7月16日(木) 中標津町・開陽台キャンプ場連泊(霧多布~厚岸~川北温泉)
午前7時起床。雲天。
川北温泉にでもいこうかと、タオル、下着だけタンクバッグに突っこんで午前9時前後には出発するが、すぐに霧雨。川北方面から黒雲がゆっくり動いてくる。だが南側、根室方面の空は明るい。「厚岸のカキメシ」がひらめく。ノサップ岬は濃霧とラジオで言っていたので、あとまわしだ。
厚床から裏道にあたる142号から霧多布方面に向かう。途中、ムツゴロウ王国という看板にさそわれ、王国の門のところまでいってみる。中は非公開。遠くでのんびりと馬が草を食んでいる。こんなところにあったのかと思ったが、ふーんという感じだ。だだっぴろい敷地をもつ立入禁止の金満家の牧場というか、外来者お断りの新興宗教の施設をついつい連想してしまう。
霧多布岬は霧雨。バイクから降りるのも面倒くさく、駐車場でそのままUターン。頭の中は「カキメシ、カキメシ」でいっぱい。霧多布キャンプ場ではテントを張っている人はいない。
午後1時5分前に「厚岸駅」前に着く。
午後の分の出来上がりまで、あと20分くらいかかるとのこと。弁当は駅前にある小さな建物でつくっているらしい。駅の中でヒマつぶし。ようやく出来上がり、直接、製造しているところに買いにいく。「つくりたて!」に惹かれて、2個(1個900円)も買ってしまう。あつあつだ。1個は、すぐに駅前の広場にあるベンチで、他のライダー2人と一緒に食らう。ちょっと甘いかなという印象。でも、本場ものを食べたい食べたいと思っていたので、ハグハグと口に運ぶ。結構、いける。
大満足だ。
こうなるとやはり温泉。ノサップ岬もいいかなと思っていたが、根室方面からきたライダーに聞いてみると、やはり濃霧の上に寒いという。川北温泉に決定。中標津まで再び1時間強走り、小雨の中、さらに約5キロのダートを走る。バイクは、もうドロだらけ。4時に温泉場に到着。脱衣所には、バッテリーのブースターケーブルなどが置いてある。そうだろうなと納得してしまう。ヒグマの出没する山中に車でやってきて、バッテリー上がりなどしたら大変なことだ。たぶん、それで置いてあるのだろう。
温泉は男女別で、聞いたところによると、別々の湯の成分らしい。男湯は乳白色の湯。雨のせいか、地元の人が4人いるだけ。話を聞いていると、どうやらこの温泉を引くのに携わった人もいるようだ。ヤケドしてから、そうしているように左足だけは湯船の外に出して浸かっていると、
「どうしたんだ?」
と、温泉関係の人が声をかけてくる。
「ヤケドです」
「ヤケド? 湯につけれ、つけれ。1発でなおるど」
思いきって言われると、心が揺れる。他のおじさんたちも、じいっと自分のの左足に注目している。しばし逡巡したのち、いいや、と思いきって湯に浸ける。傷口が熱ーくなってくるが、徐々に痛みがひいてきて、いい気持ちになってくる。
40分ほど温泉にいたが、帰りは雨足が強くて、開陽台に帰り着くころには暖まった身体がすっかり冷え切ってしまう。
夜は再び、カキメシ。開陽台の売店で買った、香料、保存料なしのヨーグルトなどを飲んで寝る。ジーンズを2枚重ね着、その上にライダージャケットまで着こんでシェラフにくるまるが、それでも寒い。外は濃霧。
本日の走行距離、約300キロ。
懐かしき開陽台。
横にあるバイク一台分くらいの細い坂道を上って裏側に回っていた。