バイク・キャンプ・ツーリング

NERIMA爺、遅咲きバイクで人生救われる

1999年2月17日 伊豆ショートツーリング

2025年03月07日 | 1999年
2月17日(水)

 今年、初のショート・ツーリング。
 バイクを運転するのは去年の12月22日以来のこと。バイク買って、これほど長期間乗らなかったのははじめてだ。長期の風邪なども原因だが、寒波の襲来激しく、とてもバイクに乗る気持ちではなかった。昨夜の天気予報によると今日は快晴で、日中、気温が15、6度まで上がるという。

 朝、9時には準備などして10時には出発。やはり長期間エンジンに火をいれていなかったので、かなり、かかりが悪い。タンクやシートにもざらざらと砂埃。ガソリンタンクなどは指で字が書けそうなほどホコリっぽい。すまん、と心の中で手を合わせ濡れティッシュでさっと拭いてやり出発。

 環8は10キロほどいったところで、いつものように渋滞開始。
 東名用賀インターまで15、6キロというところか。東名高速から厚木分岐で小田原道路にはいる。今日はとことん有料道路を使うつもりで、途中断続もあったが、小田原道路・西湘バイパス・真鶴道路・熱海ビーチラインと乗り継いで、熱海まで軽快にすっ飛ばす。100キロほどスピードだすと、顔に冷気を感じる。下はインナーに皮パン。上はいつもの冬の装備――長袖Tシャツ、トレーナー、ダウンのベストをつけたライディング・ジャケット。だが、これだけでも渋滞時でノロノロ走っていると、うっすらと首回りに汗をかいてくる(後でラジオで聞いたのだが、今日は3月下旬から4月上旬の暖かさだったらしい)。

 どこまでいこうかと熱海で時計を見ると、12時を軽く過ぎている。午後2時までいけるところまでいって、そこから引き返すことにする。ひょっとしたら下田までいけるかもしれないと思っていたが、道路標識には下田まで68キロとある。最低でも1時間はかかる計算だ――海を見ながら今日はゆっくり走りたいし、腹もへってきた。途中でメシも食わなきゃいけないから、下田までいくのはとても無理。途中から伊豆スカイラインに登ることに決める。

 宇佐見という町で、けたたましくサイレンを鳴らす消防車、数台に追い越される。さらにパトカー。徐々に渋滞がはじまる。どうやら火事のようだ。土地の人も一塊りになって、道路の向こうを覗いたりしている。現場は近くらしいのだが、煙らしいものはまったく見えない。と、拡声器の声。「この渋滞は、火災によるものです」と道の向こうから聞こえる。仕方ないので、2列渋滞の車の間を抜けたり、渋滞にはまっているパトカーを横目にすり抜け。渋滞先頭までいってみる。かなりの人だかりだが、火災現場は特定できない。けれど、消防車が道を塞ぐようにして何台も停車している。

 はて? と思っていると、消防車移動、横の車が動き出したので、一緒についていくと、なんと、観光バスが火災だったようだ。バスの横っ腹にある荷物入れから、鎮火の後の白い水蒸気のようなものがあがって、真っ黒になった荷台の側壁部分から消防士が何人か中を覗きこんでいる。バスの前には、電光掲示板付きの警察車両のバンが道路を塞いでいる。掲示板には「事故処理中」とある。その横を抜けて、さらに進む。バスが横から追突でもされ、そのはずみで炎上したのだろうか。それとも、荷物にあったガスライターのようなものが自然発火でもしたのか。バスにぶつかった車はいなかったようなので、ただの車両火災か。

 伊豆高原駅から15、6キロほどいった東伊豆町の「えびす食堂」というところで、昼飯。小さい店なのに結構、駐車場に車が停まっている。もう1時半を廻っている。カウンター10席、座敷3卓ほどのこぢんまりした店だ。カウンターに客はいなかったので、真ん中に荷物を置かせてもらう。最初はカレーでいいやとか思っていたが、トイレを使わせている間に、やはり、せっかくここまできたのだから、ここの土地ならではのものを食べようと決める。

 どうやらここは干し魚が売りのようだ。干しイカ定食(1100円)・干しムロアジ定食(1100円)・アジフライ定食(900円)・ミックスフライ定食(1400円)・カツカレー定食(1100円)とある。どれも、少々高めだ。納豆定食が900円とある。納豆で900円は高い。カレーライス800円。ちょっと迷うが、1100円の干し真アジ定食を注文。厨房と、お運びさんを中年女性二人で切り盛りしているようだ。
 山岡久乃さんが亡くなったとか紙面にでているスポーツ新聞などを読みながら、約5分。なぜか腹がへって、たまらなくなってくる。紙面の字面を追っているが、心では定食がいつでてくるのか、目の前で調理しているので気になる。
 ようやくでてきた定食。中型のアジ(ちょっと薫製にしたように気持ち飴色になっている)が2匹。サラダ(キャベツの千切り・ミニトマト二ヶ・マヨネーズ付き)。みそ汁(あくまでも緑のワカメ)。大盛りのメシ。タクアン2切れと大根のなます(唐辛子和え)。うまそうだ。

 干しアジにちょっと醤油を垂らし、割り箸がしなるほど力を入れ、ホクホクの白い身を裂く。焼きたての身を、先に口に含んでいたメシの中に放りこむ。う~ん。うまい。アブラがのってる。食べるほどに、うま~い。さらに数回、ほぐした身を口に運ぶ。合間にワカメのみそ汁。輝くような緑のワカメがとろりと甘く香ばしい。ご飯がコシヒカリということはないな。だが、そんなことはどうでもいい。夢中でがつがつ食う。アジの頭も全部ばりばり食べる。アジのセボネが4本だけ皿に残る――アジをそれぞれ2つに割って食ったからだ。もう少し小型のアジだと骨まで食べられるのは間違いないが、これはこれで大満足。

 食い終わって、持参の道路地図など見ていると、初老の夫婦がはいってくる。「もう何年も前のことでねえ、ここで食べたんだけど、おいしくて……。また、寄ったのよ。たしかここだったなあって。あっ、見たことのある看板だって、引き返してきたのよ」などと店の人に言っている。そうだろう。そうだろう。――と、また初老のおばさん。「ところがね、お父さん、そのときのこと、全然憶えていないのよ。もう、ねえ。あのときおいしい、おいしいって言ったのにねえ。あ。アジ定食2つお願いしますね」などと、妙になれなれしい。まあ、それだけ、以前ここでたべたときにおいしかったということだろう。お客さんが次々にくる。地元の人らしい赤ん坊連れの若い夫婦などはラーメンにカツ丼を頼んでいる。どんなラーメンだろうとちょっと気になったが、惜しみつつも時間がないので2時ちょい過ぎには店をでる。

 伊豆スカイラインに一番早くいける道を店の人に訊いたら、ここまできた道を一旦、10キロほど引き返して、伊豆サボテン公園の標識を目指すほうがといいという。やはり下田は、また今度の機会にする。
 サボテン公園に左折する前から、道路には「伊豆スカイライン凍結」の立て看板があちこちに立っている。ちょっと躊躇したが、昨日までの寒波でおざなりに出しているだけだろうと無視して、大室山方面に向かう。そこでもまた凍結の注意看板が数カ所ある。一応、日陰だけには気をつけてスカイラインを目指して登る。徐々に寒くなってくるが、手がかじかむというほどではない。路面だけ気をつけて走る。道端には残雪。風やや強し。上にいくにしたがって時折強い風が吹いて、車体が揺れる。最初の有料ゲートで、箱根までの通し券(560円)をまとめて買う。季節柄から、ほとんど車はいない。心配していた凍結はほとんどなし。ちょっと、飛ばす。

 と、スカイラインをすっ飛ばしてくるバイクと遭遇。かなりのスピード。お互い、ちょっと意識。
 富士山は裾野が白い靄に溶けこんだようになり、上半身がくっっきりと宙に浮いている。それを左手に見ながら、快走ラン。
 独走状態で、気持ちいい。
 寒いせいかシッコがしたくなり、箱根ターンパイク下山口の休憩所で小休止。走っているときはそれほどとは感じなかったが、風は尾根のせいか、ビュッと吹きつけるほど強い。トイレを借りて帰ってくると、タンクバッグの上に載せていたヘルメットが、目の前でふわりと宙に舞ったかと思うと地面に落ちる。風。急いでメットを点検。どああ。バイザーに深い傷がはいっている。ついこの間、ようやく買い換えたばかりだというのに……。まだ今回が2回目の使用だというのに。気を取り直して、ターンパイクを下山。金を払うゲートの兄ちゃんから「日陰は気をつけてください」と親切な言葉。わぁってる、と心の中でやけ気味で感謝の気持ち。

 帰りも小田原道路から東名高速の予定。4時過ぎには小田原から高速に乗り1時間くらいで環8にでるが、いつものように高井戸で渋滞。陸橋の上に連なっている車の列を見てうんざり。すぐさま、環7に向かって甲州街道を右折。バンバンすり抜けをして快調に進むも、なにを勘違いしたのか井の頭通りを左折、また環8に戻る。結局、環8を一キロくらい走っただけの計算になる。なにやってんだ。トロトロ走るのいやだと思っていると、横についたバイク便がガンガンすり抜けをはじめたので、そのまま後をついていく。途中からは、そのバイク便も追い越すほどの気合いのいれようで、6時前には練馬到着。近所でガス給油。12リットル強。本日の走行距離、360キロ弱。




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