去年から時々あれが失くなった、これがなくなったと騒ぐことが増えた
突然夕飯時の忙しい時間に電話を掛けてきて
「保険証がない、入れてあった袋丸々ない‼️」
と焦ったように言う
その日診察の時確かにあったのは私も確認済みで他の場所で出すわけがないし寄り道もしていないのであるはずだから慌てなくても家の中にあるだろう
今でこそ私も瞬時に記憶をたどって家にあるだろうと慌てなくなったが当初はすぐに実家に駆けつけて探したものだった
たいていすぐ見つかるのだが母の慌て方は尋常じゃない
最近はそういう電話がかかってきても「家にあるよ」「例えば私が探しても見つからなかったら再発行すればいいよ」
と言うようになったが
興奮状態の母は一旦は仕方ないという感じで電話を切るが10分毎くらいに何回も、まるで今初めて私に打ち明けるように同じ台詞を言う
去年の夏の終わりにお気に入りの黒い日傘がないと言い出した時もよく探したが結局見つからなかった
そして先日、買い物時日傘をさしていた
私は去年の夏に日傘を失くしたことも忘れていたが、久しぶりに日傘をさしている母を見たのでしっかり覚えていた
すると2日後、電話をかけてきて「黒い日傘がない」と言う
夜に電話を何度もかけてきて何度も繰り返される同じ会話
そしてまた数日たってから白い折り畳みの日傘を持って来た母と買い物に出た
夕方家に帰った母がまたうちに来て「日傘がないんだけど車に忘れてない?」という
探したけど車にはないから「家にあるんじゃない?」というと「もう!日傘全部なくなるわ!」となげやりになって帰っていく
しかたないので実家まで探しに行った
すると日傘がないと言ったことも忘れている様子
「白い日傘失くなったんでしょ?あったの?」と聞くとしれっと
「あるよ、ここに」と言う
「じゃあ黒い日傘は?」
「あー黒い日傘はないんだわ、長いのも短いのも」という
先日さしていたのは長い日傘
短いのは折り畳みで袋だけが残っている
見たら去年なくなったあの黒い日傘だと判明
「それはもう去年から失いヤツだから出て来ないよ、長いのもあんなのしまう場所は限られるからそこにないならどっか置いてきたんだね」と言うと
「そうだった?」と
忘れるのは物だけじゃなくてなくなったと思ってソワソワしたり悲しくなったりという感情も忘れるんだよね
私は振り回されてイライラした感情を忘れられずに積み重なっていくのに
不公平さえ感じてしまう