小生：「こちらはもう詰められないのでそちらを詰めてください。少し
　　　　余裕があるようですから…」
かの御仁：「わたしは真ん中に座っているんです。だからそちらにつめる
　　　　　　べきでしょう。」
小生：「そちらに余裕があるし、譲り合って７人がけで座れとかいてある
　　　　じゃないですか！」
かの御仁：「貴方みたいな人がいるから私は真ん中に座っているんです。
　　　　　　ちゃんと真ん中に座っているんです。」
小生：「？？？……」

小生、意味不明でよほどキチンと主張しようかと思ったが、思い止まった。
殴り合いになるような相手でないことは判っていたが、さすがにいい年をして（２人とも）言い合うのは、聞き耳を立てている周りの人達にもみっともなくて中断した。

相手も気配を察したのかそれ以上は何も言わず、２人とも憮然として
隣り合わせで乗り続けた。

しばらくすると身体が楽になってきた。
右肩の圧迫感が無くなってきた。

気をつけてみていると、かの御仁が電車の揺れに併せてさりげなく
少しずれたようだ。

小生、思わず笑いがこみ上げてきたが、表情に出すのを堪えるのに
苦労した。

初めからそうしていれば、気まずい思いをしなくても済んだのに、
と思うがいやはや…。

日常の些細な出来事のお粗末な顛末でした。

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