無力なのだと知らされる

　日中は雨が強く降るでしょう。
　天気予報でそう言われたのに、用事があって外を歩いてしまいました。
　橋の上にさしかかると、風が右から左から吹いてきて、傘をどちらに向けたらいいのかわからなくなりました。
　あっ。
　おちょこになった。
　でも、どっちから風が来ているのだ？
　しばしビショビショになりながら、悪戦苦闘しました。
　たいした用事ではありません。
　簡単に済んでしまった用事と、体の濡れ具合が釣り合いません。
　このまま帰るのはもったいない。
　まあ、珈琲でも飲んで行きなさい。

原因と結果の法則

　朝から腰が痛い。
　どうしたんだろう。
　昨日の行動を振り返ります。
　重い物を持ったとか、激しい運動をしたとか。
　何も思い当たりません。
　もっと前のことが原因かもしれません。
　一昨日の行動を振り返ります。
　さて。
　思い出せません。
　でも、たぶん何もしていません。
　何もしていなくても、体のあちこちは痛んだり、パソコンは突然止まったりするものです。
　天気は急に変わったり、信号は目の前で赤になったり、電球は切れたり、子供は転んだり。

スパッとシュッと

　ネットで買い物をしました。
　しばらくして、商品を発送しましたとメールがきました。
　同時に、それがいまどこにあるのかがわかる追跡ナンバーもついていました。
　「配送業者に引き渡されました」
　まだまだ遠くです。
　「お近くの配達店まで輸送中です」
　かなり近所です。
　「配達中です」
　もう届きます。
　「配達完了」
　え？　来ていないけれど。
　ポストを見に行くと、入っていました。
　まるで倉庫からポストまでパイプが通じていて、その中を商品が飛んできたようです。
　一度も人と接することがないと、人が手で運んできた感じがしません。
　本当に人は介在していたのか、何か証拠を見せてください。

嫌なことは早く終わりますように

　浄化槽の点検のため、しばらく断水になりました。
　昼をはさんで6時間です。
　ポットにお湯を沸かしておき、バケツに水を溜めました。
　大半の時間を家で過ごしましたが、不便に感じることはありませんでした。
　終わりがあると知っていることが大きい。
　この渋滞は、あと1時間で終わる、それなら我慢できる。
　この退屈な授業は、あと30分で終わる、我慢します。
　この歯の痛みは、あと15分で終わる、耐えます。
　この×××は、あと3分続く、勘弁してくれ！
　ということもあります。

これが買い物というものだ

　増税前に使えなかった切手が3枚あります。
　郵便局へ行き、不足分の2円切手を買いました。
　合計6円。
　1円玉と5円玉で払いました。
　ビニール袋に入れてくれようとしたのを断り、レシートと一緒に財布の中へ。
　6円かあ。
　郵便局をあとにし、歩きながら考えました。
　いまどき6円で買えるものは、そうありません。
　しかも3枚も買っています。
　なんとなく、初めて買い物をした子供のような、買い物の原点に返ったような、なんともいえない気分で午後を過ごしました。