バイク・キャンプ・ツーリング

NERIMA爺、遅咲きバイクで人生救われる

1996年 東北ツーリング 6日目

2024年10月19日 | 1996年 東北ツーリング
9月1日(6日目)
本庄~夏油温泉~遠野~釜石




 朝、さあさあと雨。
 屋上のコンクリにシタシタと雨水が音を立てて落ちている。土砂降りに近い。天気予報によると、日本海側は今日も明日も雨模様らしい。
 ただ、ホテルの窓から内陸部のほうを見ると、海側より雲は少ないようだ。今日は、男鹿半島を走るつもりだったが、急遽、山間部に向かうことにする。気が向いたら、そのまま太平洋側に抜けてもいい。日本海側はしばらく天気がよくないようなので、その公算が高い。そのうち雨脚が弱くなるだろうと思っていたが、9時半を過ぎても、その気配はまったくない。

 雨の中、カッパを着こんで本庄を出発。
 雲の状態を見て、国道107号を山間部に向かって1時間ほど走る。午前10時45分ごろ、雄物川町を通過。このあたりまでくると、雲が取れてきて、うっすらと青空が広がってくる。先ほどまでの土砂降りがウソのようだ。やはり、こちらにきて正解だった。このあたりでガソリンを入れていて、とても蒸し暑かったと記憶している。赤いキャップをかぶった若い女性の従業員と、腕時計を見て時刻を確かめた光景がよみがえる。国道107号を横手を過ぎたあたりから、北上方面の山に低い雲がかかり始めている。「台風のせいかもしれない」などと、ビデオで言っているが、このとき台風が日本海側を通過して北海道方面に抜けるところだったのかもしれない。

 北上市に入り、蔵王温泉で会ったドカ乗りのライダーに教えてもらった夏油温泉に立ち寄ることにする。
 午後12時半過ぎ。国道107号から県道37号を南下、さらに県道(?)122号を夏油温泉に向かう。夏の油と書いてゲトウ──この不思議な地名も気になっていた。夏油温泉方面は、やはりどんよりと雲がかかっている。もし、雨だったら引き返すつもりで、取りあえず進んでみる。幸いにも雨にも降られず、なんとか午後2時半前には夏油温泉に到着。素朴な日帰り温泉を楽しませてもらう。

 露天風呂は、川沿にある浴室から外に出ると、小さなプールみたいな長方形のコンクリ製の湯舟があったと記憶している。すぐ横を川が流れ、川に並行して湯舟に浸かると、その川の流れが視界の向こうに続いている。開放感のある露天風呂だった。ずいぶん、無骨な露天風呂だなと思いながらも、これはこれで風情があってかえっていいや、と楽しんでいる。

 入浴後、再び元の道を107号まで引き返して、遠野方面に向かう。
 だが、国道107号を走っているつもりが、知らないあいだに細い1車線道路に入りこんでいる。自分としては、道を間違った憶えはない。途中、ラブホテルが一軒あったっきり、擦れ違う車もない。どういうことだろうと思いながらも、30分ほど、道なりに走っていると、国道107号に戻る。今なら、ナビで一発なのだろうが、当時は頼れるものは地図と勘しかない。いったいどこをどう走って元の国道に戻ったのか、今もって判明しない。よーく考えてみると、大きくカーブしている国道の内側を直線でカットしたのじゃなかったか──その夜、そう結論したような気がする。
 しばらく走って、午後5時を過ぎたころ、107号から遠野に通じる国道283号に左折する。

 夏油温泉から、そこまでのあいだに青空も見えてきて、晴れてきたなと喜んでいる。だが、夕立というか、ざっと土砂降りに一回だけやられる。レインスーツのパンツは履いたままだったが、上着は脱いでいたので、かなり濡れてしまう。さらに、山菜うどんを食べているが、あまりうまくないなどとビデオで感想を述べている。その食堂で読んだ岩手新聞によると、岩手地方は夕方から大幅に天気が崩れるとあり、釜石のビジネスホテルに公衆電話から予約している。岩手は全域にかけて、今夜は雨のようだ。というか、明日も明後日も雨との予報。

 明日の朝、雨だったら、東京に帰ろうなどと弱気になっている。台風もきているし、雨中走行はつまらない。

 午後5時14分過ぎ。遠野は駅前に立ち寄っただけで、すぐに出発。
 ちなみに、このとき遠野駅は二階部分がステーションホテル(フォルクローレ・ホテル)になっているが、後年、東北ツーリングをしたとき、釜石からの雨中走行後、お世話になっている。かなり広い部屋でカッパも余裕で干せて、列車の発着が見える部屋だったこともあり、その様子を飽きずに眺めたものだ。この1996年のツーリングのときにも予約の電話を入れているが、全室、満室だった。このときは一拍5000円と聞いたはずだ。

 釜石のビジネスホテルは、バストイレなし、一拍4000円。
 まだ、遠野から釜石までの仙人峠道路もなく、旧国道の283号(釜石街道)をひたすら、東に向かう。途中、仙人トンネルを越えたあたりだったか、ドライブインに立ち寄ってウドンを食っている。昼もウドンを食っているので、このころはウドンに凝っていたのかもしれない。そのあと、地元のライダーに話しかけられたりしている。なんの話をしたのか、もうすっかり忘れてしまった(今日は、どこから走ってきたのかと訊かれたような気もするが、たしかではない)。

 ──翌日のビデオで、そのライダーと会ったことを話していて、どうやら彼は真夏に沖縄をツーリングしたらしい。そのときは、こちらが話をしても相鎚を打つわけでもなく、ただ、わたしの話をじいっと聞いているばかりで、ぼそりとそう返している。「船で行ったんだよな」などと結んでいて、そのとき、心の中では「当たり前だ。だれが海の上をバイクで走るやつがいる」と思ったものだ──とビデオではそう感想を述べている。たぶん、普段は人としゃべるのが苦手な人なのだろう。ナンバープレートを見て、キャンプツーリングしているライダーに、思わず声をかけたしまったという印象だった。


9月1日。羽後本庄駅前のホテル。しとしと雨が降っている朝だ。


雄物川町通過。空はいい感じだ。
少なくとも、その日の日本海側よりはいい。


北上から夏油温泉に向かう。(県道37号)夏油温泉まで20キロくらいか。
前方にはいやな感じの雲。


夏油温泉のイラスト看板


手書き感満載だ。大湯に入浴させてもらう。


ぶれぶれの写真だが、自炊の宿などが軒を並べているのがわかる。


駐車場に続く道。奥、左にいくと大湯がある。


国道107号を走っているつもりが、山中に入りこんでしまう。
どこだったんだろう。

30分ほど、このような道を走る。今なら、ナビ一発だ。
このときは、不安な心持ちのまま走り続けている。

空には青空が広がってくる。道に迷っていながら、これはこれで、気持ちいい。


遠野に続く国道にようやく出る。

宿泊してみたかったステーションホテル。ちょっとだけ、立ち寄ってみる。

この日、宿泊した釜石のビジネスホテル。ホテルの部屋から釜石駅方面を川沿いの向こうに望む。

(翌朝のキャプチャ)積んでいたバイクの荷物をすべて部屋に運んでいる。



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