明日の私へ

日頃の生活の中で、徒然感じた事を綴っていきます。

電卓のすすめ18 電卓で方程式を解くなら、ソルバー計算とニュートン法

2023年11月16日 | 電卓

電卓のすすめ17 からの続きです。

電卓で方程式が解けるというと

「電卓で方程式は解けないでしょう」

といわれる方が多いと思います。

ソルバー計算(ソルブ計算)

ソルバー計算ができる関数電卓であれば瞬時に方程式が解けます。

そして、関数電卓の多くはソルバー機能を搭載した機種が多いのです。

を関数電卓CASIOfx-jp900で解いてみます。

まずは、式を入力して[SOLVE]キーを押します。

初期値の入力を求められるので

適当な数字を打ちます。なんでもかまいません。

教えて系の掲示板では

ここで初期値の入力が必要なことを知らずに

戸惑っている方が多く見られます。

xの解が4と表示されます。

その下に表示されているL-Rは(左辺) − (右辺)の結果で

0 に近いほど精度が高くなります。

2次方程式なので解がもう一つあると思います。

初期値を-1にして確かめてみます。

もう一つの解は-4です。

ソルバー計算手順はどの機種でもほとんど同じですが、

シャープでは式の入力時に =19 の部分を省いて

とする機種もあります。

またCAS(数式処理機能)を持つ電卓では初期値の入力が必要なく

複数の解を一度に表示してくれます。

(TI-nspire CX CAS)

ニュートン法

このソルバー計算にはニュートン法というアルゴリズムが使われています。

ニュートン法を使うとn乗根の近似値を普通の電卓で出すことができます。

このアルゴリズムを始めて知ったときは、

驚きと同時に計算を繰り返すたびに正解に近づいていく過程が面白く感じられました。

を普通の電卓で解いてみます。

から

実務電卓シャープELーG35では初期値を2とすると

2[M+]としてから

[×][=][=][×]2[+]5[÷]3[÷][RM][÷][RM][=][CM][M+]

を収束するまで繰り返します。

1回目 1.75

2回目 1.71088435373

3回目 1.7099764289

4回目 1.70997594666

5回目 1.70997594665

6回目 1.70997594666

1.709975947が近似値です。

※カシオは[×][=]を[×][×][=]と打ちます。

電卓のすすめ19 へ続きます>

 

続編、文具の木の実もご覧ください。

【実務や試験に役立つ】電卓の使い方


電卓のすすめ17 logの使い方

2023年11月12日 | 電卓

電卓のすすめ16 からの続きです。

√ や 複利計算などの話は対数とも密接な関係があります。

建設会社の社長さんとお酒を飲む機会がありました。

社長さん曰く

「昔は今のようにパソコンも関数電卓もなかったから手計算だったよ。

掛け算を足し算に、割り算を引き算に、累乗を掛け算にして計算できる対数は便利だった。」

私なんかは対数を使うとかえって頭がこんがらかることもあるのですが、対数は面白いと思います。

酒の席なのに対数で話が盛り上がっていました。

複利計算で倍の金額に

バブルの時は金利7パーセントという、今では考えられない利息がありました。

複利計算で1,000万円を2,000万円にするには何年必要でしょう。

これは

と計算できますので

iPhoneの関数電卓を使って

2[log] [÷]1.07[log][=]

 

7パーセントの利息で複利計算をすると10年で倍の金額になります。

超大きな数

教えて系の掲示板には次のような質問がありました。

2の2023乗はいくつになるでしょう

これもiPhoneの関数電卓で

とすると

さすがにiPhoneの電卓でも計算できません。

これもlogを使うとある程度の数がわかります。

iPhoneの関数電卓では

2023[×]2[log][=]608.983681228234

logを使って計算すると2の2023乗は609桁の数だと言うことがわかります。

ここから608を引いて

608.983681228234 [-] 608[=][]

2674からはじまる609桁の数であることがわかります。

また

log2 = 0.3010

log3 = 0.4771

log7 = 0.8450

この3つを暗記しておけば

log2 ~ log10 までの値は算出できます。

また、覚える公式も多くありません。

対数も知っていると非常に便利です。

電卓のすすめ18 に続きます。

 

続編、文具の木の実もご覧ください。

【実務や試験に役立つ】電卓の使い方

 

 


電卓のすすめ16 秋の花火

2023年11月09日 | 電卓

電卓のすすめ15 からの続きです

秋も深まり朝夕は寒くなってきました。

ニュースでは、秋の花火が夜空を彩っている地域もあるようです。

問: 尺玉が光ってから5秒後に音が聞こえた。

  自分たちは打ち上げ場所から何メートル離れているか。

  ただし、音速を秒速340mとし

  尺玉を330mの高さまで上げるものとする。

 

調べると音速は気温15度で約340m。尺玉は330mの高さまで上げるようです。

ここから計算しますと

ABは5秒×340mで1700m

ACは330m

亀きちのワンダーランドでも使ったピタゴラスの定理から

BCをxとすると

なので普通の電卓で計算すると

(シャープ)

1700[×][=][M+]330[×][=][M-][RM][√]  1667.6630355

(カシオなら[×][=]を[×][×][=]と打つ)

打ち上げ場所から 約1668メートル 離れています。

では

問2 問1で打ち上げた花火の殻は何秒後に落ちてくるでしょうか

 

とすると

330[÷]4.9=[√] 8.20651806648

約8秒後に殻が落ちてきます。

もっと簡単に、落ちた距離を5で割って[√]を押すと覚えても良いかもしれません。

電卓に√キーはあった方が良いと思うのですが

いかがでしょうか。

電卓のすすめ17 へ続きます

 

続編、文具の木の実もご覧ください。

【実務や試験に役立つ】電卓の使い方


電卓のすすめ15 借入金の話

2023年11月05日 | 電卓
電卓のすすめ14 からの続きです。
 
ゼロゼロ融資と言われる実質無利子、無担保のコロナ融資返済開始が今夏から始まりました。
できるだけ借入はしたくないものですが、どうしても借入が必要になるときがあります。
返済方法は大きく分けると3つあります。
 
元金均等返済
元利均等返済
アドオン方式
毎月の支払いは借入額の元金と、その利息を含めて返済します。
結論から言いますと元金均等返済が元利均等返済よりわずかに金利支払額が少なくなるようです。
アドオン方式は避けた方が良いでしょう。
 
車を購入するときの話です。
「さて、支払いをどうしようか。」
車屋さん「○○マイカーローンがありますよ。超低金利です。」
見てみるとアドオン方式でした。
金利の合計がお高いです、勘弁して下さい。
 

元金均等返済

銀行などの金融機関で多く使われる方式です。
元金を均等にして、毎月の借入残高に利息を含めて返済する方式です。
 
例:60万円を年利1.2%で5年間払いで借り入れると月々の支払額は
 
1回目
元金支払い 600,000÷(5×12)=10,000円
利息支払い 600,000×(0.012÷12)=600円
2回目
元金支払い 10,000(1回目と同じ) 
利息支払い 前月の借入残(60万ー1万=59万)に利息を加えて支払います。
590,000×(0.012÷12)=590円
・返済回数まで繰り返します。
 
n回目の返済額 = (借入額 ÷ 返済回数) × ((1 + (返済回数 - n + 1) × 利率)
と計算できますので
2回目を電卓で計算すると
(シャープ)
60[-]2[+]1[×]0.012[÷]12[+]1[×]600,000[÷]60[=]10,590
 
60回目になるとほぼ元金額(10,010円)の支払いとなります。
 

元利均等返済

 
元利均等返済も金融機関等で多く使われる方式ですが、毎月の支払額を同じ金額にして支払います。
各回の支払額の元金と利息の割合が変わってきますが、
初回の元金返済割合が少なく、返済期間が進むにつれ増えてきます。
各回の返済額 = 借入額 × (利率 ÷ (1 - (1+利率) ^ -返済回数))
      (※^は定数を表します)
 
と計算できます。
普通の電卓では60乗を計算するのが大変ですので年払いで計算します。
(シャープ)
まず、利率の5乗
1+.012[=][×][=][=][=][=]1.06145738392
 
利率^-返済回数は
1/利率^返済回数なので
逆数計算します。
[÷][=]0.94210094079
1から引いて
[-]1[=][+/-]0.05789905921
利率で割って逆数
[÷].012[÷][=]0.20725725363
借入額に掛ける
[×]600,000[=]124,354
年間の支払合計です。
12で割れば10,362(おおよその毎月返済額)
※計算サイトでは毎月10,308円となりました。
 
普通の電卓で60乗を計算するためには[=]を59回叩かなければなりません。
関数電卓かエクセルなどを使いましょう。
 

アドオン方式

元金の残高を考慮していない
アドオン方式の計算は簡単ですが利息が高いです。
元金と利息の合計 = 借入額 + 借入額 × 利率 × 期間
600,000[×].012[×]5+600,000[=]636,000
これを返済回数で割れば各月の返済額が出ます。
636,000[÷]60[=]10,600円
 
ローンを組むときは注意しましょう。
 
カシオの場合は[÷][=]を[÷][÷][=][=] [×][=]を[×][×][=]と打ってください。
※参考文献 
 ・西尾茂巳著「1,000円電卓活用法
 ・木村弘之亮著「HP12cによるときめき金融数学」
 
 
電卓のすすめ16 に続きます。
 

続編、文具の木の実もご覧ください。

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電卓のすすめ14 iPhoneの電卓では

2023年10月17日 | 電卓

電卓のすすめ13 から続きです。

前回、複利計算をみてきましたが年数が多い場合

例えば

設問:10万円を年利0.2%で預けると30年後にはいくらになるか。

これを普通の電卓で定数計算を使って

[=]を30回押すのは面倒です。

その1: Googleで検索する

近くにスマホがあるなら

計算もGoogleで検索すると答えが出てきます。

1.002^30*100000

と検索すると

106177.292308

となります。

その2: エクセルを使う

近くにパソコンがあるなら

エクセルで =1.002^30*100000

と計算させても良いと思います。

その3: iPhoneの電卓を使う

今日のメインテーマです。

いつも持って歩くのはスマホです。

リアルな電卓は使いやすいのですが、近くに無ければスマホの電卓を使います。

iPhoneの定数計算は

数値[+]定数

数値[-]定数

数値[×]定数

数値[÷]定数

というように記憶させて使いたい数が後ろにきます。

しかし、iPhoneの電卓では横向きにすると関数電卓になりますので、定数計算の必要はありません。

「画面の向きをロック」が解除してあれば

(横にするだけで関数電卓に)

と操作します。

その他にもiPhoneの電卓は

・数字を長押しするとコピーできる

・数字をスワイプすると最後の1文字を削除できる

など、便利な機能があります。

白状すると実は

逆ポーランド記法が好きな私は

HP50gやHP17BⅡのエミュレーターを使っており

iPhoneの標準電卓は使ったことがあまりありません🙏

ただし、関数電卓入門用としては十分だと思いますので紹介させていただきました。

(左HP50g 右HP17BⅡ)

電卓のすすめ15 に続きます。

 

続編、文具の木の実もご覧ください。

【実務や試験に役立つ】電卓の使い方