◆十三番(間宮由美 君)
質問の第二は、学校図書館の充実と、そのための専任司書の配置についてです。
今年の夏、文教委員会では山形県鶴岡市立朝暘第一小学校の学校図書館へ視察に行きました。七時四十五分、学校の開門と同時に子どもたちが向かったのは学校図書館でした。心を支える言葉を育てるとして、学校図書館を朝から放課後まで子どもたちの生活時間帯には全日開館し、本を借りる時間を保障しています。そして、そのために県費で一人、市の職員が一人、専任として配置されていました。
全国的に見ても、学校図書館の専任を司書として配置している自治体も増えており、二十三区の中でも既に十四区が専任の配置を始めています。
江戸川区では読書改革プロジェクトを立ち上げ、読書科をつくると表明されています。しかし、現在の学校図書館において、子どもがいつ行っても活用できる状態であるところはまだまだ少ないのが現状です。これまで教育委員会は、「司書教諭を配置しているので、その先生方を推進役にして、学校全体で読書活動に取り組む」と答弁しています。しかし、教育委員会の言う司書教諭の配置とは、司書教諭という資格を持っている先生を学校に一人配置するということであり、それはほとんどが担任の先生です。担任を持ちながら学校図書館の運営をし、全校生徒に目を配るということは容易なことではありません。さらに教育委員会が強調するのは、ボランティアの参加です。しかし、実際に図書ボランティアをされている方々からは、幾つもの御意見をいただいています。
昨年九月、青少年問題協議会では、モデル実践校である小学校から読書活動応援団についての報告がありました。特筆すべきは、「ボランティアだけで行えることは幾つもあるけれども、しかし専門的な仕事はできない」として、専門家が存在しないことを課題として指摘されたことでした。豊かな実践をしているボランティアの方々の課題認識を、区としてはどう受けとめたのでしょうか。
これまでも繰り返し、学校図書館への専任司書の配置を求めてきました。子どもたちの育ちにつながる本とのかかわりを豊かにつくるために、三点お聞きします。
一点目は、江戸川区の構想している読書科の内容についてお聞かせください。
二点目は、学校司書など学校図書館への専門職員の整備、充実について国に対して求めるとともに、十一学級以下の学校においても司書教諭を発令できるよう、学校図書館法の改正を行うよう求めていただきたいと考えます。
三点目は、当面は国が配置するまでの間、既に多くの区が実施しているように、区として専任の職員を配置することを強く求めるものです。いかがでしょうか。
以上で一回目の質問を終わります。(拍手)
◎教育長(浅野潤一 君) 学校図書館について、三点の御質問だと思いますけれども、読書科についてでございます。読書科は端的に申し上げまして、本好きな子ども、本で学ぶ子どもを育てるということに尽きるのではないかというふうに思っておりますけれども、子どもが言葉を学んだり感性を磨いたり表現力を高めたり想像力を豊かにする。それから、生きる力をつけていくという中で、読書というものが非常にいかに重要かということを認識した上でそういうものを進めるためには、まずもって本を読む機運を高める。それから、そういう環境をつくるということが大事だということで、進めているところでございます。
今年度、既に御承知と思いますけれども、朝読書を中心に、年間一千分の読書時間を確保しているところでございます。また、その読書環境をもう少し豊かにするという意味で、読書改革プロジェクトでいろいろな取り組みを、学校だけではなくて、御父兄等を巻き込みながら進めているというようなこともございます。こういうことを進める中で、いわゆる読書そのものを楽しむ。そういうことを前提に、読書の習慣とか楽しみというものを、素朴に生活の中で自然に子どもたちが取り込んでいけるということをまずつくっていきたいということでございます。その上に立って、子どもたちが自分たちでただ本を読むというだけではなくて、それを一歩進めて、先ほど言いましたような読書の効果につなげるような振り返りをして、先生、あるいは子どもたち同士が、お互いの読書の体験を語り合いながら表現力を高めていくと。それを学習に生かしていこうということで、読書科というものを想定していきたいというふうに考えてございます。
読書による効果を広げていくためにということで、今そういう読書科をどういう形で想定し切れるかということにつきましては、今現在まだ学校等と協議を進めているところでございますので、具体的な形につきましては、もう少しお時間をいただきたいというふうに思ってございます。
二点目は国への要望等でございますが、学校司書などの専門職員の配置につきましては、今のところ区として考えておりませんので、求めることは考えておりません。
それから、御指摘のありました十一学級以下の学校においても、司書教諭を発令できるようにということでございますが、これは法律改正のあったときに合わせまして通知が出ておりまして、学校図書館法の一部を改正する法律等の施行についてという中で、「十一学級以下のものについても、できる限り配置ができるように努力すること」という文科省の通知が出ておりますので、これに沿いまして、現在江戸川区でも、十一学級以下でも、ほぼ全部の学校に司書教諭を配置しているという実情がございます。
三点目につきましては、これはちょっと繰り返しになりますけれども、現在学校図書館の司書教諭が中心となって、読書計画の企画立案から図書の選定等を行っているところでございます。昨日も申し上げましたけれども、ここにいろいろな地域の読書に関心のある方々の参加をいただきながら、あるいは区の図書館の専門家との交流等を通して知識を得ながら、これから学校の図書館整備を充実させていきたいということに変更がございません。そういうものを一層広げていきたいというふうに考えてございます。
◆十三番(間宮由美 君) スーパー堤防に四十億円を使っているのに、子どもにはお使いにならないのかと非常に残念です。
学校図書館につきましては、私はちょっと予想しないほど冷たいお答えだと驚きました。学校司書などの整備について、それは区として考えていないので、国に対しても求めませんということでした。でも、やはり学校図書館に学校司書を配置している学校というのは、今全国でも四割以上となって、急速に加速している状態です。しかし、政府のほうではこれに対する具体的な支援措置がされていないわけですから、まず政府として、国としての措置が必要だと思うんですね。
先ほど十一学級以下の学級においても、司書教諭の発令についてはほぼ全校に配置しているということでした。ほぼ全校ということですが、多分一つの学校が配置されていないと聞いておりますが、それはその認識でよろしいかどうか、もう一度そこについてお聞かせください。
また、学校図書館の中に専任の司書を求めるということについては、昨日の答弁でも、また先ほどの答弁でも、ボランティアということが強調されています。しかし、ボランティアとしてまじめに子どもたちのために学校図書館を充実させたいと考えている方々からは、実はたくさんのメールやお電話をいただいています。例えば、やってあげたいことはたくさんあっても、専門知識のないボランティアでは活動に限界があり、だれかのアドバイスが欲しいといつも願っています。地域の保護者のボランティアだけでは、読書活動を積極的に進める活動をするには無理があります。こういった声が切実に専門家を求めています。この声にやはりどうこたえていくのかということが必要ではないかと思っているわけです。
国を待つのではなくて、二十三区の中で既に十四区が専任の職員を配置していますので、江戸川区の中でその専任の職員を配置するということについて、踏み込まない理由をお聞かせいただければと思います。
◎教育長(浅野潤一 君) 司書教諭の配置されていない学校は、中学校に一校だけございます。十一学級以下でございます。
それから、どうして専門家の配置をしないんだというお話でございますけれども、今お話をしてきましたように、江戸川区では図書館の整備については、地域を巻き込んで全体として図書に親しむような地域をつくろうということで進めていきたいと思っておりますし、そのことに関しては学校の中のこととはいっても、いろいろかかわりがあるボランティアの方とか父兄の方とか、関心のある方々を巻き込んで、地域とともに学校の図書のあり方というものを追求していきたいということで進めておりますので、それは方法論として違うのではないかというふうに思ってございます。
専門家につきましては、今中央図書館ともいろいろ協力についての話し合いをしておりまして、こういう区の中にたくさんある公共図書館の人材を、学校図書館との連携の中で専門家としての活躍をしていただこうというようなことも含めて、協議を進めているところでございます。
◆十三番(間宮由美 君) 学校図書館につきましては、地域を巻き込んでということなんですが、ボランティアをやっている方々から、専任の人が必要だという声が上がっているわけです。やはりそこについてしっかりとその声を聞いていただきたいということが一番あります。
十四区が既に配置し、司書の免許を持っている人なども含めて配置していますので、ここについては区として考えていただきたい。
最後に、中学校一校がまだ配置されていない、司書教諭、そこについてはすぐに配置するように求めて終わります。
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