萩原さんは、エコフェミニズムの研究者であり、とくにエレン・リチャーズ・スワローを深く研究している。
以下、講義のメモから。
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エレン・リチャーズ・スワローは、優秀な科学者であるが、女性というだけでさまざまな迫害を受けた。
エレン・リチャーズ・スワロー(1842~1911)
「エコロジー」自然環境と共生しうる生活経済社会の形成をめざすための学術的科学。社会運動としてのエコロジー。環境保全を目指した社会運動としてのエコロジー。
1892年11月30日にEcologyの命名式を行った。
「人間が環境と調和して生きるための知識を身につけるための科学」
「すべての生き物が棲む家 環境を改善するための日常科学としてのEcologyを提唱」
しかし、1893年イギリス医学ジャーナルには「エコロジーは形態学や生理学から獲得しうるあらゆる知識を用いるが、主として自然状態の下で現れる動植物の生命の諸現象を探求し、開発し、搾取(利用)することに基礎をおく学問である」と発表される。
除草剤がもたらす環境破壊を訴えた『沈黙の春』を出版したレイチェル・カーソンも、独身女性であったがために多くの誹謗中傷にさらされる。
しかし、ケネディ大統領の妻であり、優秀なジャーナリストであったジャクリーヌのおかげで、科学諮問委員会が設置され、農薬についての調査も始まった。
1963年「殺虫剤の使い方」報告書発行、DDT、パラチオン、マラソンなど有機塩素系殺虫剤の禁止、米環境保護庁が設立された。
二人の科学者の思いは
・自然を支配するという科学と技術の発展がいかに環境を破壊し、ひいては人類の危機につながるかを警告
・人間の自然に対するおごり、傲慢さを憂い、環境と調和しうる生き方を提唱
・女性に対する科学教育の重要性を主張
・女性解放と生活・地域改革を核とした社会の実現を目指す
ノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイは、独裁政権と環境破壊、開発政策が経済開発を意味することに対する疑問から、グリーンベルト運動と女性の組織化をした。
民主化運動の闘士として投獄される。
「なぜ生活が貧しいのか」「なぜこどもに教育を与えることができないのか」
戦争に反対し、女性に対するあらゆる暴力に反対する。それだけではなく、先住民に対する差別や、地球に対する暴力にも反対する。
女性たちは家庭や子どもや地域社会を守ってきた。早くから観察すること、注意すること、育てることを学んでいる 「生命と生命の循環を尊重」
女性たちが木に抱きついて森林破壊に抵抗したインドの「チプコ運動」。日本では北九州市の「青空がほしい運動」、滋賀県の「せっけん運動」などがあった。
グリーン&エシカル(倫理的=環境保全や社会貢献)コンシューマー
エシカルコンシューマリズムとは、「環境や社会に配慮した工程・流通で製造された商品を選択し、そうでないものを選択しない」という消費活動。
【持続可能な社会のための6原則】
○価値の再評価 revalue 生活の質、人間関係、文化・芸術への敬意
○社会システムの再構築 Restructure 環境、社会的コスト、参加と平等の実現
○再分配を行う Redistribute 資源の配分の見直し
○減らす Reduce 過剰消費を減らす
○再利用 Reuse
○リサイクル Recycle
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日頃から、人権問題と環境問題は根っこが同じであり、目指すものも同じであることを意識していただけに、とても納得できる講演内容であった。
萩原さん、こんな話をしながらいろんな替え歌を作って歌っちゃうところが、これまたおもしろい。