ネットカフェで3年間暮らしていた30代の男性は、
派遣でつないできましたが、この3月で派遣をきられ、
ついにネットカフェにいることもできなくなり、
外で寝泊まりをしていたというのです。
お会いしたときの所持金は300円。
でも、これまで、ずっと働いてきた彼は、
身なりもきちんとしていて、言われなければ、
ネットカフェ暮らしだったなんて、誰もわからないでしょう。
学校を卒業してから正社員で勤めたものの
会社のひどい対応に苦しみ、辞めてしまったら、
もう、アルバイトや派遣でしかつなぐことができなくなり、
アパートの初期費用も貯めることはできず、
ネットカフェ暮らしになったということです。
「働きたいのです」
そう言う彼に、厳しい現実が突きつけられます。
今は住所不定の身になってしまったので、
雇っては、もらえないのです。
相談を受けてから、役所の人と連携をとり、
今の居場所での毎日が始まりました。
その彼から、今日、
現在の状況を知らせる電話がはいりました。
少しだけ、先が見えてきたから、
少しだけ、安心して、数日を過ごすことができたようで、
電話の向こうの声は明るい声でした。
■
「ありがとうございます。ご恩は一生忘れません」
帽子を取って、深々と頭をさげてくださったその方は、73歳。
足腰もしっかりとして、背筋もしゃんとしていて、
60代にしかみえません。
3月に、もう仕事が無いからと、会社を辞めさせられました。
ずっと、働いていたのに、部長の方書きまであった人なのに、
10年くらい前から仕事の単価が半分に下げられ、
貯めることも全くできないまま、それでもつましく生活してきたのに、
放り出されてしまったとたんに、一文無しです。
江戸川に飛び込もうと3度したけれど、
できなかったんです・・・
涙を流すその方は、とても真面目に働いてきたその様子が、
端々からわかります。
この1ヶ月は、駅のトイレで、じっと、夜を明かしていたそうです。
その日のうちに生活保護を受けることができることになりました。
この人も、「まだ体が元気なので、働きたい」と言います。
■
どうして、真面目に生きてきた人たちが、
悔しい涙を流さなければならないのでしょうか。
何度、その涙を見たことでしょう。
大企業が、リストラ、派遣切り、内定取り消しを無法に進めたことで、
町場にも、雇用破壊の大波が押し寄せてきています。
大企業は、内部留保をきちんと使い、雇用の責任を持つべきです。
そして、ルールある社会、人を大切にする社会にしなければなりません。
一部の人だけが儲かるような仕組みではいけないのです。
■
希望の光が見えたそのときに、みせてくれた、
ほっとした安堵の表情。
真面目に働く人たちが、
ずっと安心して暮らせるように、
社会をかえないと、ならないのだと思います。
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