明日の私へ

日頃の生活の中で、徒然感じた事を綴っていきます。

電卓のすすめ23 関数電卓 vs 生成AI

2023年12月21日 | 電卓

電卓のすすめ22 から続きです。

電卓のすすめ22 の設問に対し生成AIはどのように答えてくれるか。

【設問1】
ある商品に定価をつけて売り出したが売れなかったので、割引して売ることになった。
定価の2割引で売ると4,600円の利益があり、3割5分引きで売ると2,600円の損失が出るという。
1,000円の利益を出すためには、定価の何%引きで売ればよいか。
(永岡書店:大人に役立つ算数の時間 売買算より ※現在は絶版)

今回もChatGPT3.5、Bard、Bingで試してみます。

「大人に役立つ算数の時間」を読んでいたときは、関数電卓片手に問題を解いていました。

この問題も3分。。。

いや、えっと、時間を計っていなかったのですが答えを出すまで5分はかかっていなかったと思います。

生成AIはどのような答えを出してくれるのかワクワクしながら問題文をそのままプロンプトにしてみした。

ChatGPT3.5

不思議な方程式を駆使し

「約4.35%引きで売る必要があります。」

と、答えてくれました。

Bard

「答えは 16% である」

定価の2割引きで4,600円の利益なのだから、定価の1割あたりの利益は2,300円と計算。

定価 を 2,357.14円 と算出しました。

Bing

定価を23,000円と算出し

「定価の約 4.35% 引きで売れば、1,000 円の利益を出すことができます。」

と、答えております。

"GPT-4を搭載したBingチャット"なので、ChatGPT3.5の計算に似ています。

こちらも3.5と同じく仕入値の算出が抜けておりましたが、別の角度で解法しておりました。

 

三者ともプロンプトの書き方によっては正解が出せるのかもしれません。

実際は仕入価格が33,800円で定価が48,000円、答は27.5%引きになります。


設問2も試しましたが、残念ながら正解にたどり着けませんでした。

いずれにせよ、ここまで文章を理解し論理を展開してくれたテキスト生成AIには驚いています。

 

続編、文具の木の実もご覧ください。

【実務や試験に役立つ】電卓の使い方


電卓のすすめ22 最小二乗法の威力

2023年12月19日 | 電卓

電卓のすすめ21 からの続きです。

最小二乗法は、本当に便利な計算方法です。

最小二乗法を調べるとネットでも書物でも難しいことが書かれています

私は「複数の数値データから、その関連性を調べて数値を推測できる魔法の計算方法

だと思っています。

当たらずといえども遠からずではないでしょうか。

回帰計算(回帰分析)ができる関数電卓では、この計算が簡単にできるのです。

そして、1,500円以上の関数電卓であれば、最小二乗法を使った回帰計算できる機種がほとんどです。

関数電卓、ほんとうに安価になりましたね。

最小二乗法が、こんなことにも使えるという例を二つほど。

【設問1】
ある商品に定価をつけて売り出したが売れなかったので、割引して売ることになった。
定価の2割引で売ると4,600円の利益があり、3割5分引きで売ると2,600円の損失が出るという。
1,000円の利益を出すためには、定価の何%引きで売ればよいか。
(永岡書店:大人に役立つ算数の時間 売買算より ※現在は絶版)

愛用している古い関数電卓EL-566では

「2割引きでは4600円、3割5分引きでは-2600円」と入力します。

[CD]0.8,4600[DATA]0.65,-2600[DATA]

※[CD]はクリアデータ

「1,000円では?」と入力します

1000[x'] [0.725]

※[数字]は電卓の画面表示

72.5%で売ると1,000円の利益が出るということです。

つまり1-0.725[=] [0.275]

27.5%引きで売れば良いということになります。

ここで

[a]  [-33800]

[b] [48000]

aとbの値を調べると-33800、48000と表示されますが

この商品の仕入価格が33,800円で定価が48,000円ということまでわかります。

これを応用すると経営分析にも使えます。

【設問2】
元金均等返済のとき
1回目の返済額は17,917円で60回目の返済額は16,688円です。
18回目と30回目の返済額はいくらでしょう。

続いて元金均等返済で試してみます。

借入額100万円、利息1.5%、5年返済の計算となります。

EL-566では

「1回目は17,917円、60回目は16,688円」と入力します。

[CD]1,17917[DATA]60,16688[DATA]

続いて

「18回目と30回目は?」

18[y']  [17562.88136]

30[y'] [17312.91525]

元金均等返済のシミュレーションで計算すると18回目は17,563円です。

30回目は17,313円ですので、ぴったり当ています。

1回目と最後のデータを打ち込んだだけで簡単に計算できてしまいました。

機種によって操作手順が異なる

回帰計算はメーカーが一緒でも機種によって操作が違ってきますが、考え方は一緒です。

是非試してみてください。

 

続編、文具の木の実もご覧ください。

【実務や試験に役立つ】電卓の使い方


電卓のすすめ21 電卓を使った構成比計算 実は...

2023年12月13日 | 電卓

電卓のすすめ20 からの続きです。

電卓で構成比を出すなら定数計算が便利です。

しかし、シャープ電卓を使ったときの構成比計算はちょっと不思議な動作になります。

次のような商品A~Eがあった場合、それぞれの構成比を計算してみます。

品名 価格
A 300円
B 240円
C 180円
D 350円
E 440円

 

(シャープの場合)

※[数字]は電卓の表示です

300[+]240[+]180[+]350[+]440[=] [1510]

合計を計算。1510と表示されます。

[÷][=] [0.00066225165]

[÷][=]とすると逆数計算となり一時的に1510の逆数が表示されます。同時に1510が定数となります。

300[=] [0.19867549668]

Aの構成比は19.9%です。

ここで300[=]は定数計算です。

紛らわしいのですが、

先ほどの逆数計算で出された値は何の関係もありません。

続けて

240[=] [0.15894039735]

180[=] [0.11920529801]

350[=] [0.23178807947]

440[=] [0.29139072847]

(カシオの場合)

300[+]240[+]180[+]350[+]440[=] [1510]

[÷][÷] 

カシオは逆数を表示せずに素直な動作になりますね。1510を分母とした定数計算で構成比が計算できます。

300[=] [0.19867549668]

240[=] [0.15894039735]

180[=] [0.11920529801]

350[=] [0.23178807947]

440[=] [0.29139072847]

ラウンドセレクターは2か3にしておいた方が見やすいかもしれません。

 

追加

そういえば、シャープ機は

電卓のすすめ2で紹介した

設問:7,500÷(30,000÷12)

のような計算に応用できますね。

電卓のすすめ2:回答例の6つ目として追加させて下さい。

*回答F

(シャープ)

30000[÷]12[÷][=]7500[=]

 

電卓のすすめ22 に続きます。

 

続編、文具の木の実もご覧ください。

【計算が楽になる】電卓の使い方

 


電卓のすすめ20 和算と連立方程式

2023年12月05日 | 電卓
電卓のすすめ19 からの続きです。

佐久間庸軒

幕末から明治にかけて活躍された福島県田村市船引町出身の和算家が新聞に掲載されていました。
和算家の名前は佐久間庸軒(1819年ー1896年)
勝海舟が1823年生まれですから、海舟より4つほど年上になります。
庸軒が明治16年に奉納した天井絵が、船引町にある古室神社で見つかったという記事でした。
天井絵には和算の問題が記されています。
日本では数学の問題が書かれた絵馬を算額として神社仏閣に奉納していた文化がありました。
しかし、天井絵は珍しく福島県と長野県でしか見つかっていないそうです。
算額は他国には見られない珍しい文化です。
江戸時代中期から盛んになっていたようで、一番古い算額は1683年に奉納されたようです。
福島県は庸軒の影響もあって和算の先進地だったと記されています。
算額のホームページである「和算の館」をみると現存する算額の一覧を見ることができます。
県毎に数えてみると長野県はダントツに多いのですが、福島県が2番手につけています。
 
(2023.12.5現在)
都道府県 奉納数
青森 4
秋田 5
岩手 40
山形 26
宮城 18
福島 49
東京 19
長野 80

庸軒は和算を極めるため諸国を旅し各地の神社仏閣を訪れました。
維新後、三春藩士であった庸軒は庸軒塾を開設。
門下生は2000人を越えたとあります。
和算の稽古場として使われていた書斎は、田村市の有形文化財となっています。
疎水のあるところに数学者有り。
測量技術と計算が必要であるため、庸軒の門下生も活躍されておりました。

和算と連立方程式


和算と言えば
江戸時代初期の和算家、関孝和ではないでしょうか。
関孝和はニュートンやライプニッツと並ぶ数学者です。
先日、テレビのクイズ問題から「連立方程式」がトレンドとなっていました。
関孝和は世界に先駆け、行列式による連立方程式の解法を生み出しました。
日本の数学は独自の発展を遂げ、良い意味でガラパゴス化していたようです。
日本のお家芸ですね。
 

連立方程式と"つるかめ算"

佐藤恒雄著「大人のための算数練習帳」は面白い本でした。
三部作になっていますが、その一つは文章題を算数と数学の両面で解説しております。
この本を読むと算数が好きになってきます。
算数は文字式が使えない、マイナスが使えない、関数が使えないなど禁じ手が多い学問です。
例えば「つるかめ算

鶴と亀の頭の数が100ありました。
足の数は合計で256のとき、
鶴と亀はそれぞれいくつですか。

数学では
鶴をx、亀をyとすると
x+y=100
2x+4y=256

という2元連立方程式になります。
関数電卓を使ってみます。
関数電卓のほとんどは、連立方程式を解くモードを持っています。
ここでは関数電卓CASIO fxーJP900を使ってみます。
[MENU]
[A:方程式/関数 計算]

[1:連立方程式]
と操作すると

[連立方程式
元(変数)の数は?]
と聞いてきます。

2元連立方程式なので2を押します。あとは係数を入力していくと答えが出てきます。
 
 
算数では
100羽すべてが鶴だとしたら足の数は200になるはず。
ところが256本ですから、56本の差は何だろうかと考えます。
56本の差は亀の足です。
亀と鶴の差は2本ですから
56を2で割ると28が亀の数になります。
鶴は100ー28で72になります。


この考え方が、算数って面白いなと感じます。

関数電卓で解けない問題



ところで、関数電卓が全ての方程式を解けるわけではありません。
関数電卓をお持ちなら次の問題を試してみてください。
x^2+y=10.97
3.75x+2.64y=14.83


このような問題を一発で解ける電卓は少ないと思います。
ソルバー等を使って地道に解くしかありません。

TIの電卓が答えを出したときは、正直驚きました。
 
電卓のすすめ21 に続きます。
 

続編、文具の木の実もご覧ください。

【計算が楽になる】電卓の使い方


電卓のすすめ19 長年の相棒 SHARP関数電卓EL-566

2023年11月26日 | 電卓

電卓のすすめ18 から続きます。

社会人になってからはカシオのNS-3という電卓を長年使っておりました。

新書版ほどの大きさがある普通の電卓です。

昔は、会計ソフトや表計算ソフトなどというものはないので会計業務は電卓が命でした。

現金出納帳や預金出納帳から元帳に書き写し、毎月の試算表作成を経て最終的には損益計算書と貸借対照表を作成します。

全ての計算は電卓一本です。

そろばんを使っている人もいましたが、足し算は圧倒的にそろばんの方が速かったです。

上司からは絶対計算ミスは起こすなと「1+1でも電卓を使え!」と教え込まれました。

確かに卓上には電卓が必ずありますので、暗算できる計算なら2秒もかかりません

長年使っていると電卓が汚くなってきます。

定期的に自宅に持ち帰り分解掃除をしていたのですが、あるとき何を間違えたのか基板に穴を開けてしまいました。

それから愛用するための電卓探しの旅が始まりました。

今のところ、多数の電卓を所有していますが一番使っているのが

SHARP EL-566 です。

(SHARP EL-566)

学校教育用に使われていた機種で、後継機はEL-566Eとなります。

(左:EL-566E 右:EL-566)

実務電卓として人気のあるEL-G35も持っていますが、昔のようにガリガリと電卓を打つことが少なくなりました。

(簿記検定で人気のEL-G35、現在は中古しかなく新品の値段より高くなっているようです)

会計ソフトもありますし、表計算ソフトもあるのでちょっとした計算はこのEL-566で間に合ってしまいます。

毎日、ペンを挟んでシャツポケットに入れて持って行きます。

(真ん中に変なシミができて取れません)

関数電卓の中でも小さな機種なのですが、テンキーの形状が絶妙でブラインドでも入力できます。

簡単な集計ならスマホのソフトウェア電卓より早くできますし信頼性もあります。

小さな計算機をブラインドで入力する場合は「電卓速算術入門」末次信義著:ブルーバックス

にあるように、2本指入力が有効です。

(右手の場合)

7,4,1,0  人差し指

8,5,2   人差し指

     もしくは中指

9,6,3   中指

演算キー 中指 

古い機種ですが経営分析にも使えますし、2変数の統計計算も対応していますので数値予測も可能です。

その他にも256ステップまでのプログラムを4本登録できるので、

1:元号⇒西暦変換(年齢早見表)

2:西暦⇒元号変換

3:偏差値

4:Free

と、しています。

自作ですが、年齢早見表が意外と便利で良く使っています。

1.昭和40年なら3.40と入力、平成は4.XX令和は5.XX

2.西暦表示

3.続いて年齢表示

実はかなり長い間使っており、予備機としてもう1台所有していました。

さすがに初代がボロボロになってきたので2号機に換えたのですが、こちらも使用感が出てきました。

(左:初代はSHARPの文字が消えてます)

ずいぶん古い機種です。

調べましたが発売年がわかりません。

お客さんと話をしているとき、私が使っている電卓を見ながら

「この電卓、高校の時に学校で使っていたよ。」

と言われたことがあります。

逆算すると25年ほど前は現役で活躍していた電卓なのでしょうか。

もう一つのヒントは「電卓なるほど活用術」小沢健一編:国土社

の132ページにEL-566の記述があります。

(電卓なるほど活用術:小沢健一編:国土社より引用)

この本の発刊が1995年ですので、それ以前には発売されていたことになります。

ネットを探してもこの機種に関する情報は少なく、未だに愛用しているのは私だけかもしれません。

 

続編、文具の木の実もご覧ください。

【計算が楽になる】電卓の使い方